乳滴/2017年11月20日号
環境対策の助成強化を
酪農家が減り生乳生産の減少に歯止めがかからない中で、「家族経営の継続や新規就農に、ふん尿処理等の環境対策がネックになっている。メガファームは資金をかけて対策が進んでおり、その差がはっきりと出始めた」との声がある。
家畜排せつ物法が施行されたのは、1999年11月。施設設備等に一定期間が必要ということから、5年間の猶予期間が設けられ04年11月から本格施行された。
酪農家でみると、管理基準適用対象農家(10頭以上)1万5331戸のうち、16年12月1日現在で基準に不適合は10戸だけとほぼ100%近い水準で順守されてきた。
今回この課題を指摘した酪政連の大槻和夫副委員長は「ふん尿処理対策さえしっかりできれば、あと10年以上できる酪農家がいる。搾乳をするための牛舎や設備は整備されたが、ふん尿の後始末が大きな課題。ふん尿処理の施設・機械に対する対策が絶対に必要だ」と述べている。
家畜排せつ物法の本格施行から13年が経過した。現場では施設の再整備や機械の更新等の費用が経営の重荷になっている。国は補助事業で整備した施設等の更新に際して再び助成することは難しいとの立場ではある。しかし、家族経営の存続には、こうした生産現場の実態に配慮した助成が必要だ。