乳滴/2016年12月1日号
“リスク”は必ずある
先日、ある経済情報番組でバター不足の背景を切り口に農協組織や指定団体、酪農家の課題が取りあげられた。予想通り現在、政府の規制改革推進会議が強引に進めようとしている農協改革、指定団体制度の見直し等に誘導する意図が色濃い内容であった。端的に言えば、農協組織は、巨大な規制を利用して既得権益を守る抵抗勢力と位置付けたものだ。酪農でも自由な経営を妨げていると一方向からの視点から描かれていた。
生乳の流通では、乳価面で有利だと民間の生乳流通販売会社を取りあげた。その中で指定団体から出荷先変更する際に地元農協が飼料価格や資金の返済等を理由に難色を示した経過を盛り込んでいた。最終的には所属する組合長が「差別待遇はしないが賛同はしかねること。リスクは自分でとらなければならない」ことなどを説明していた。
現在は生乳不足の局面でもあり、需給面のリスクは顕在化していないが、
生乳の安定供給や品質面、納入先の乳業の経営動向、自然災害等の様々なリスクが当然ある。これまで指定団体と全国連(再委託)は需給緩和や震災等においても長い経験の蓄積を活かし、これらのリスクに対応しながら運営してきた。一時的には良くても、リスクは必ず出てくるものと考えて判断しているだろうか。