乳滴/2016年4月20日号
欠かせない指定団体制度
熊本・大分県などを襲った大地震により、酪農家や乳業工場の操業停止等、大きな被害が出ている。停電、断水、道路の損壊が随所で発生。搾乳から集送乳、配乳調整に酪農家、指定団体、各乳業メーカーの関係者が必死で現在、対応している。今回も危機の際に、仮に指定団体制度がなかったらどれ程大きな混乱が生じたか。酪農乳業を知る人達には自明のことであろう。
ところが、3月末に規制改革会議は「不足払い法」の柱となる指定団体制度を廃止すべきと提言。酪農乳業界に大きな衝撃が走った。不足払い法は今年施行後50年を迎える。かつて毎年のように繰り返された乳価紛争。酪農政治運動は乳価闘争の歴史でもあった。
日本の酪農を発展させるにはどうするか。当時の政府・国会、酪農乳業関係者のそれこそ命がけとも言える情熱をかけた法案制定をめぐる議論を知ることのできる本がある。本会が1965年に発刊した「新乳価制度問答集」である。絶版になっていたが、本会も協力して復刻版を㈱酪農乳業速報より発刊した。
本紙で報道のように、自民党の農林関係の調査会・部会は4月14日に「指定団体制度の廃止には反対」と決議したが、これで終わりではない。今後とも政府の改革の方向に要請していかなければならない。