全酪新報/2018年12月20日号

「補給金・集送乳調整金上げ、交付対象数量は据置き」――2019年度畜産物価格・関連対策が決定

2018-12-20

政府・与党は12月13日、2019年度畜産物価格・関連対策を決定した。新制度施行後、2年目となる加工原料乳生産者補給金単価は1㌔当たり8銭引き上げられ8円31銭、集送乳調整金は同6銭引き上げの2円49銭となり、補給金単価総額は14銭上昇の10円80銭、総交付対象数量は需給状況を勘案し、今年度と同量の340万㌧で決定した。2019年度のALIC事業における関連対策については、ふん尿処理施設更新への支援や家族経営への支援に係る生産基盤強化対策を拡充。地域で後継牛を生産する取り組みへの支援も新たに追加した。

お断り=本記事は12月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「酪農後継者、新規就農対策が必要」――酪政連の大槻委員長が自民畜酪委で要請

2018-12-20

2019年度畜産物価格等の決定をめぐり、自民党畜産・酪農対策委員会(赤澤亮正委員長)が12月10日に開いた会合では、酪政連をはじめJA全中など複数の畜産・酪農関係団体が要請した。酪政連の大槻和夫委員長は、様々な事業を展開する中においても、依然として酪農家の廃業に歯止めが掛からず、酪農を取り巻く環境が厳しい状況にあることを説明。後継者や新規就農者が不足している現状にも触れた上で「1年でも2年でも、新たに農業をやってみたいという若者がいれば、それを国がフォローするような法律が必要。そのくらいしないと農業は終わってしまう。対応をぜひお願いしたい」と要望した。


そのほか、JA全中畜産・酪農対策委員会の飛田稔章酪農委員長も要請し、ドライバー不足や燃料高騰による輸送コスト上昇に対する支援を求めた。


出席議員からは、2019年度の補給金や集送乳調整金の適切な単価設定を求める意見が多く出され、翌11日に開かれた会合では、12日の畜産物価格等の決定に向けた取りまとめを農林幹部に一任。赤澤委員長は「これまで団体や生産現場からいただいた意見をしっかりとふまえながら、来年度の畜産物価格や関連対策を適切に設定していきたい」と意気込みを述べた。

「全会一致で諮問案は妥当」――農水省畜産部会が2019年度価格を答申

2018-12-20

農水省は12月13日、食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開き、2019年度の加工原料乳生産者補給金を8円31銭、集送乳調整金を2円49銭、総交付対象数量を340万㌧などとする諮問案を審議。全会一致で「生産条件、需給事情及び物価、その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方で定めることは妥当」として答申した。それにより、正式に畜産物価格が決定した。

「改正畜安法が施行、加工原料乳、新制度始まる」――酪農乳業の2018年をふりかえる(前半)

2018-12-20

夏から秋にかけて自然災害が日本列島を襲い、酪農にも大きな被害が出た。TPP11は12月30日の発効が決定。日EU・EPAは来年2月にも発効する見通しで、日米TAG交渉の行方も懸念される。4月には改正畜安法が施行。新たな補給金制度がスタートした。牛乳消費は堅調に推移。しかし、生乳生産基盤の弱体化により、生乳全体の需要を満たせない中、未経産牛の飼養頭数が増加。今後に明るい兆しが表れた。酪政連は家族経営の維持・発展を訴え、総決起大会・デモ行進を実施した。


牛乳消費堅調、下げ止まりへ


▽1月 


19日 Jミルクは理事会で新規・独自事業で増頭・供用延長対策の方針を決定。


22~23日 政府は都内でTPP11首席交渉官会合を開きTPP11の協定文が最終的に確定。3月8日にチリで署名式を行うことで合意。


25日 農水省は日EU・EPAにおけるGI(地理的表示)の取り扱いに関する説明会を開催。


EU側のGIはチーズを中心に71産品、日本側のGIは牛肉8産品など48産品。「ゴルゴンゾーラ」「パルミジャーノ レッジャーノ」名は、協定発効後、使用できない。


26日 Jミルクは18年度生乳需給見通しで「牛乳需要は堅調、下げ止まる」。生乳生産は「都府県は減少幅がやや改善、北海道は回復基調へ」と予測。


▽2月


9日 17年の農林水産物・食品輸出額は5年連続増加。過去最高を記録。牛乳・乳製品関連の輸出実績は144億円で14.6%増。


14~15日 全国酪農協会は第6回酪農未来塾を開講。組合若手職員対象に初開催、約60名出席。


22~23日 NOSAI全国が都内で開いた17年度家畜診療等技術全国研究集会で上松瑞穂氏(NOSAIみやざき)が農水大臣賞を受賞。母牛の胃液をガーゼで子牛に経口投与し事故率低減。


