全酪新報/2018年2月10日号

「牛乳需要は堅調、下げ止まる」――Jミルク2018年度の牛乳類需給見通し

2018-02-10

Jミルクは1月26日に2018年度の生乳需給見通しを公表した。生乳生産は北海道で回復するが、都府県が減少するため全体では前年を下回ると予測した。需要面では、牛乳は堅調で引き続き下げ止まりの見通し。機能性ヨーグルト等の好調が続くはっ酵乳は、2017年度は減少する見込みだが、底堅い需要があることから、再び上昇すると予測。Jミルクの前田浩史専務は「2017年度は若干踊り場的な状況にあるが、各企業の努力により、回復すると見ている」とコメントしている。

お断り=本記事は2月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「2017年度補正、バンカーサイロ補改修支援」――高品質TMRの安定供給図る

2018-02-10

2017年度補正予算のうち、農水省飼料課所管の事業では、飼料生産基盤利活用促進緊急対策事業(5億円)を継続実施する。2017年度補正ではこれまで実施してきた難防除雑草の駆除や公共牧場の基盤強化に関する支援に加え、新たに「高品質TMR供給支援対策」を追加。品質の高いTMRの安定供給に向けて、バンカーサイロの補改修等の取組を支援する。


新規追加のTMRに対する対策は、バンカーサイロの劣化がサイレージの品質低下に繋がることから、その補改修に掛かる資材に対して支援を行うもの(補助率2分の1)。1月18日に農水省内で開かれた畜産課長会議で、犬飼史郎飼料課長は新メニューについて「日EU・EPAの大枠合意等をふまえ、政府の総合的なTPP等関連政策大綱に『自給飼料の一層の生産拡大・高品質化』とする文言も入ったので、TMRセンターのバンカーサイロの補改修に必要な資材を支援する対策を新たに措置した」と説明した。


同事業では、高位生産性草地への転換を目的とする土壌改良資材の投入、優良品種の導入等の取り組みを支援する草地難防除雑草駆除対策を実施するほか、公共牧場活用生産基盤強化支援対策では▽夏期預託から周年預託への転換▽地域を越えた広域的な預託▽預託月齢の早期化による預託期間の延長▽公共牧場自ら行う肉用子牛生産や乳用後継牛の供給――などの取り組みを実施する際に必要な畜舎やカーフハッチなど施設・機械の導入を支援。同事業により自給飼料のさらなる生産拡大や高品質化に努めていく方針。

「2018年度関連対策で粗飼料確保緊急対策を継続実施」

2018-02-10

昨年末に決定した2018年度の畜産関連対策では、緊急対策で今年度に続き、生乳生産の安定を図るために「粗飼料確保緊急対策事業」を実施する。昨年6~7月の梅雨期の豪雨、9月の台風の影響を受けた2017年度産のデントコーンや牧草が対象。


同事業では、サイレージの品質低下を防止するための発酵促進資材の共同購入や給与前の品質確認を支援(補助率2分の1以内)。このほか、自給飼料不足を補うための代替粗飼料の共同購入費用の一部を助成する(1㌧当たり5千円以内)。

「地理的表示、カマンベールは使用可能」――農水省がEUとの合意内容を説明

2018-02-10

農水省は1月25日、「日EU・EPAにおけるGI(地理的表示)の取り扱いに関する説明会」を開催。EUとの間で合意した概要を説明した。知的財産課の説明によると、EU側のGIは、チーズを中心に71産品、日本側のGIは、牛肉8産品など48産品が相互に保護される。酪農関連では、「カマンベール」、「ゴーダ」は引き続き使用できるが、「ゴルゴンゾーラ」、「パルミジャーノ レッジャーノ」は、協定発効後、使用できなくなる。


7月の大枠合意後、EU側のGI産品について3カ月間の公示を実施。期間中に提出された異議申し立てを踏まえ、EU側との調整を経て12月に合意した。


EU側のGIは、酪農産品(チーズ26品目、バター1品目)が最も多く、食肉製品は14品目、食用油脂10品目などがある。


チーズに関しては、「カマンベール」は普通名称として認識されているため保護の対象にはならないが、「カマンベール ド ノルマンディ」は真正品と誤認混同される恐れがあるため、GI侵害となる。


