乳滴/2018年10月20日号
牛乳安定供給への課題
9月下旬まで相次いだ台風の影響も加わり、北海道胆振東部地震から1カ月以上経過したものの、一部では今も牛乳販売への影響が続いている。本会女子職員6名に自宅近所のスーパー(16日まで)を調べてもらったが、1名を除き、牛乳売り場に販売制限やお詫びが貼ってあった。従前、最大のスペースをとっていた売れ筋の牛乳(低価格帯)の数量が品薄になっている。
4年前のバター不足の際には、スーパーの棚から家庭用バターがなくなり大きく報道された。今回は災害でもあり、また、牛乳類の全てが欠品したわけではないこと、保存がきかない牛乳は買占めなどの仮需が起こりにくいことから、バターの時ほど社会問題化していない。
しかし、酪農乳業界には、非常に深刻な課題をいくつも投げかけている。
北海道や九州等の主産地から生乳を広域輸送すれば、安定供給できるとの想定が万全ではないことが明らかになった。
そもそも人口が多く、消費地である首都圏や近畿圏への生乳の移出に対して、運転手不足や天候リスクなどが表面化。フェリーやトラック輸送などの物理的な面での課題が指摘されつつあった。安定供給を考える上からは、北海道と都府県の酪農が共に持続的に発展することが必要である。