乳滴/2020年12月1日号
コロナ含みの年越し
年末に向け公私とも気忙しいこの時期、新型コロナウイルス感染者が急増。日本では春の第1波、夏の第2波を上回る第3波が猛威を振るっている。これが冬の到来によるものか、人間の往来の増加が要因なのか、あるいはこれら組み合わせなのかは分からない。しかし帰省、冬のレジャーシーズンを控えたタイミングで、感染拡大地域を目的地とする旅行が補助対象外となるなど、政府のGoToトラベル事業に黄信号が点いた。来年の五輪を成功させたい国としては、経済へのダメージ回避と感染封じ込めを両立させたいところ。旅行・観光業界など、年初の想定とは真逆の状態で、今や出口の有無さえ分からない暗闇の中。やはりというか、大手旅行会社の営業拠点・人員の大幅削減のニュースが切ない。
切ない話は決して他人事でない。学乳がなくなる年末年始は、例年生乳需給が緩和する局面。感染者数の推移が今後の生乳需給にどう影響するのか不安だ。緊急事態宣言下では、国・生産者・乳業挙げての消費拡大対策が奏功、巣ごもり需要という意外な追い風もあって処理不可能乳発生には至らなかった。人と人が会うことがリスクを高めると言われれば、多くの楽しみも失われてしまう。どうか平穏無事な年越しになるよう祈るばかりだ。