また、「ゴーダ」は使用できるが、チーズにオランダの国旗等を付け、消費者に真正のGI産品と誤認させるような表示もGI侵害となる。


GIによる保護の前から使用している同一・類似名称(先使用)については、協定発効後、7年間の経過期間を経て、使用が禁止される。


なお、公示開始以降、不正の目的(先使用の使用停止の見返りを求めたり、ブランドをおとしめるための使用など)がある場合は、先使用は認められない。


GIを不正使用した場合、まず行政が措置命令する。改善されないと、個人の場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、団体の場合は3億円以下の罰金と厳しい罰則が科せられる。

「酪農HACCP導入でベストパフォーマンス実現」――御影庵主宰・阿部亮氏が強調

2018-02-10

農水省が福島県内で昨年開いた2017年度中央畜産技術研修会では、畜産・飼料調査所「御影庵」主宰の阿部亮氏が「乳用牛のベストパフォーマンス実現のために」と題して講演した。阿部主宰は「ベストパフォーマンスの実現には、酪農でのHACCPが必要だが、酪農家個人では限界がある。チームで地域を守るという発想を礎に、その地域を知っている人たちによる活動が望ましい」と強調した。講演の内容を一部紹介する。


乳牛のベストパフォーマンスを向上させるための打開策の一つに、酪農におけるHACCP(危害分析・重要管理点方式)の適用が検討される。HACCPはもともと、食品の製造工程における事故の要因となる危害をなくそうというシステム。考えられる事故等を分析(=危害分析)し、そのあと確実に危害を防止できるポイント(=重要管理点の監視)を設定する。


酪農におけるHACCPの考え方の例として、始めに該当地域の酪農家を選び、危害原因を挙げ、その中で危害と変わる可能性が高い要素を絞る。さらに、その危険性を評価し、発生原因となるものを検討・整理する。ここまでが危害分析。


次に重要管理点だが、まず危害を防ぐための管理基準を作り、マニュアルを作成する。そして、その管理基準が適切かを確かめる点検を実施。結果、修正されていない部分があれば、そこをきちんと反映し、その一連の内容を記録する。これらを繰り返すことで全体の技術レベルを向上させていくことが酪農におけるHACCPの考え方。


HACCPの点検についてどのようなことをすべきかと言うと、人や牛舎内環境、作業、管理・記録が挙げられる。例えば、人の問題の場合は、人の話に耳を傾けるのか、経営向上の意欲があるのかといったこと。


次に、飼槽・飲水器の清浄性、搾乳機器・施設管理などの牛舎内管理に関することや発情発見の方法、搾乳の手技・手順といった作業に関するもの、個体観察から疾病内容の記録、空胎日数のバラつきといった管理・記録も項目として当てはまる。そして、何が問題なのかを洗い出し、優先順位をつけて直していくことが大切だ。


そこで問題なのは、誰がそれを担うのか。酪農が持つ経営手法と技術に関する課題はそれぞれの地域・環境や経営の類型、飼養規模によって異なる。また、その地域特有の問題もあり、地域によっては何を優先し、何を解決していくかを協議しなければならない。


そのためには、アドバイスして改善につながるチームを作る。それをHACCPチームと呼ぶこととする。HACCPチームの役割について考えてみると▽地域の酪農状況を自然科学的側面と社会科学的側面から定量的に把握する▽状況分析から優先すべき課題を特定する▽課題解決対象となる酪農家を列挙し、HACCPチームを導入する▽投入先で危害特定を行い、全員協力してHACCPの手順で解決を図る。そこで一つの成果を作り、それを試作品とし、地域の勉強会等に反映する▽点検中は牛群検定等の情報を有効活用し、牛などの実物と見比べて評価する▽チームには最新の技術・情報を整備し、技術ストックの量と質を高めることが求められる。また、同時に地域内の試験研究機関チームへの貢献が必要▽場合によっては、活動範囲が所属する組織を越えたものになる。そのため、個人と組織の価値観の転換が必要――などが挙げられる。


チームの活動には、地域を守りたいという思いが基礎になる。よって、頭の片隅に「地域を守る」という考えを置いておくことが大切だ。

連絡先・MAP

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所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
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(指導部・全酪新報編集部)
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