全酪新報/2016年3月1日号

「優秀国産種雄牛作出委員会(J-Sire)が初の種雄牛選抜」―4月から凍結精液を販売、生産者目線で厳選

2016-03-01

優秀国産種雄牛作出検討委員会(J-Sireプロジェクト、菱沼毅委員長)は2月23日、酪農家をはじめとする乳牛改良に関係する機関や団体が協力して作出した生産者目線のホルスタイン種雄牛2頭を初めて選抜したと発表した。凍結精液は4月1日から販売される。

お断り=本記事は3月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「カレントアクセス(CA)で乳製品需給安定」―Jミルクが需給見通し説明会で見解

2016-03-01

Jミルクは2~3月にかけて全国6カ所で来年度の生乳及び牛乳乳製品需給見通し説明会を開いている。説明会では、国が発表したカレントアクセス(CA。毎年生乳換算13万7千㌧の輸入義務)枠内でのバター7千㌧、脱脂粉乳2千㌧の輸入売渡しを加味した乳製品在庫水準等の見通しを示した。


説明会の皮切りとなった東京会場(2月23日)にはJミルク会員等約120名が参加した。


Jミルクはすでに1月27日、2016年度通年の需給見通しを公表し、同日、農水省もCA枠内でバター7千㌧、脱粉2千㌧の輸入入札を行うと発表した。


そのため説明会でJミルクは、CA輸入売渡しを加味した需給見通しを示した。それによると脱粉の年度末在庫量は5万6600㌧で前年比5.9%減、バターの在庫量は2万1700㌧で5.1%減。1月公表時点の見通し(脱粉9.2%減、バター35.8%減)に比べ、CA輸入により在庫を底上げできる。


Jミルクは「CA輸入後に足りない分を在庫切り崩しで安定供給に対応する」(生産流通グループ)として、CA輸入により来年度の生乳全体の需給は安定が図られる見込みを説明した。


なお、Jミルクは今後の対応として生乳生産基盤の強化を掲げたが「乳牛への和牛種付けがかなり増えている。後継牛頭数の減少傾向が今後どこまで進むかが最大かつ喫緊の課題」(同)と指摘し、計画的な乳牛資源確保が急務と述べた。

「配合飼料価格値下げ」全農が3月出荷分に特別対策―急な円高により生産者に還元

2016-03-01

JA全農は2月上旬から急速な円高が進んだことを踏まえ、3月出荷分の配合飼料供給価格を1㌧当たり1500円値下げする配合飼料特別対策を実施する(全国全畜種総平均)。


すでに1~3月期の配合飼料価格を1㌧当たり700円値下げ(前期比)を実施していたが、特別対策の理由として全農は「米国経済の減速懸念により利上げが先送りされる見通しとなったこと、世界的な株安などにより、2月上旬から急速に円高が進んだこと」などを理由としている。

「初妊牛価格が高騰、70万円超えも」――育成牛・経産牛も強含み

2016-03-01

全酪連札幌支所の取りまとめによると、3月1日現在の初妊牛価格(庭先選畜購買)は65~73万円まで高騰している。育成牛、経産牛も強含みで、初妊牛は今後も上昇する可能性があるとしている。


3月の初妊牛動向は、5~6月分娩が中心。春分娩は需要が高い上、今年は道内外のメガファームの引き合いが重なり、例年よりも高値で推移すると見込んでいる。


また、種付け前の育成牛相場は50万円前後と2月よりも高値で取引されていることから、今後の初妊牛相場は上昇するか高値維持で推移すると見ている。

「補給金算定方式の議論開始」―生クリーム等加え、2017年度の補給金単価、一本化に向け検討会

2016-03-01

農水省は3月1日、東京・三番町の共用会議所で、第1回補給金単価算定方式等検討会を開く。昨年11月25日に決定された「総合的なTPP関連政策大綱」で、生クリーム等の液状乳製品を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加、補給金単価を一本化することを決定していた。


このため農水省では、酪農家・指定団体・乳業関係者等、有識者からなる検討会を立ち上げ、液状乳製品追加後の補給金単価の算定方式等について検討する。


生クリーム等の補給金への一本化はTPP発効を待たず2017年度から実施される見込みで、検討会では具体的な算定方法等を議論する。議題は▽検討会の設置について▽現行制度の検証等について▽その他――で、会議は公開で行われる。

