乳滴/2017年4月20日号
収入保険制度の理解
2019年度から発足を目指している国の「農業経営収入保険事業」(収入保険)について、乳価や副産物等の値下がりによる収入下落には対応できるが、生産コスト上昇には対応できない仕組みだと4月1日号で指摘した。機械の購入などコストは個人が左右でき、合理性の確認が難しいというのが国の見解だ。結果的に所得を補償するセーフティネットの役割としては課題もあり、不十分であり、次善の対策ともいえよう。
同保険は任意加入であり、加入は経営者の判断に委ねられる。今のところ来年の秋にも加入申請の受付が始まる見通しだが、加入には青色申告(簡易な方式を含む)の実績が、加入申請時に最低1年分が必要だ。従って、白色の人は2017年分の所得税の確定申告は青色申告にしないといけない。このため、税務署への青色申告の承認申請期間が過ぎており、日程上、2019年度に加入できない白色の人が出るケースがある。
さて、国がこの事業を創設するに当たって大きな課題だったのが、加入農家の収入を正確に把握すること。仕組み上、不正受給ができないようにすることだった。結果的には、税務上の申告書に基づいて収入を把握する仕組みとした。内容の周知はこれからだが、酪農家の理解と加入は進むのだろうか。