乳滴/2017年5月20日号
激しい競争のスピード
生乳生産が需要を上回り乳製品の過剰在庫が膨らんだことから1979年度(昭和54年度)から生乳の需給調整対策(計画生産)が開始された。以来、38年目を迎えた。中酪・指定団体では、生乳が足りない現実を踏まえ今年度から生産調整のイメージが強い「計画生産」の言葉を極力使わず「生乳需給安定化対策」とすることを決めた。
この間、1994~95年度や06~07年度のように過剰を背景に「減産型計画生産」を強いられたことがあった。これが今日、投資意欲に燃えた大型経営者等の不満の種になり、酪農制度改革につながる意見表明の遠因ともなった感がある。
一方、計画生産は激しい競争のスピードをダウンさせる、いわば業界を護送船団方式として進めてきた一面もある。現在、メガ・ギガ牧場や大規模層がロボット搾乳等のクラスター事業を活用した数千㌧単位の増産投資が見られる。中には生産量1万㌧以上を目指す計画もある。生乳不足下では力のある者は更に大きくなる激しい競争が起こりやすい。
個々の経営においては、自由な経済活動であり、その限りではとやかく言えるものではない。ただし、10年後、20年後を見通した日本の酪農乳業の構造を大きく変化させる力を持っており、大局から分析する必要がある。