乳滴/2020年11月20日号
予測しがたい〝情勢〟
本年度は10年後の生乳生産目標780万㌧を掲げた国の酪肉近代化基本方針(酪肉近)の初年度。スタート時点から新型コロナの影響を大きく受け、行政と酪農乳業界が一体となった対策に追われてきた。この先も新型コロナ情勢の推移は不確定で、非常に難しい感染症である。
同方針の目標は現状(2018年度)から最終年度の2030年度までに52万㌧増産(年間5万㌧程度)と意欲的なもので、達成にはかなりの努力が必要になる。そもそも1999年度から2019年度までの11年間に生乳生産量は、全国で115万1千㌧減の736万2千㌧。地域別では北海道が42万5千㌧増の409万2千㌧、都府県が157万6㌧減の327万㌧である。
つまり、生産減少は、ほぼ都府県酪農の減少によるものであり、農水省では「都府県では1頭当たり乳量の伸びを越えて飼養頭数が大きく減少した」ことを要因に挙げている。
そのため、生産基盤の強化に国も多額の資金を投入してきた。9月25日のJミルクの需給予測では、20年度の全国の生乳生産見通しは、2年連続の増産となる見通し。前年比1.1%(7万8千㌧)増を見通している。今後、乳製品の在庫対策と並行しながらしっかり生産対策を考えなければならない。