乳滴/2021年10月20日号
酪農 サステナブル
酪農は土・草・牛の循環から乳肉を生み出す営みであり、今ほど声高に言われるより以前から、サステナブル(持続可能)な産業としてやってきた。ただここへきて排せつ物由来のメタン・一酸化二窒素、消化管内発酵由来のメタンが温室効果ガス(GHG)と指摘されている。
とはいえ欧米との比較やわが国全体のGHG排出量に占める農業の割合は少なく、排せつ物は再利用されており、食品産業から出る多様な副産物を飼料等として採り入れることで廃棄物抑制にも貢献。GHGを抑える飼料も開発されつつあるし、サステナブルの点で言えば、酪農は割と先進的な位置にいると思う。
真鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を独、伊の研究者とともに受賞。地球温暖化研究のさきがけとなる計算モデルを開発したことが評価された。
今年夏に開かれた国連の気候変動に関する政府間パネルで「人間の影響が地球を温暖化させてきたことは疑う余地がない」という趣旨の報告書が出されたばかりであり、地球温暖化対策に向けて世界の協調的な動きが加速しつつある。
EUは内燃機関車の新車販売を2035年にやめる目標を掲げた。工業界には難題かもしれないサステナブル対応だが、酪農にとっては、先進性をアピールするチャンスではないか。