乳滴/2016年8月20日号
肉高頼みはリスクが内在
乳牛頭数が毎年減少し後継牛の確保が大きな課題になっている。肉用子牛の高値が続き、乳牛への黒毛和種の交配率(交雑種=F1)は北海道で21.6%、都府県で50.8%(2016年1~3月期・既報)と依然高水準だ。性判別精液が拡大しているといっても後継牛不足は、なかなか改善が見られない。
「自家産で後継牛を確保すれば(今後)情勢変化が起きても安心だ」とF1・和牛生産にあえてタッチしない酪農家もいる。乳オス価格の相場も良いことやF1・和牛の子牛も大きくなり、必ずしも初産がスムーズにいくとは限らないという。
しかし、現実は経済の有利性にはかなわない。全酪連会報の7月号に同連が実施しているDMS(酪農経営管理支援事業)システムに参加し、経営分析や経営相談に応じた447戸のうち、53戸について2014年と2015年の参加農家の平均値を分析している。数字等の詳細は同会報をご覧いただくとして、本欄で伝えたいのは、総売上高に占める肉用子牛と廃用牛の割合が高くなっていること。「もはや副産物とは言えない」との声も聞かれるという。その結果「生乳の売上だけで酪農経営は成立しない」までになっている。
肉用価格の変動の大きさを考えると、生乳でコストを賄える経営形態や乳価の実現が必要だ。