乳滴/2019年4月20日号
農業も知的財産保護を
輸出検疫を受けずに和牛の精液や受精卵を不正に中国に持ち出したとして、3月9日に大阪府警が容疑者を家畜伝染病予防法違反容疑で逮捕した。和牛の精液や受精卵はどの国にも輸出することはできない。わが国固有の貴重な財産とも言うべき遺伝資源である。先人の多大な改良努力を経てきたものだ。
農水省は今回のような不正輸出防止に向けて、まず流通状況や管理状況の把握等を行うため、全国の家畜人工授精所に対しアンケート調査を実施。調査結果を3月に公表し、現状把握に努めるとともに「和牛の遺伝資源の流通管理に関する検討会」を設置。2月15日に初会合を開催するなど、対応策を早急に検討している。
年頭の中央畜産会主催の賀詞交歓会で森山裕会長(衆議院議員)が、17年開催の第11回全国和牛能力共進会で優等賞1席となった「金華勝(かねはなかつ)」について、ルーツは小さな家族経営の中から生まれてきた牛であることを紹介。「やはり家族経営の畜産農家を大事にしていかなければいけないと改めて思った」と述べていた。
農畜産物についても遺伝子の研究を進め、発見遺伝子の特許を取得する等、努力の成果を「いいとこ取り」をされないように、国が主導して「知的財産」として保護しなければならない。