「乳製品の国際価格は2007年以降、乱高下」―野村俊夫氏(雪印メグミルク)が全国酪農協会「酪農未来塾」で講演

2016-03-01

全国酪農協会が1月27~28日に神奈川県内で開いた第4回酪農未来塾の中で、雪印メグミルク㈱総合企画室の野村俊夫氏が「最近の主要国の酪農及び乳製品国際相場を巡る情勢について」と題して講演した。最近の乳製品の国際市場の概要や主要輸出国の酪農の特徴を解説したので、その概要を紹介する。


国際相場に影響を与える情勢の変化


世界で約7億㌧あるとされる生乳のうち、約4割は零細な規模の酪農家が乳を搾って地域内で消費するもので、それは表には出てこない。残りの6割が殺菌処理して牛乳・乳製品に加工される。さらに、そのうちの9割が国内で消費される。


輸出に回るのは残りの1割のみと、ごくわずかしかない。輸出国は限定的で、ニュージーランド(NZ)、EU、米国、豪州、アルゼンチンの5カ国で96%のシェアを占めている。乳製品の輸入量が最も多かったのは、かつてはロシアだったが、近年は中国。その中国の輸入量は好景気とともに右肩上がりで推移していたが、不景気に伴い2014年には約半減した。


次に輸入量の多いロシアにおいても、ウクライナと戦争状態になったことに対し、EU諸国は2013年に経済制裁を措置した。それに対しロシア側は、西側諸国からの乳製品輸入を停止したため、EUのチーズ輸出国に大きな影響を与えている。


乳製品の国際価格は、2007年以降、乱高下を繰り返すというこれまでとは明らかに異なるステージになっている。かつては供給側と需要側のバランスが取れていたが、世界中どこにもモノがないという事態が発生するようになった。


現在ではロシアや中国の影響もあり、乳製品価格は暴落しているが、いつ急激に上がるかも予想出来ない状況にある。


主要乳製品輸出国の酪農の現状


▽ニュージーランド


典型的な周年放牧による酪農が大きな特徴。酪農家戸数が減少する中、パーラーまでの牛の移動距離も限界があることから、規模拡大が制約されている。生乳生産量は年々増加し、2014/15年は約2100万㌧まで伸びたが、2015/16年は国際相場の関係により減少すると予測されている。


一時、酪農に利用出来る放牧地は使い尽くしたと言われていたが、南島の乾燥した地域にも灌漑設備と草地改良により放牧地を拡大。草地改良などの研究の成果もあり、1㌶当たりの飼養頭数は上昇している。


現在では補助飼料として、パームヤシ粕(インドネシア等より輸入)を大量に給与している。しかし、現在の乳価は乳固形分1㌔当たり4.69NZ㌦(1㌔当たり31.2円、1NZ㌦=77円)と、2013年頃と比較して、半分近くまで下がっている。そのため、経営的に補助飼料の給与が厳しくなってきている。


▽オーストラリア


乾燥した地域が多いため、灌漑あるいは年間の降雨が多い地域で酪農を展開している。酪農家戸数は年々減少し、現在は6千戸ほど。生乳生産量は2000年のピーク以降、減少が続いて増加は見込めない。1頭当たり乳量は5700㍑。生産量の約4割を輸出しており、乳価は2000年に飲用向けや加工向けを一本化、生乳の州間流通販売も自由化されたことで、近年では乳価は上下に大きく変動している。


▽アメリカ


北海道酪農と形態が似ている5大湖沿岸のほか、カルフォルニアやアリゾナは乾燥地帯で1千頭以上と大規模な経営を展開しているのが大きな特徴。


国内の需要は強く、生乳生産は9千万㌧以上まで伸びてきており、国内の市場規模の大きさから乳製品のほとんどは国内で消費されている。


近年、飼料価格の乱高下に伴い、乳価も上下の波が大きくなり、酪農経営が不安定になってきた。そこで、4年ごとに見直す農業法において、酪農政策の見直しを行ない、収益低落時に補てん金を交付する生産者収益保護制度を盛り込むことで対応している。


▽EU


国別の割り当てにより、生乳生産量はほぼ横這いで推移。2015年4月にクォータ制度が廃止されたが、オランダやアイルランドなど一部では生産を増やしている一方で、他国ではそれほど増えておらず、全体では1%増程度。かつての生産過剰の頃は、輸出補助金なしでは輸出できなかったが、現在では補助金なしで国際マーケットに輸出できる価格になってきている。乳製品価格が低下してきているため、クォータ制度を廃止しても増産できないのが現状だ。


乳製品の国際市場の緩和により乳価は大きく変動している。現在は100㌔当たり31.23ユーロ(1㌔当たり約40円、1ユーロ=128円)。

連絡先・MAP

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