▽3月


2日 Jミルク、乳業者の拠出を財源に初妊牛と育成牛計707頭輸入。防疫リスクなどあり17年度は計画比6割。


同 中酪が17年度乳用牛確保計画で北海道は都府県への供給頭数を含めて約5万1千頭増加する一方、都府県は2万3千頭余り不足と報告。


7日 酪政連は18年度通常総会で新委員長に大槻和夫氏を選任。


8日(日本時間9日未明) チリ・サンティアゴでTPP11協定の署名式。


13日 中酪は18~20年度も「3年間は生乳の増産・維持」とする中期的な生乳需給安定化対策の基本方針を決定。改正畜安法に基づき、各指定団体が国へ提出した年間販売計画の総量が出荷目標数量となった。


27日 政府はTPP11協定と関連整備法改正法案を閣議で決定し、国会に提出。


28日 農水省は牛乳・乳製品の適正取引推進でガイドラインを策定。問題実例と望ましい事例を紹介。


▽4月


1日 改正畜安法(畜産経営の安定に関する法律)が施行。


同 ホクレン、チーズ向乳価4~5円値上げ。その他用途は据置き。


2日 農水省は改正畜安法に基づき、第1~3号対象事業者92事業者に対して18年度加工原料乳生産者補給金の交付対象数量328万㌧を配分。新規対象事業者に対し1万4327㌧を配分。


6日 全国酪農協会は建設中の会館の正式名称を酪農会館に決定。


13日 17年度の全国の総受託乳量(インサイダーの生乳生産量)は698万3109㌧、前年度比0.9%減。5年連続で前年下回る。地域別では、北海道は379万9668㌧で0.2%増、都府県は全ての地域で減少。


25日 牛乳乳製品統計による17年度の生乳生産量は729万810㌧、前年比0.7%減。消費面では、牛乳は3年連続増加、好調のはっ酵乳は減少に転じた。


28日 18年春の褒章で迫千穂子氏(現酪農業、鹿児島県、67歳)、中六角保広氏(現酪農業、岩手県、50歳)、谷啓司氏(現酪農業、京都府、66歳)が黄綬褒章を受章。


九州・沖縄全共の構想決定 TPP発効への手続進む


▽5月


7日 乳用牛群検定全国協議会は国内の乳用子牛の出生頭数を予測できるシステムの運用開始。検定情報をもとに毎月更新。


16日 第15回全日本ホルスタイン共進会九州・沖縄ブロック大会実行委員会が総予算や基本構想を承認。


17日 明治HDは20年度に売上高1兆3500億円を目指す中期経営計画を発表。ヨーグルト拡大、牛乳類黒字化目指す。


25日 農水省は18年度の乳製品の輸入枠を『変更しない』と発表。


同 Jミルク18年度の需給見通しで全国の生乳生産量は726万7千㌧、0.3%減と前年度比微減。牛乳需要は前年度並で、はっ酵乳は増加する見通し。


31日 酪政連が19年度酪農政策・予算確保で家族型経営施策の拡充要求。


▽6月


3日 6月の牛乳月間恒例の「六本木牧場」オープン。5回目の今年は天候に恵まれ7500人が来場。


14日 農水省と厚労省は風味異常が発生した際に原因調査求め都道府県と衛生担当部局に通知。


21日 中央畜産会の新会長に森山裕元農相を選任。


27日 18年1~3月期の乳用牛への黒毛和種の交配は全国平均で33.3%、性判別精液の割合は14.3%。


28日~7月8日 西日本豪雨により酪農でも特に岡山、広島、愛媛の3県を中心に生乳廃棄や施設損壊など甚大な被害。

「地震、台風、豪雨が襲う、甚大な被害」――酪農乳業の2018年をふりかえる(後半)

