全酪新報/2017年9月20日号

「輸入濃厚飼料削減に追加交付」飼料生産型事業2018年度概算要求――1歩進んだ取り組みに手厚く支援

2017-09-20

農水省は来年度(2018年度)の農林水産関係予算概算要求で、自給飼料生産と環境負荷軽減に取り組む酪農家を支援する「飼料生産型酪農経営支援事業」に、前年度同額の69億6千万円を要求した。来年度は輸入濃厚飼料の削減を追加交付の要件に加えたほか、事業への継続参加には3年ごとの作付面積の拡大を要件化するなど内容を改正。従来の取り組みからさらに一歩進んだ経営への支援を手厚くする。

お断り=本記事は9月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「酪農経営安定対策に440億円」農水省が今年度と同額計上――集送乳調整金は年末決定

2017-09-20

政府は2018年度農林水産関係予算概算要求で、酪農経営安定対策に今年度同額の439億7600万円を計上。加工原料乳生産者補給金の単価と新たに交付する集送乳調整金は年末に決定するため、所要額は今年度と同額を要求した。集送乳調整金の算定方法については、今後検討を進める。そのほかの予算要求に大きな変更はない。


酪農経営安定対策のうち、加工原料乳生産者補給金(通称=ゲタ)は前年度同額の369億9100万円を要求した。年末に補給金単価と交付対象数量が決まるため、要求額は仮置き。今年度より生クリーム等の液状乳製品を制度の対象に加え、補給金単価(1㌔当たり10円56銭)と交付対象数量(350万㌧)を一本化して実施している。


また、補給金の交付対象者の範囲が拡がることから、システム改修費等を支援する「加工原料乳生産者経営安定対策事業(ナラシ)」の推進事務費を前年度比1600万円増額の2500万円を要求した。


そのほか、牛乳乳製品課所管の事業では、学校給食用牛乳供給推進事業は前年度同額の7億4400万円を要求。条件不利地域への学乳供給や小中学校等の学校給食における牛乳の新規供給など例年と同様に支援する。乳業等の再編・合理化への支援は、強い農業づくり交付金(201億7400万円)の内数で実施。乳業工場やクーラーステーション等の新増設・廃棄、新増設を伴わない乳業工場の廃棄などの取り組みを支援する。

「仙台で和牛全共開催、大分と宮崎が名誉賞」――14高校から飛騨高山高校に最優秀賞

2017-09-20

全国和牛登録協会主催の第11回全国和牛能力共進会が9月7日~11日の5日間、仙台市で開かれ、審査の結果、種牛の部名誉賞には大分県、肉牛の部名誉賞には宮崎県がそれぞれ選ばれた。和牛全共は、全国道府県から選抜された優秀な和牛が一同に会し、改良成果と肉質の優秀性を競う大会で、5年に1度開かれている。


宮城全共の出品頭数は全国39道府県から種牛の部330頭(審査会場・夢メッセみやぎ)、肉牛の部183頭(同・仙台市中央卸売市場食肉市場)の計513頭で、和牛全共史上最多頭数となった。


夢メッセみやぎでは種牛審査のほか「感謝と美味しさ牛(ぎゅー)ッと込めて和牛の祭典2017inみやぎ」と銘打った消費者向けイベントも同時に開催され、全国銘柄牛の試食、販売などが行われた。


全共には、復興特別出品区として全国の畜産系の高校14校が出品し、岐阜県立飛騨高山高校が最優秀賞を受賞。このほか優秀賞は(1席)宮崎県立高鍋農業高校、(2席)兵庫県立但馬農業高校、(3席)宮城県柴田農林高校、(4席)鹿児島県立市来農芸高校が受賞した。


