乳滴/2016年10月10日号
「当たり前」と思う怖さ
「おはようございます」と言えば、「心のドアが開く」、「ありがとう」と言えば、「心がにこにこする」―。言葉(会話)の使い方一つで心の持ちよう、生き方や対人関係も変わるというのは、元NHKアナウンサーの村上信夫氏。執筆や講演活動等をしており、本会が9月15日に開催した北海道地区酪農講演会でも「うれしい言葉の種まき」と題して講演頂いた。
「ダメ、最低、最悪」など、相手を傷つけるのが武器言葉。無意識のうちに、ついつい使ったこともあるのではないか。〝武器言葉〟ではなく、前述のうれしい言葉である〝楽器言葉〟を使おうと村上さん。
「有難う」の反対語を知っていますかとの質問を会場に投げかけた。間違うことを恐れたのか(?)会場からは返事がなかった。「当たり前」が該当するとの話に納得、頷いた。
「当たり前」と言えば気になることが多い。農業・畜産でいえば、生産現場と消費者との意識の乖離である。生産コストの競争だ、国内で足りなければ輸入すればいいじゃないかとの短絡的な発想が出てくる。生乳も蛇口をひねるように調節できる、あるいは調節しなければ生き残れないと突き放す。残念なことだが、「当たり前」でない世の中にならないと気付かないのだろうか。