乳滴/2019年4月1日号
産学連携を深めよう
科学技術の進歩、いわゆるイノベーション(技術革新)を産業界に取り込んでいくことが日本の成長戦略の一つとされている。このため、国の科学技術振興機構(JST)は、産学連携を深める支援活動として大学や試験研究機関と民間(産業界)との出会いの場を提供する新技術説明会等を開催してきた。
公的研究機関から生まれた研究成果(特許)を実用化しようというものだ。技術開発した発明者である研究者自ら研究成果を報告し、その後、同じ会場で関心のある企業担当者に個別に相談したり、名刺交換したりする。研究の場に閉じこもらず積極的に技術移転を促すのがねらいだ。
2月26日にJSTと農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が主催した「農研機構・新技術説明会」で発表された5題のうち、畜産関係では、安田知子氏(農研機構畜産研究部門主任研究員)が「畜産脱臭排水の窒素負荷低減」と題して発表。アンモニアを主体とした臭気を除去する生物脱臭装置からの排水の窒素負荷軽減のために循環水槽に硫黄資材(チオ硫酸)の添加を試みた。
その結果、硫黄脱窒反応を促進させ、アンモニアと窒素の除去を同時に行う効果があったことを発表した。名刺交換には長い列ができ、企業側の関心が高いことを伺わせた。