乳滴/2021年5月1日号
チャンスロス少なく
「本日は売り切れ」。これが閉店間際なら「良かった」と喜べるが、仮に閉店の3時間も前に売り切れてしまったらどうだろうか。売場だけみれば欠品ということだが、一方で、在庫があればもっと売上が増えたかも知れず「チャンスロス」(機会損失)になり得る。
日持ちのしない牛乳はチャンスロスに関係が深い商品だ。以前から最需要期のチャンスロスは、相当な数量になるだろうと言われてきた。昨年の夏は8月中旬からの猛暑や熱帯夜で、関東等の大消費地管内の酪農家の生産量が低下する半面、消費が伸びた。そのため、北海道からの生乳移出や産地パック牛乳では補えず、特売の自粛や牛乳の代替品としての加工乳や乳飲料の供給、一部では販売制限もみられた。
今年度の飲用向け乳価交渉でも夏場の配乳量を巡り乳業側の要求が議論されたとのこと。長年にわたり夏場の需要期生産に酪農家は取り組んできたが、分娩等のリスクもある。しかも、20年度の都府県の生乳生産は8年ぶりの増産となったが、今年度はJミルクの予測では、再び減産(0.6%減)になる見通しだ。都府県の生産基盤を回復させなければ、最需要期の需給は難しくなるばかりだ。
新型コロナの第4波で学乳等に影響が出なければと祈念したい。