乳滴/2017年11月1日号
都府県酪農の議論を
近年、酪農乳業界は国内外の重要課題が山積し官僚も政治家もその対応に注力せざるを得ない状況が続いてきた。
国際交渉では、TPP交渉や7月に大枠合意した日EU・EPA交渉と国内対策である。TPP交渉は5年半に及ぶ交渉が15年10月に大筋合意したが、トランプ大統領の就任により17年1月20日に米国は離脱を表明。わが国は残り11カ国(TPP11)での合意を目指す。米国再加入の道を残すものだ。ただ、現時点で米国は、多国間ではなく、日米FTAのように2国間の交渉を志向していると言われている。
一方、国内では16年3月末に政府の規制改革推進会議が突如「指定団体制度の廃止」を提言。以降、蜂の巣をつついたような騒ぎとなり、現行制度を畜安法に改正する議論で忙殺された。ようやく本年6月9日に改正畜安法が成立。政省令が10月27日に公布された段階だ。
本欄で今回指摘したいのは、ここからである。政府は酪農経営は改善しつつあるとの姿勢だが、この間も酪農家戸数、頭数の減少が続き、特に都府県酪農の縮小が続いている。今こそ、原点に立ち返り、都府県酪農の将来像を議論しなければ、日本酪農だけでなく北海道酪農のためにも将来に禍根を残すことになりかねない。