次回第12回全共は5年後(2022年)に鹿児島県霧島市で開催される。

「性選別精液の効率的活用推進し後継牛を確保」――家畜改良事業団・伊地知理事長にインタビュー

2017-09-20

畜産の生産基盤弱体化により後継牛が不足し、その確保が課題となっている。酪農経営をF1やET和牛生産などで収益を補うことが良いことなのか、それとも後継牛をしっかり確保すべきか――。本年6月に新たに家畜改良事業団の理事長に就任した伊地知俊一氏に抱負や現在の課題、後継牛を確保するために求められることなどについて話をうかがった。


理事長就任に当たっての抱負は。


当団は家畜の改良が中心的な仕事で、それは生産性向上の基本であり、優良な種畜の効率的な作出とその精液等を利活用していただき、農家の収益性向上と経営体質を強化することで、我が国畜産の生産基盤強化に貢献したい。


現在、我が国の畜産を取り巻く状況は厳しい。その中で大変やりがいがあり、かつ農家の役に立てる仕事だと思っている。一生懸命頑張りたい。


家畜改良の現状と課題は。


我が国の乳用牛の改良・増殖をめぐる現状と課題については、2015年3月に国が公表した「家畜改良増殖目標」の策定時に議論されたことだが、我が国の経産牛1頭当たりの乳量は、改良の進展と飼養環境の改善によって年々増加してきた。しかし、近年の猛暑や繁殖性の低下など、飼養管理面での影響により遺伝的能力が十分に発揮されておらず、個体乳量の伸び悩みがみられる。


さらに、飼養頭数の減少に加え、経産牛の供用期間が短縮傾向にあること等もあり、全体的な生乳生産量の回復も十分ではない。そのため、引き続き乳用牛の改良・増殖を進めながら、その遺伝的能力を最大限発揮させることが必要だ。


また、受胎率の改善、肢蹄故障や乳房炎等の乳器障害の発生予防を図るための飼養管理の励行、経産牛の供用期間の延長を推進するとともに、高能力牛に対する性判別技術の活用による優良後継牛の効率的な生産の促進が課題となっている。


当団としては引き続き能力の高い種雄牛を作出するため、乳用種雄牛後代検定事業や乳用牛群検定促進事業などを実施し、性選別精液や体外受精卵の生産・供給を強化して、その精液や受精卵を使って頂くことで農家の収益向上のお手伝いをしていきたい。


現在、後継牛が足りない状況だが、酪農経営全体の収益性を高めるためには、性選別精液をうまく活用して能力の高い後継牛を確保した上で、和牛の精液や受精卵を使ってより付加価値の高いF1や和牛を生産すれば収益性をさらに高めることができると思う。


今後の改良の進め方は。


効率的な優良種畜を選抜・作出するため、引き続き乳用種雄牛後代検定事業、乳用牛群検定推進事業等を実施するとともに性選別精液や体外受精卵の生産・供給を強化し、農家における利用促進に努めたい。


また、牛のDNA解析技術、特にSNP情報を利用した新たな遺伝的能力評価であるゲノミック評価への取り組み等を充実し、畜産農家の収益性向上と我が国畜産の振興に貢献したい。


後代検定については、受益者を主体に現場ニーズに応じた種雄牛作り(J―sireプロジェクト)に取り組むことになり、現在はJsire25頭を含む160頭の候補種雄牛について、1頭当たり50頭の娘牛で検定が行われ、家畜改良センターで評価を行い総合指数NTP(Nippon Total Profit Index)上位40頭の精液の使用が推奨されている。


なお、NTPとは分泌乳能力と体型をバランスよく改良することで、長期間着実に供用できる経済性の高い乳用牛を作出するための指数だ。


国際化が進展する中で、海外からの輸入精液が増加している。海外からの精液については能力検定の評価が出ていないヤングサイア等の精液輸入が増加しているが、日本の飼養環境下で高能力を発揮する種雄牛を選抜することが重要と考えている。



後継牛確保対策にどのようなことが必要か。


性選別精液や受精卵に対する国による支援が措置されていており、事業がより効果的に実施されるようお手伝いしたい。


後継牛については、飼養牛群の中のゲノミック評価等で最も優良な雌牛を選抜し、能力の高い種雄牛の性選別精液「ソート90X精液」を交配することで効率的に作出することができる。


