乳滴/2017年10月20日号
農協はライフライン
住宅ができ里山が失われる。漁港や海岸線の整備により、砂浜が消える。筆者のふるさとの移り変わりだが、各地の農山漁村でも多かれ少なかれ、時代の変遷の一コマであろう。
町は農業、特に林業と漁業の町であったが、木材の自由化で林業が廃れ、漁業も徐々に衰退してきた。子供の頃、町の人口は約1万4千人。一時は町内に高校があったが、やがて学生が徐々に少なくなり廃校に。現在の人口は8700人弱である。この間、いわゆる平成の大合併により隣市と合併。一行政地区となった。
広域化で合理化が進む半面、不便な面も多く生じてきた。生活や生命に関わるライフラインに及ぶのだから問題だ。かつては入院設備を持った町立病院が診療所に格下げ、入院や診療科によっては、10数㌔離れた基幹病院まで通わなければならない。車のない高齢者には費用や足の便で非常に大変だ。買い物も同様。病院や買い物、農協の支所(信用事業)、銀行・郵便局。いずれも地域で暮らしていく大事なライフラインである。
地方創生が唱えられるが、ふるさとを見る限りでは、行政も病院も農協も独自に合理化に走っている。ガソリン給油所が遠くなり、給油にいくガソリン代もばかにならないとの笑えない話もある。