全酪新報/2016年2月1日号

「2016年度の生乳生産は減少見込み」―都府県の搾乳牛頭数が減少、今年度の増産基調から一転

2016-02-01

Jミルクは1月27日、2016年度の生乳及び牛乳・乳製品の需給見通しを公表した。増産基調の今年度から一転、生乳生産量は減少する見通し。北海道は引き続き堅調に推移するが、都府県は搾乳牛頭数が減少傾向にあることから減少を予測した。


需要面では、牛乳の消費は減少するが、好調な、はっ酵乳は、引き続き増加傾向を見込む。バター・脱脂粉乳は、国内の生産量だけでは需要が満たせない。仮に、バター需要を満たすためには、約20万㌧の生乳が不足する見通しだ。

お断り=本記事は2月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「生産基盤強化が引き続き課題」農水省・森課長―県別酪近計画で対応求める

2016-02-01

農水省牛乳乳製品課の森重樹課長は、直近の生乳生産動向について「関係者の努力により生乳生産回復の兆しが見えてきて前年比プラスで推移。バター生産も増えたため年末のバター需給は比較的平穏に推移した。ただし、国内需要を賄うには国内生乳生産量が足りず、生産基盤の強化が引き続き課題だ」との認識を示し、「県別の酪肉近計画や取り組み方針について引き続き検討を」と各都道府県の対応を求めた。農水省が1月15日に開いた全国畜産課長会議の席上述べたもの。


森課長は、政府のTPP関連政策大綱に盛り込んだ加工原料乳生産者補給金制度の見直し(生クリーム等液状乳製品向けの追加、単価一本化等)について「経営安定対策の側面もあるが、加工原料乳の用途間の移動を円滑にする手当でもあるので、協定発効を待たずになるべく早くスタートできるよう、2017年度からの実施へ準備を進めている」と状況を説明した。


都道府県・市町村ごとの酪肉近計画見直しに関連して森課長は「生産者団体の組織・業務見直しを酪農家の所得向上の観点で進める。指定団体広域化から15年が経ち、酪農家戸数が減少し、とりまく環境が変わった。TPP合意により将来の姿も変わる。これを機会にあるべき姿を検討してもらい、各県も積極的に取り組んでほしい。兵庫県では組織一元化の準備が進んでいるという優れた事例を承知している」と生乳流通合理化の取り組みに協力を求めた。


さらに「我が国の人口が長期的には減る中で、牛乳・乳製品の需要確保が重要な課題。TPP対策でも輸出促進や新商品開発などの事業を打ち出す」と説明した。

「畜産クラスターの運用見直し、地域全体の収益向上を重視」―農水省、採択優先順位を明確化

2016-02-01

農水省は畜産・酪農対策の目玉である畜産クラスター関連事業の運用を2016年度より大きく見直す。クラスター計画に基づく中心的経営体の施設整備、機械リース導入、家畜導入を支援するが、今後は地域全体の収益性向上につながる計画づくりを重視する方針。そのため都道府県の指導や協力を呼びかけている。全国畜産課長会議で、農水省畜産企画課が畜産クラスター関連事業の運用見直し案を示した。


それによると、①地域の関係者が連携・一体となって地域全体の収益性向上を図る趣旨が十分に反映されたクラスター計画となっていて、その実現のために必要な事業を採択する②クラスター計画・事業実施計画の総合評価が趣旨を踏まえて適切に実施され、その内容に応じて付された優先順位を踏まえて採択する(都道府県は計画を十分に精査し、明確な優先順位を付すこと)③総合評価の結果が一定水準に満たない計画については採択しない④要望調査を複数回行い、計画を見直しすることで再チャレンジ可能とする――などを基本的な考え方とする。


併せて、クラスター計画の総合評価基準を見直し、現状分析や将来像の具体性や、都道府県の施策の取り組みなどを反映した計画づくりを重視する。そのため「都道府県や協議会は、まず計画を十分に検討することを優先してほしい」と綿密な計画づくりを求めた。


畜産企画課は2月~3月にかけて事業参加の要望調査を行う。「事業を基金化したこともあり、計画を重視したい。しっかりヒアリング期間をとり、繰り返し要望調査を行いながら準備を進める。都道府県にはクラスター計画の具体性などを精査してほしい」と協力を呼びかけた。


水野政義畜産企画課長は畜産クラスターと関連する事業として、担い手経営発展支援金融対策事業(2015年度補正100億円)を措置したことを説明した。スーパーL資金を実質無利子化、無担保・無保証人化するもので「クラスター計画を実施するときに、補助に頼ることなく自己資金を調達する場合、もしくは補助を活用する場合の資金繰りを支援できる。こういった支援も踏まえて計画づくりを推進してほしい」と述べた。


