乳滴/2021年12月10日号
移ろいゆく家族の姿
酪農家の暮らしについて、様々な意見はあろうが、近隣も含めて家族と一緒に生活できることの価値を挙げたい。特に年齢を重ねるにつれ、筆者にはその想いは強まる気がする。
11月30日に公表された2020年国勢調査によると、わが国の世帯数は年々増加。会社の独身寮などの施設等に住む世帯12万5千を除く一般世帯は、5570万5千で1世帯当たり人員は2.21人となった。
注目してほしいのは、その内訳。世帯人員1人世帯が2115万1千、38%と最も多く、2人世帯が1565万7千、28.1%と続く。3人以上の世帯はいずれも減少中だ。特に5人以上(5、6、7人以上の計)の世帯は303万8千で5.5%しかなく、いずれも二桁以上の減少を示している。
酪農家が一緒に暮らす家族数と比較してほしい。しかも、高齢単身者(65歳以上の単独世帯)は、増加し続けており、671万7千人もいる。
わが国の少子高齢化の現状は、総人口に占める65歳以上の割合は28.6%。諸外国(米、中、欧州、韓国等9カ国中)と比べると15歳未満人口は世界で最も低く、65歳以上人口の割合は最も高い水準だ。
農業で生計を立てている酪農家が地域に果たす役割はこれらの点からも貴重である。