乳滴/2020年4月1日号
桜の季節だが
正月には想像もしなかった混迷の状況で新年度がスタートした。本来なら桜の開花情報もにぎやかに春の到来を喜ぶ季節だが、新型肺炎で今年はそれどころではない。
各国が出入国を制限し始めたと思ったら、さらなる対策として産業活動を制限する国や地域が。感染者数が中国、イタリアを抜いて世界一になった米国(3月27日現在)では西海岸サンフランシスコ市、ニューヨーク市そして首都ワシントンDCでの経済活動停止(食料品店、医療関係、金融機関、行政部門、交通機関等除く)が求められ、不要不急の外出禁止措置を取るに至った。
国内では、春休みの長期化で学乳や業務用乳製品の需要が減る一方、休校や在宅勤務による在宅需要等で、2月第4週から3月第1週にかけて牛乳類の販売状況が前年同期に比べ堅調に推移したと本紙3月20日号でも伝えているが、その後各都府県の外出自粛要請とそれに反応し買占め行動が散発するなど市場は不安定で、今後も需給動向から目が離せない。
農業を起点とする食品産業は多くの関連業種の連携の上に成り立っている。生産・加工・流通それぞれの業界で安定供給のための努力をしているわけだが、国民の健全な食生活のためにはそれに加えて大局的視点に立った政策支援が必要不可欠だ。