なお、畜産経営の資金繰り対策では、このほか2015年度補正予算で畜産経営体質強化支援資金融通事業(基金化)を措置。クラスター計画の中心的経営体や認定農業者の既往負債を一括借り換えし、償還負担の軽減を図る。

「バター・脱脂粉乳の2016年度CA枠は2月に入札」―農水省は5月にも追加輸入判断

2016-02-01

Jミルクが公表した乳製品需給見通しを踏まえ、農水省は1月27日、2016年度のカレントアクセス(=CA)でバター7千㌧(生乳換算で8万6千㌧)と脱脂粉乳2千㌧(同1万3千㌧)の輸入を決めた。それを受け、農畜産業振興機構は2月中に輸入入札を実施する。追加輸入が必要なのかどうかについては、5月に判断する。


バターについては、Jミルクが8200㌧不足すると予測。CAで7千㌧輸入するが、その差1200㌧分について、農水省の本田光広乳製品調整官は「CAだけで十分だと思うが、できる限り余裕を持たなければならない。在庫を取り崩して対応することになるのか、追加輸入するのかどうか。今後の動向などを踏まえ、年内に必要な分は5月に判断する」と説明した。


また、Jミルクの前田浩史専務は「農水省が発表することにより、乳製品需給に対する不安は解消されると思う。不足が見込まれるバターの量は、生乳換算するとCAで輸入する乳製品と同程度。単年度に限れば、均衡が図れるだろう」とコメントした。


近年のバター不足問題を受け、農水省は昨年から乳製品輸入の運用方法を改善。追加輸入が必要かどうかを5月と9月に判断すると時期を明確化し、ユーザーが供給不安を抱かないように配慮している。昨年は5月に追加輸入を実施し、年末需要に備え、9月の段階では追加輸入は必要なしと判断した。

「バター不足、和らぐ見通し」―森山農相が閣議後の会見で言及

2016-02-01

2016年度CAでバター7千㌧輸入を決めたことに関して、森山裕農相は1月29日の閣議後会見で「洋菓子店が増えており、一般消費者向けバターがそういうところに流れていたことも事実だ。洋菓子店向けのパッケージのものが少なかったということもある。今後、7千㌧の輸入のなかで洋菓子店向けの、例えば1㌔とか5㌔のものを準備することになる。一般消費者向けバターの不足は間違いなく和らいでくる」と説明した。

「畜産体質強化へ協力求める」―農水省・大野畜産部長が全国畜産課長会議で

2016-02-01

農水省は1月15日、省内講堂で2015年度第2回全国畜産課長会議を開き、畜産クラスター関連事業の拡充・見直しのポイントなど2016年度の畜産・酪農関係予算の概要を説明し、意見交換した。地方農政局、各都道府県の畜産担当者、関係団体など約180名が参加した。


開会にあたり大野高志畜産部長は、政府が昨年11月に策定したTPP関連政策大綱について「一番大事なのは生産者の不安払拭。何があっても経営継続できるよう、経営安定対策を充実する。そのため大綱では、フワフワとした(あいまいな)言葉ではなく、具体的に示した」と述べ、牛・豚マルキンの法制化と補てん率引き上げ、加工原料乳生産者補給金制度に生クリーム等液状乳製品向けの追加と単価一本化など、具体的な方針を大綱に盛り込んだ経緯を説明した。


その上で「大綱のもうひとつの柱は体質強化対策だ。2015年度補正予算でTPP対策として、畜産クラスター事業、草地の大区画化、酪農・肉用牛の生産力強化、加工処理施設の再編など第1弾の対策を打ち出す」と述べ、「目的の達成には関係者の協力が不可欠だ」と都道府県行政、関係団体の協力を求めた。


畜産・酪農関係対策の目玉である畜産クラスター関連事業は、地域ぐるみで収益性向上を図るクラスター計画に基づき、中心的経営体の機械リース導入、施設整備、家畜導入を支援するもの。来年度より事業を基金化し、要件を満たせば家族経営を対象に加えるなど拡充する。


大野部長は「地域ぐるみで計画をつくり、収益力向上を目指す。しっかりとした計画づくりを手伝ってほしい。畜産クラスターは生産基盤強化の屋台骨の事業だ。国としてもTPPに負けないどころかさらに強い畜産を築き上げたい」と呼びかけた。

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