乳滴/2018年11月20日号
嵐(トランプ)の前に
「米国内の経済的利益を最優先に考える」を政権運営の方針に掲げ、実行してきた米トランプ大統領。現在、角を突き合わせている「米中貿易戦争」を見るまでもなく、結果を求める強引さと従わなかった場合の対抗措置(罰)は苛烈だ。
今回の中間選挙は、日本でも、かつてない注目は集まった。結果は上院が引き続き与党が多数派を維持したが、下院は民主党が8年ぶりに多数派を奪回。政府は、少なくとも今後2年間は、ねじれ状態の議会運営を強いられることになった。
トランプ大統領が今後の日本との貿易交渉において、より一層強硬な結果を求めてくると予想されるのが一般的な見方。混迷が深まった。
来年はTAG(日米物品貿易協定)交渉が控えている。今のところ、同交渉の交渉開始時期は「年明けに米国側の国内手続きが終わったら、双方で時期等について相談する」(政府)というのが日本政府の公式見解だ。しかし、東大大学院の鈴木宣弘教授が本紙で2回にわたり解説しているように、TPP水準を譲らないという政府方針に不安はつきない。
本年12月30日にTPP11が発効。日EUEPAは来年2月発効を目指している。TAGでは日本の農業・酪農の未来のために何としても譲れないものは死守してほしい。