全酪新報/2016年1月20日号

「酪農ヘルパーの利用日数が増加、年間21・74日」―人材確保が課題・酪農ヘルパー全国協会が2014年度実態調査

2016-01-20

酪農ヘルパー全国協会(砂金甚太郎会長)はこのほど、2015年8月1日現在の酪農ヘルパー利用組合の実態調査をまとめた。利用農家1戸当たりの平均利用日数は年々増えていて、2014年度は全国平均21.74日と0.91日増加した。傷病時利用制度も前年度に引き続き2千名を超え、ヘルパー制度の重要性が増している。一方でヘルパー要員数は減少傾向にあり、人材確保が喫緊の課題となっている。

お断り=本記事は1月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「TPP対策の検討課題、自民党がPTで検討開始へ」―今秋の骨太方針に反映

2016-01-20

自民党農林水産戦略調査会(西川公也会長)、同農林部会(小泉進次郎部会長)は1月14日、昨年決定したTPP関連対策大綱において、検討継続項目としていた課題に対して、党としての検討体制を決めた。このうち、肉用牛・酪農の生産基盤強化策、配合飼料価格安定制度の安定運営の検討は、畜産・酪農対策小委員会(坂本哲志委員長)が行う。検討結果は今年秋をめどに骨太方針として取りまとめる。


TPP大筋合意後、政府の政策大綱の策定とあわせて党では提言を公表。その中で、未来の農林水産業・食料政策のイメージの明確化(目標設定)と、生産者の努力では対応できない分野の環境整備のための継続的な検討を行うこととしていた。


検討テーマは12課題。生産資材価格形成の仕組みの見直しなどは、小泉部会長を委員長として新たに立ち上げた農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム(PT)が行う。西川会長は「農業を成長産業とするために、一丸となって方針をつくる」と決意を表明。小泉部会長は早々に検討に入る姿勢を示し「協力をお願いする」と呼びかけた。


党の検討にあたり山田俊男参議は、担い手農業者の確保が急務と強調。「若い担い手にどう就農してもらうかにかかっている」と述べた。12課題を検討する担当委員会、PTは次の通り。


▽農林水産業骨太方針策定PT(小泉進次郎委員長)


①農政新時代に必要な人材力の強化②生産資材価格形成の仕組みの見直し③生産者の所得向上に資する流通・加工業界構造の検討④原料原産地表示の検討⑤戦略的輸出体制の整備⑥チェックオフ制度の導入


▽農業基本政策検討PT(宮腰光寛座長)


⑦真に必要な基盤整備を行うための土地改良制度の見直し⑧農業者の就業構造改善の仕組みの検討⑨収入保険制度の導入に向けた検討⑩飼料用米の推進のための取組方策検討


▽畜産・酪農対策小委員会(坂本哲志委員長)


⑪配合飼料価格安定制度の安定運営の検討⑫肉用牛・酪農の生産基盤強化策の検討

「作付拡大分に1㌶当たり3万円上乗せ」―飼料生産型酪農経営支援事業を拡充、輸入粗飼料削減とセットで

2016-01-20

政府は2016年度の農林水産関係予算で、自給飼料生産と環境負荷軽減に取り組む酪農家を支援する「飼料生産型酪農経営支援事業」の事業を拡充し、2億1900万円増額の68億円を措置した。自給飼料基盤の強化に向けて、特に都府県で活用しやすいよう要件をさらに緩和する。事業を担当する畜産企画課畜産経営安定対策室に事業のねらいなどを解説していただいた。



――事業の目的と基本的な仕組みは?


酪農経営を継続できるために、ふん尿のほ場還元など環境負荷軽減に取り組みながら、安定的に自給飼料を確保していくことを支援するのが事業の目的だ。


支援対象は、飼料作付面積が北海道では1頭当たり40㌃以上、都府県では10㌃以上であること。加えて8種類の環境負荷軽減のメニュー(①たい肥の適正還元②耕畜連携③不耕起栽培④放牧の実施⑤無化学肥料または無農薬栽培⑥牧草サイレージの排汁低減・適正処理⑦副産物利用による草地の適正管理⑧環境負荷に配慮したデントコーン・ソルガム等生産)――から2つ選んで取り組む必要がある。要件を満たした酪農家には、飼料作付面積1㌶当たり1万5千円を交付する(交付金は10㌃当たり1500円で支払い、10㌃未満の端数は切り捨て)。



――今年度から交付対象に二期作・二毛作の2作目、耕種農家へ栽培委託分の面積が追加されたが、そのねらいは?


輸入粗飼料価格が上昇し、数年前に比べて高値で推移している。北海道・都府県ともに、酪農家が自給飼料生産・利用に重点を置いてもらい、面積拡大に努めてもらうために拡充した。



――来年度の事業拡充のポイントは?


2016年度より、輸入粗飼料の購入量を削減(面積拡大1㌶当たり1㌧以上の削減)、飼料作付面積を拡大(過去3カ年の最大の交付対象面積、新たに事業参加する場合は前年度の作付面積に比べて拡大)すれば、拡大面積分に応じて3万円を上乗せした1㌶当たり4万5千円を交付する。なお、例えば新しい土地1㌶で二期作(延べ2㌶)に取り組めば、その年は9万円支払われる。


その際、輸入粗飼料の購入量を減らしているかどうかは、購入伝票などで確認する作業を考えている。



――事業参加にあたり、酪農家が用意するものは?


