全酪新報/2016年2月20日号

「経営安定対策の創設など柱に」―酪政連が事務局長会議に来年度運動方針案を提示

2016-02-20

酪政連(佐々木勲委員長)は2月18日、東京・代々木の酪農会館で事務局長・担当者会議を開催した。3月4日に開く平成28年度通常総会に提出する運動方針案が示された。重点政策として酪農経営安定対策(セーフティネット)の創設、自給飼料増産のための制度の拡充などを掲げた。また、それらの政策実現を要請する上で重要と位置付ける7月の参院選に向けた運動方針についても意見が交わされた。

お断り=本記事は2月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「TPP協定発効へ自民党が結束を確認」―谷垣幹事長が協力呼びかけ

2016-02-20

TPP協定の署名を受けて、自民党TPP総合対策実行本部(稲田朋美本部長)は2月5日の会合で、今後の国内手続きに向けて議論を始めた。谷垣禎一党幹事長は「いよいよ舞台は国内手続きに移る。万全の体制で協定発効にのぞむには、国内対策をさらに進めるとともに丁寧な説明が必要。党として結束と協力を」と呼びかけた。


甘利明氏の後任としてTPP担当相(経済再生担当大臣)に就いた石原伸晃衆議(東京8区)は「農家の方々が不安を完全に払拭している状況ではないが、やはり攻めの農業だ。農政新時代、良いものは売れる、コメも(日本産を)欲しがっている。そういうことをしっかり進める。これはチャンスだ。TPPを使って中小企業の良いものをもっと活用してもらおう」となど強調し、「守るべきものを守った農業を政策で心配ないようにする。早期の発効を目指して頑張る」と述べた。


この日の会合では他国の政治情勢等について議論した。署名式に出席した高鳥修一内閣府副大臣は、TPP大筋合意後に政権交代があったカナダの動向を説明。「閣僚会合や前日の夕食会で議題の中心になったのはカナダ。現政権(自由党)は交渉に参加していない。選挙のキャンペーンで自由貿易体制を支持するとは言ったが、TPPを進めるとは掲げていないという。(カナダが)ドアを開けておくために署名はするが、国内手続きをどうするかは、この場では約束できないと話があった。それでは署名の共同声明を出せないと文言で苦心したが、結果としてカナダも納得した上で署名した」と経緯を述べた。


その他の国の情勢について渋谷和久国内調整統括官代理が「シンガポールとブルネイはそもそも議会手続きの必要がない。豪州とニュージーランド(NZ)は大臣が会見で1カ月以内に議会手続きを始めたいと説明した。マレーシアでは条約の議会承認はいらないが、TPPは特別として、上下両院が署名に先立ち国内手続きを進めていく動議をした。ペルーは4月に総選挙があり現政権の任期までに何とかしたいと公言している。メキシコ・チリ・ベトナムもできるだけ早くという話だ。米国のオバマ大統領は声明で年内には何とか成立させたいとしている」と各国の状況を報告した。


なお、TPP協定の発効は、①署名後2年以内に12カ国全てで国内手続きが完了、②署名から2年後であれば参加国全体のGDPが85%以上を占める最低6カ国で国内手続きが完了――が条件。手続きを満たせば60日後に発効する。


署名式が行われたNZを党の派遣議員団として訪ねた西川公也衆議(党TPP総合対策実行本部長代理、農林水産戦略調査会長)は、乳製品輸出の大手メーカー、フォンテラ社幹部と面談したことを報告した。

「指定団体業務・生乳流通の合理化、改革へ生産者団体自ら議論を」―農水省の金澤課長補佐が酪政連事務局長会議で講演

2016-02-20

指定団体業務・生乳流通の合理化をめぐり、農水省牛乳乳製品課の金澤正尚課長補佐は「『規制改革』といった外からの圧力ではなく自ら見直して改革し、より良き方向を議論していただきたい」と述べ、生産者団体自身による業務の見直し・合理化が必須との見方を示した。酪政連が2月18日に開いた事務局長会議で講演、言及した。


金澤課長補佐は「都府県8つのブロック指定団体では、その下に県連、単協、または県酪一本になっているところもある。先々の戸数の減少もある程度避けて通れないなかで、こういった多段階になっている組織のあり方も今一度検証する必要があり、各県での議論をお願いしたい」と各酪農組織の理解を求めた。また「実は年末年始にかけて各ブロックで、県にも入っていただき酪農組織のあり方について意見交換をした」と報告。さらに「集送乳経費は地域によって経費のバラツキがあり、やむを得ない部分もあろうかと思うが、下げられる部分もある」とあらためて指摘した。

