乳滴/2019年9月1日号
エゾシカ被害恐るべし
本紙8月10日号4面、北海道の牧草地の写真にエゾシカが一頭写り込んだ。鹿の子模様が点々と、動物園なら「かわいい」となりそうだが農地にいれば害獣だ。
北海道によれば野生鳥獣による農業の被害額は47億5千万円(17年度)でこのうちエゾシカによるものが約8割の39億3千万円にのぼる。うち牧草の被害額は20億5千万円と抜きんでていて以下ビート2億8千万円、水稲2億6千万円、ばれいしょ2億3千万円…と続く。札幌の住宅街をヒグマが悠然と歩く映像が少し前に話題になったし、釧路管内標茶町ではこの夏、放牧中の乳牛がヒグマの餌食になっているとの報道もある。同じ統計ではヒグマによる農業被害額は約2億円。17年度の場合、エゾシカはヒグマの20倍の破壊力で道内農産物を荒らしているということだ。
それでも捕獲活動や侵入防止柵の整備等が奏功して11年度のエゾシカによる被害金額64億円からは大幅に減少したというから、今後も継続的な対策は必要だ。
近所のイチゴ農家が10年ほど前からビニールハウスの周りにハクビシン対策の電気柵をめぐらし、さらに夜半まで大音量でラジオを流している。対策にはカネと手間がかかるが、相手の数が分からないのが恐ろしいところだ。