乳滴/2016年5月20日号
牛乳・乳製品の安定供給と品質向上
今回の規制改革会議の提言は、乳業メーカーから見ても疑問とはどういうことか。例えば、4月の自民党の畜産・酪農対策小委員会で意見を述べた関東の代表的な中小乳業のT乳業の事例である。
1年間に処理(購入)する乳量は12万3千㌧。単純な計算では1日平均で330㌧となるが、実際には違う。1週間単位で見れば「1日に200㌧の日もあれば、400㌧の日もある」。天候、特売の有無、季節変動などがあるから、大きな変動が生じる。こうした変動を前提に、生ものである生乳を受け入れ後72時間以内に製品化しなければならない難しさがある。
生乳生産から乳業メーカーを経て流通・販売までの一連の供給チェーンの中で日々、様々な調整が行われているのだ。この大事な機能を担っている柱の一つが現行の指定団体制度だ。
「一元集荷多元販売の機能が損なわれると、生乳が必要な乳業メーカーに必要量が適時行きわたらなくなり、安定供給がかなわなくなる」(T乳業)と警鐘を鳴らした。
さらに忘れてならないのは、世界のトップレベルの品質を誇る日本の生乳の品質向上に貢献してきた指定団体、乳業メーカー、生産者・組合等の役割だ。とかく見忘れがちだが、大変重要なことである。繰り返し説明が必要である。