乳滴/2018年3月1日号
追加輸入の〝恒常化〟
わが国は、1993年のガット・ウルグアイラウンド(UR)貿易交渉で毎年度、一定数量のバター・脱脂粉乳等の指定乳製品を輸入することを国際的に約束した。この合意に基づく輸入をカレント・アクセス(CA)輸入と言う。
この輸入枠は生乳換算で13万7202㌧。法律により95年度から農畜産業振興機構が実施してきた。国内需給への影響を考慮して品目、数量、時期等を決定。例えば、10年度のように国内の生乳需給が緩和していた時には、指定乳製品の中でも影響が少ないホエイやデーリースプレッド等を優先的に輸入してきた経緯がある。
ところが、近年は都府県の生乳生産の減少に歯止めがかからず、国内の生乳生産量が不足。このため、バターや脱脂粉乳をCA枠以上に輸入せざるを得ない状況に陥ってしまった。
既報の通り、農水省は1月26日に5年連続となる追加輸入の方針を発表。18年度の数量は、CA枠を含めて生乳換算で33万5429㌧(バター1万3千㌧、脱脂粉乳2万7千㌧)に決定した。
CA枠を除くと国内で20万㌧弱の生産余地がある。恒常化しつつある追加輸入を前提にしてしまえば、ますます都府県酪農の振興は遠ざかる。やがて北海道やメガ・ギガ酪農にも影響が及ぶのではないか。