「全国自給飼料生産コンクール」長坂さん夫妻(北海道標茶町)に大臣賞―草地畜産協会が主催

2016-02-20

日本草地畜産種子協会は2月10日、都内で第2回全国自給飼料生産コンクール賞状授与式を開催。北海道釧路管内標茶町で放牧酪農を営む長坂浩行さん・可菜さん夫妻に農林水産大臣賞が贈られた。同コンクールは飼料基盤に立脚した優れた経営事例を表彰・紹介することで自給飼料基盤の重要性について啓発することを目的に開かれているもの。


長坂さんの経営について萬田富治審査委員長(北里大学客員教授)は▽地中熱利用システムを組み込んだ新タイプのフリーバーン牛舎と集約放牧を組み合わせによる省力化の達成、草地面積に応じた適正規模の経営▽冬が長い寒冷地向きの放牧酪農経営のモデルを構築▽家族労働時間を短縮したゆとりある経営を実現する一方で十分な所得を確保▽地域の酪農家と放牧研究会を運営し、仲間とともに経営技術向上を図っている――などの点を高く評価した。


授与式で同協会の野口政志会長は「儲かる経営とするためには、生産コストの約半分を占める飼料費をいかに下げ、所得の増加に結び付けるか」と述べ、自給飼料確保の重要性を強調した。


また、来賓として出席した農水省の富田育稔飼料課長は「昨年策定した酪肉近に基づき、自給飼料増産を進めるべく、関係者と一体となって飼料増産運動を展開している。受賞した経営を紹介させていただき、広く自給飼料の啓発を図りたい」と述べ、国としても自給飼料増産に向けた体制構築を進める考えを示した。コンクール受賞者は次のとおり(敬称略)。


農林水産大臣賞


▽長坂浩行・可菜(放牧部門・酪農経営)北海道標茶町


生産局長賞


▽㈱Harmony with、澤田真代表(飼料生産部門・酪農経営)石川県内灘町▽アグリアシストシステム㈱、石原聖康代表(飼料生産部門・飼料生産受託組織)岡山県津山市▽フィールドマスター合同会社、林二雄代表(飼料生産部門・飼料生産受託組織)熊本県八代市


協会会長賞


▽ぬげん谷飼料機械利用組合・美間坂和久組合長(飼料生産部門・飼料生産受託組織)佐賀県唐津市

「全酪連の酪農セミナー・ワークショップ盛況」―930名が参加

2016-02-20

全酪連が1月下旬から2月上旬にかけて開いた酪農セミナー2016・全酪連ワークショップ2016に全会場合わせて930名が参加した。


酪農セミナーは「近未来の酪農経営に備える~10年後のための酪農経営戦略」をテーマに熊本市、帯広市、岡山市、名古屋市、仙台市、栃木県那須町で開かれた。全酪連ワークショップは普及員・企業栄養士・コンサルタントなどを対象に帯広セミナーの翌日に同会場で行われた。ともに全酪連技術顧問のラリー・チェイス博士(米国コーネル大学名誉教授)が講師を務めた。


講演は農場継承上の留意点、乾乳牛の暑熱対策の重要性、ロボット搾乳システム導入上の留意点、初乳に関する新しい情報、NDF(総繊維)に関する新しい話題――など、多岐にわたって詳細な説明がなされた。

「農水省が農政新時代地方説明会のQ&A集」―ホームページに公開

2016-02-20

農水省はこのほど「農政新時代キャラバン説明会」で寄せられた主な質疑応答をまとめたQ&A集をホームページ上で公開した。


キャラバンはTPP大筋合意の内容と影響試算、政府対策大綱等を農水省が説明、質疑に答えたもので、全国で開かれた。キャラバンについて森山裕農相は2月16日の定例会見で「現場の理解度はまだら模様だ。現場と農水省が大きな方向感を共有することが重要で、引き続き市町村別・集落別などきめ細かに説明を続けたい。現場と国の双方向の意思疎通が可能な仕組みを構築したい」と述べた。

連絡先・MAP

一般社団法人 全国酪農協会
所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
     :03-3370-5488
(指導部・全酪新報編集部)
     :03-3370-7213
FAX番号 03-3370-3892
アクセス JR・都営大江戸線ともに
「代々木駅」から徒歩1分
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