まず、必要なのは、飼料作付面積の確認書類。同事業の参加者の多くは、農業委員会で整理している農地基本台帳を使っている。8種類の中から2つ選ぶ環境負荷軽減のメニューによっては、必要な書類が異なる。例えば、土壌・たい肥分析が必要なメニューなら分析結果の証明書、化学肥料を減らすメニューなら購入・販売伝票、放牧の取り組みなら放牧野帳などが必要になる。



――都府県の酪農家が取り組みやすい環境負荷軽減のメニューは?


一番使われているメニューは「無化学肥料または無農薬栽培」や「たい肥の適正還元」(たい肥・土壌分析と適切な施肥設計)。ただし酪農家から、2つ目のメニューが選べないとの声もあった。そこで28年度より、都府県では「環境負荷に配慮したデントコーン・ソルガム等生産」の要件を緩和した。このメニューを選ぶ場合、都府県では全作付面積に占めるデントコーン・ソルガム等の割合を「4割以上」としていたが、今後は「2割以上」へと緩和する。それにより、事業に参加しやすくなる酪農家は多いと考えている。



――事業参加申し込みの締め切りは?


年度内いっぱい、いつでも受け付けているが、各県協議会の確認作業など事務手続き上7月1日までの申し込みをお願いしている。ただし、作付面積が増えた場合や7月以降に、この事業のことを初めて知ったという酪農家がいたら、ぜひ事業参加の申請をしてほしい。



――来年度以降の事業の見通しは?


同事業は2020年度まで5年間、継続して措置する。作付面積が増えても対応できよう2017年度以降も必要額を予算要求していく。2014年度の交付実績をみると、北海道が全体の97%を占めている。都府県は3%、およそ1万2千㌶分。都府県では2015年度、前年比3~4割増える見込みだが、酪農主産地においても事業利用率の地域差は大きく、まだまだ活用できる余地はある。


農協等のバックアップが強く、県の協議会等がしっかり動いているところは、加入率が高い。今回の事業拡充や要件緩和で参加しやすくなっているため、ぜひ自給飼料生産に取り組んで、交付を受けてもらいたいと期待している。もちろん、TMRセンターやコントラクターなど飼料生産に係る外部化組織も事業に参加できる。


国の新たな食料・農業・農村基本計画でも、粗飼料自給率を2025年度までに100%とする目標を立てている。輸入飼料から自給飼料への置き換えを加速させるため、同事業は農水省を挙げて全面的に推進している。もし分からないことなどあったら、各農政局まで気軽に問い合わせてほしい。


今後、普及員や家畜保健衛生所、団体を通じて、酪農家に同事業の紹介および問い合わせ先等を記載したリーフレットも配布していく。

農水省が全国9カ所でTPP対策説明会を開く―影響試算、クラスター見直しなど

2016-01-20

政府は12月24日までにTPP対策を盛り込んだ2016年度農林水産予算案を決定した。農水省は1月7~19日にかけて全国9カ所でブロック別説明会を開き、TPP大筋合意の内容と影響試算、対策の考え方を説明した。


ブロック説明会では総論のほか水田・畑作、園芸、畜産の分野別で2016年度事業の内容等を説明し、関係者と質疑を行った。今後、2月10日まで都道府県別の説明会も順次開く。


このうち1月8日に開いた関東ブロック説明会の畜産分科会には都県・市町村担当者、関係団体、報道関係者など約90名が参加した。農水省畜産企画課の水野政義課長らが来年度予算の畜産・酪農関係対策の概要を説明した。


畜産・酪農関係対策の目玉である畜産クラスター関連事業には、今年度予算額(279億円)を大きく上回る610億円を措置した。地域の関係者が結束して収益性向上を図る取り組みを支援するもので、クラスター計画の策定が必須だ。計画の中で定めた中心的経営体の施設整備、機械リース導入、家畜導入に2分の1補助する。


2016年度からは事業を基金化することで、複数年度にまたがった取り組みも支援できる。水野課長は「基金化により、段階的に規模拡大して畜舎整備を進めたいという計画を支援できる。事業運用がかなり柔軟になる。今年度は(予算決定から)生産者にかなり急いでもらった。来年度は余裕をもって事業を進める」と説明した。


併せて事業の運用方法も大きく見直す。施設整備への支援にあたり経営の法人化計画が必要だったのを、①青色申告の実施②後継者がいること(または経営者が45歳未満)③知事特認を得ること――を全て満たした経営には、法人化予定がなくても支援対象とする。


「個人事業者に補助をするには、経営と家計をしっかり分離できているか確認する必要があり、法人化が要件だった。2016年度からは、家計との分離、経営の継続性が認められれば家族経営も対象になる」(水野課長)。機械リース導入への支援では、施設整備との一体性を高めるため補助金交付方法を見直す。今年度予算で実施した機械リースへの補助は、複数の事業実施主体(11団体)を通じて交付する形だったが、来年度は全国1団体体制とする。「施設整備と機械導入の整合性の確認には、都道府県にも関与してもらう」(同)として都道府県の指導を呼びかけている。


畜産クラスター関連事業と併せて基金化する事業として、農水省は「畜産経営体質強化支援資金融通事業」を措置した。クラスター計画の中心的経営体や認定農業者の既往負債を一括借り換えするもの。貸付当初5年間、無利子で融資し、償還負担の軽減を支援する。


出席者との質疑の席上、畜産クラスター事業のうち機械リース補助の交付方法見直しについて水野課長は「今年度の事業では、機械リース支援で、いくつかの団体(事業実施主体)が上限額を設定していたと聞いている。国として上限を設けるつもりはなく、収益性向上につながる取り組みであれば集中的に支援する考え方。『上限額の設定は止めてください』とお願いしたが、十分に手当てされないまま続いてしまった」と説明。「上限額が設定されないよう気を付けていく」と述べた。

連絡先・MAP

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所在地 〒151-0053
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酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
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