乳滴/2020年9月1日号
生乳需給、不足と過剰
連日の猛暑と夏休み短縮(学乳再開)により、予想どおり例年より早いお盆明けの8月下旬から、生乳需給のひっ迫度が強まっている。その一方で現状は、脱脂粉乳もバターも過剰が心配され、海外からの輸入枠を調整(減少)しなければならない状況だ。
生乳の用途仕向けや季節変動が要因だが、今年は「不足」と「過剰」が並立して進行。牛乳乳製品の需給を理解してもらうのは難しい。特に消費者には丁寧に説明しなければ誤解を招きかねない。
新型コロナの影響で3月に小中学校が臨時休校(学乳停止)。その後、政府の緊急事態宣言の発令と解除を経て、6月に概ね学校(学乳)が再開された。この間、学乳停止で需要を失った生乳を酪農乳業界と農水省が一丸となり、保存が効く乳製品に加工するなど、必死の対応で乗り切った。
しかし、生乳需要の約半分を占める業務用が新型コロナの影響で、乳製品を中心に消費が大打撃を受けた。その結果、元々高い在庫水準にあった乳製品の過剰が課題になった。まず、先行して脱脂粉乳は輸入枠を減らすと共に飼料向けや調製品との代替対策を実施中だ。次はバターだが、9月中に輸入枠の削減が決定される見通しだ。
不足報道の裏にある乳製品の過剰問題は引き続き対応が急がれる。