性選別精液でメスオスが生まれる確率は。


輸入精液は平均90%の性選別といわれているが、当団の「ソート90精液」は90%以上で、実際産まれてくる子牛の93~94%の確率で選別できている。


また、二層式ストロー分注機を使って、受胎率を高めるために精子の活力を高める物質を添加した当団が特許を有するFCMaxを生産している。


一般的に性選別精液は受胎率が低下するといわれているが、当団の性選別精液は全て他の性選別精液より受胎率が約6%高くなるFCMaxを使っている。


当団の販売している乳牛用精液のうち、性選別精液「ソート90」の割合は、14年15%、15年24%、16年26%で、今年の4~6月は33%と年々上昇している。


牛群検定の加入状況とそのメリットは。


牛群検定は後代検定、個体識別業務とともに当団の乳牛改良の基幹的な業務と考えている。2017年3月現在、普及率は農家戸数ベースで51.7%、乳牛頭数ベースで62.2%と、地域差はあるが、全酪農家の約半数が加入し、頭数では6割まで伸びてきている。


牛群検定加入農家と未加入農家の1頭当り年間乳量は、約2千㌔の差が出ており、生産性向上や経営改善役立っている。


また、乳量だけでなく、乳質についても体細胞が少なく、長く飼える牛を選ぶことや個体の能力に応じた飼料設計に活用できることも大きなメリットだ。


加えて、能力の高い後継牛の確保に役立つほか、後継牛を生産する必要のない牛にはF1や和牛を交配して収益性を高めることもできる。


さらなる普及を図るため、当団は06年から「お試し事業」で6カ月間無料の牛群検定を実施している。年間約100戸が参加し、そのうちの約80%はそのまま継続加入していただいている。


また、大規模酪農家の検定の実施を簡易にするため、通常は朝夕の測定だが、朝夕どちらか1回にするAT法、パーラー検定、ロボット検定等も実施。それから、パソコンやスマホを使った繁殖台帳Web等の活用で、自分の牛の能力の状況がわかって、いろいろ分析できるような仕組みも提供している。データの活用方法が分かれば、経営改善に役立つ宝の山。当団のLIAJ Newsや、全酪新報の記事などを通じて検定情報の活用方法の紹介にも力を入れている。是非加入していただき、データを活用していただきたい。


国産精液と輸入精液の違いは。


先に述べた通り、現在、家畜改良センターが公表しているNTPの総合指数で、日本の飼養環境下で高い能力を発揮するものを使いましょうという考え方が種雄牛選別の基本になっている。


当団も候補種雄牛を選抜・検定しており、その中で能力の高い種雄牛の精液を供給している。最新の評価結果(2017年8月)では、40頭のうち、当団の種雄牛は11頭ランクインしている。


一方、輸入精液は1984年から輸入が自由化され、国際化が進展する中、年々増えていて、昨年度は81万本が輸入された。


昨年度輸入された種雄牛の精液344頭のうち、日本のトップ40を上回っているものは35%に相当する120頭だった。それに対し、評価成績が不明なヤングサイアも35%相当の120頭で、評価成績が日本のトップ40を下回っているものは実に3割相当の104頭もいた。


輸入精液でも能力が高い種雄牛のものであれば農家の役に立つが、評価成績が分からないものや日本のトップ40を下回っているものをあえて使う必要はないと思う。日本の飼養環境下で高能力を発揮するトップ40を使うべきではないか。


後継牛が不足する中、酪農家にはどのような対応を求めているのか。


酪農家の方々が牛群検定を実施して個体能力を把握し、それに応じた活用を図っていくことが基本だと思う。後継牛確保のためには、高能力な雌牛に受胎率を高める「FCMax」と、雌の生まれる確立が90%以上の性選別精液「ソート90精液」を活用していただきたい。

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