全酪新報/2018年1月20日号

「国産チーズ対策に1㌔12円奨励金」2017年度補正予算――日EU対策で競争力強化

2018-01-20

政府は12月22日、2017年度補正予算を閣議決定した。酪農・乳業関連では、国産チーズの競争力強化対策として新規で150億円を措置した。そのうち、乳質の向上に取り組んだ上で、一定の乳質基準をクリアしたチーズ向け生乳に対し、「1㌔当たり12円(最大15円)」を交付する国産チーズ生産奨励金事業に53億円を計上した。国産チーズ対策については、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、日EU・EPAの発効に備える対策として4月から実施する。

お断り=本記事は1月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「畜産クラスター、中山間地域に優先枠」――枝元生産局長「規模の大小問わない」

2018-01-20

国産チーズの競争力強化対策は、チーズ向け生乳への奨励事業のほか、チーズ工房等の生産性向上支援(ハード事業)、国産チーズ品質向上・ブランド化支援(ソフト事業)、国産チーズの消費拡大支援(同)を実施する。それらの事業とは別枠で、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(畜産クラスター事業)の国産チーズ振興枠として、別途に90億円を計上した。


チーズ工房等の生産性向上支援事業は、製造施設の規模拡大や生産性向上に必要な熟成庫や加工施設の整備を支援するもの。大手乳業や大規模な乳業施設以外の6次産業化に取り組んでいる生産者や専業のチーズ工房を対象とする。補助率は2分の1以内で、予算額は4億円。


また、国産チーズ品質向上・ブランド化支援と国産チーズの消費拡大支援は、技術研修会の開催や海外研修、国際コンテストへの参加、チーズの価値PR、展示によるチーズの普及活動を支援する。定額補助で、予算額は合計2億5千万円。


一方、別枠の畜産クラスター事業における事業では、チーズを製造する乳業メーカーや工房が参画し、原料乳のコスト低減や高品質化に取り組む畜産クラスター協議会に対して、必要な施設の整備や機械の導入を支援する。

「都府県酪農のテコ入れの時期」――関東生乳販連の賀詞交歓会で松本牛乳課長が挨拶

2018-01-20

農水省の松本平牛乳乳製品課長は、昨年の国内外の酪農情勢を振り返り「国内では生乳生産の減少に歯止めがかからない状況だ。都府県酪農のテコ入れの時期に来ている」との考えを示した。関東生乳販連と関東乳業協会が1月9日に都内で開催した2018年賀詞交歓会での来賓あいさつで述べたもの。


松本課長は「牛乳・乳製品の需要は非常に底堅い。(生乳と製品の)両方ともにニーズ(需要)がある状況は、わが国の食品業界全体をみても少なく、他の食品とは違う状況にある。しかし、生乳生産が全国ベースでは減少にストップがかからない。これからは都府県酪農のテコ入れの時期に来ている。そのためにも後継牛対策、後継者対策など、次(将来)に向けた対策に取り組んでいく初年度になるのが本年ではないかと考えている」との見方を示した。


また、松本課長は「昨年、改正畜安法が成立し新年度からの施行に向けて内容の周知等を進めている。また、日EU・EPA交渉の妥結とTPP11が大筋合意したことで今後、我が国の酪農・乳業における国際環境の体制が整ってきた」と述べた。そのうえで「昨年12月末に決定した畜産物価格・関連対策、17年度補正予算対策、18年度当初予算対策について、これから生産現場に周知徹底する機会を設けたい」と述べた。

「北海道のフリーストール・パーラー普及率26%、搾乳ロボット191戸に」――道農政部が新搾乳システム普及状況を調査

2018-01-20

トール牛舎・搾乳ロボットを含むミルキングパーラーを導入している酪農家は1493戸で1年前に比べ3戸増加した。普及率は25・8%だった。また、搾乳ロボットの導入戸数は年々増加し、2016年度は191戸で13戸増加した。フリーストール牛舎・ミルキングパーラーの普及率を振興局別に見ると、十勝、釧路、根室で3割を超えている。調査は道内の搾乳農家数5784戸を対象に実施した。


ミルキングパーラーを導入している酪農家は1500戸で3戸増。また、フリーストール牛舎を導入している酪農家は1563戸で4戸減だった。


十勝、釧路、根室は3割超


フリーストール・ミルキングパーラー両方を導入している酪農家戸数を地域別に見ると、十勝が460戸で最も多く、普及率は38.3%と4割に近い。2位は根室の353戸、3位は釧路の260戸だが、普及率は釧路が32.0%、根室は30.4%だった。


ミルキングパーラーの普及率の推移を見ると、2000年度は9.7%と1割未満だったが、2005年度は16.9%、11年度は21.6%、13年度は23.2%、16年度は25.9%と増加傾向で推移している。


また、搾乳ロボットの導入も年々増加しており、2011年度は136戸、2012年度は138戸、2013年度は144戸、14年度は150戸、2015年度は178戸だった。


ヘリンボーンが最多


ミルキングパーラーを型式別に見ると、ヘリンボーンが470戸、29.3%で最も多く、次いでパラレルが415戸、25.9%、アブレストが310戸、19.3%と続く。搾乳ロボットが占める割合は11.9%だった。また、増設による複数の種類のパーラーを導入している酪農家は104戸あり、そのうちの約半数、50戸が搾乳ロボットとそのほかのパーラーの2種類を保有している。


一方、フリーストール牛舎の普及率の推移を見ると、2000年度は11.1%だったが、その後は徐々に増加。2005年度は18.4%、2011年度は23.1%、2013年度は24.6%、2015年度と2016年度は26.4%だった。一方、導入戸数は2012~2014年度までは減少したが、15年度は畜産クラスター事業による新規整備で増加に。2016年度は減少に転じた。

「Jミルク独自事業、新規で増頭・供用延長対策」――2018年度の方針を策定

2018-01-20

Jミルクはこのほど、乳業者からの拠出金を財源に今年度から実施している「酪農乳業産業基盤強化特別対策事業」のうち、「地域生産基盤強化支援事業」の2018年度以降の方針を策定した。新規で後継牛増頭・供用年数延長促進対策を実施するほか、育成基盤強化対策は継続して拡充する。事業内容については、1月19日の理事会で決定する。


2018年度事業については、関係者の要望や地域での実績を踏まえ、乳用種を増頭する生産者への新規事業を追加し、2年間継続実施する。後継牛増頭対策は、前年度からの乳用種出生頭数の増頭分に対し、1頭当たり5万円以内を助成(上限あり)する。また、供用年数延長対策は、4~5歳の経産牛を対象に、1年間で減少する頭数を例年と比較し、減少を抑制させた頭数に対して1頭当たり3万円以内を助成(同)する。


一方、継続する対策については、ニーズが高い乳用牛の育成基盤強化に関する対策を強化・拡充するほか、地域提案による対策支援を継続して2年間実施する。


提案型生産基盤強化対策は、事業実施主体(指定団体、指定団体の会員)の上限を酪農家戸数に応じて変更し、対象外事業を明確化する。また、乳用牛育成基盤強化対策は、育成牛の預託施設の受け入れ頭数を拡充。1事業実施主体の上限を現在の1千頭から1.5倍の1500頭に拡充するとともに、計算しやすい助成単価に変更。今年度の1頭当たり2778円を2800円にする。また、対象施設の要件を緩和し、取り組みやすくする。


なお、経産牛売買の斡旋に関する更新経産牛有効活用対策は対象頭数が少ないことや経産牛取引の実態を勘案し、廃止する。

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