乳滴/2021年8月10日号
不安を抱えたままで
新型コロナ禍から1年半余りが経過した。この間、学乳停止、牛乳乳製品需要の約半分を占める業務用需要の大幅な減少など、かつて経験したことのない事態を政府・酪農乳業界を挙げて乗り切った。しかし、収束の見通しが立たない現状にある中で、酪農乳業界も不安を抱えたまま推移している。
間もなく9月の飲用最需要期を迎え、一時的に需給はひっ迫するだろうが、気がかりは、やはり新型コロナだ。業務用の回復と学乳が安定供給される状況であってほしい。
20年3月2日には、感染防止対策として、政府の要請で小・中・高校が臨時休校となり、6月中下旬まで続いた地域もあった。同年度の学乳の供給量は約35万㌧で生乳生産量の4.8%、牛乳生産量の10.8%の割合だ。農水省の直近6月分の牛乳乳製品統計をみると、学乳停止の昨年との比較では今年の学乳向けは3月は9倍、4~5月は約5倍、6月になってようやく13.8%増まできた。
学乳向け数量では、今年3~6月は、12万8107㌔㍑。20年度同期比7万8776㌔㍑増、新型コロナ禍前の19年度の同期比9687㌔㍑増だ。
期待されるワクチン接種は進んでいるものの第5波が猛威を振るっている。先行きは見通せない。子供たちが笑顔で通学できる状況が続いてほしい。