乳滴/2017年5月10日号
生乳生産が増えない根本は
前年度以上の生乳生産量を確保してもらいたいと生産者組織だけでなく、乳業者の危機感も大きくなっている。全国の乳業者に3年間で15億円の資金協力を依頼し、本紙詳報の通り、酪農乳業産業基盤強化の特別対策を実施する。
酪農家戸数・頭数の減少を他の規模拡大農家で補ってきたのが、これまでの推移だ。だが、家族経営では大規模といわれている100頭以上層が今、規模拡大を継続し続ける状況になっていないとの分析がある。結果的にメガ・ギガファームの更なる拡大という方向が続いている。畜産クラスター事業の効果が今後どのように出てくるか期待されているが、今年度の生産は1月時点のJミルクの予測では全国平均で1.2%減である。
高齢化や後継者不足により、酪農家戸数が過去20年間平均で北海道で毎年2.2%、都府県で3.3%減少し続けていることが背景にある。加えて黒毛和種の交配率の高まりや乳牛個体価格の高騰もある。根本には「搾乳牛1頭当たりの所得が1円減ると搾乳牛総飼養頭数が2頭減る明確な関係がみられる」(鈴木宣弘東大教授)と酪農家が所得を十分確保できない状況が過去から続いてきたことがある。
この傾向、流れを変えるには酪農乳業一体の大きなエネルギーがいる。