2018-12-20

▽7月


3日 農水省畜産統計によると、酪農家戸数は4.3%減の1万5700戸。都府県は1万戸割れ、頭数は全国で5千頭増加。


13日 17年度のチーズ消費量は、前年度比5.3%増と3年連続で過去最高を記録。


19~20日 第47回全国酪農青年女性酪農発表大会の経営発表の部で本部博久さん(宮崎・新富町)が農水大臣賞。意見・体験発表の最優秀は砂子田円佳さん(北海道・広尾町)。


27日 Jミルクの需給見通しで生乳生産減少、牛乳消費好調で需要期の都府県需給ひっ迫を予測。


同 農水省は末松広行氏を事務次官とする人事を発令。畜産部長に富田育稔氏、牛乳乳製品課長に水野秀信氏が就任。


31日 農水省は西日本豪雨による農林水産物の被害額は2203億円と発表。広島の乳業1工場は依然製造停止。


同 農水省の乳製品調整官に金澤正尚氏が就任。


同 酪政連は自民党酪政会総会で19年度の酪農政策・予算確保に関して要請。規模拡大を伴わない支援を要求。


▽8月


3日 全酪連札幌支所が開催した18年度畜産主任者会議で初妊価格高騰で導入控え、自家育成の動きが強まると報告。


8日 農水省は17年度の食料自給率(カロリーベース)は38%で前年度並みと公表。牛乳・乳製品は60%で2ポイント低下。年々低下傾向。


31日 19年度農林水産予算概算要求総額は前年度比18.5%増の2兆7269億円。酪農経営安定対策に363億円要求したほか、楽酪事業の拡充を要求。


▽9月


5日 日本ホルスタイン登録協会が都内で創立70周年記念式典を開催。


6日 北海道胆振東部地震で2日余り道内全域が停電、生乳損失2万㌧超えるなど甚大な被害。


13~14日 全国酪農協会が第7回酪農未来塾。関係者約50名が参加。


19日 北海道酪農協会が非常用電源整備を緊急要請を決定。


22日 中央酪農会議と酪農教育ファーム推進委員会が20周年記念シンポ開催。


26日 政府は米国・ニューヨークで開催の日米首脳会談で農産品を含む全ての「物品」を対象としたTAG(日米物品貿易協定)の交渉を2国間で開始することで合意。


▽10月


2日 新農相に𠮷川貴盛氏(67歳、衆・北海道2区)が就任。


4日 酪政連は農水省の枝元真徹生産局長らと面会し、TAGと頻発する自然災害に関して緊急要請。


同 農水副大臣に小里泰弘氏、髙鳥修一氏、大臣政務官に濱村進氏、高野光二郎氏が就任。


23日 農水省は今年1月に設定した乳製品の輸入枠数量を「変更しない」と発表。北海道の生産減少も必要在庫は確保。


同 Jミルクが需給見通しで全国の生乳生産量は725万7千㌧、前年度対比0.5%減と若干下方修正。北海道の生産は回復傾向と予測。


26日 全国酪農青年女性会議と全酪連が千葉市の大型商業施設で酪農理解醸成活動、13名の酪農家が参加。


31日 豪州がTPP11協定の国内手続きを完了。政府はTPP11協定が12月30日に発効すると発表。


▽11月


3日 18年秋の叙勲で壹岐定憲氏(宮崎・元西都農協組合長)が旭日単光章を受章。同日付で18年秋の褒章で宮嶋望氏(北海道・農事組合法人共働学舎新得農場代表)、村越敏春氏(北海道・酪農業)が黄綬褒章を受章。


14日 酪政連が「家族型酪農危機突破!全国酪農民総決起大会」を開催。全国から700名以上が集まり、大会後には都内をデモ行進。


同 第70回日本酪農研究会で高原弘雄さん(北海道天塩町)が黒澤賞(最優秀賞)を受賞。


16日 中酪が報道関係者向け説明会で消費者の理解醸成に協力求める。


同 全酪連、全酪協会、酪政連、日ホ協の4団体で組織する災害対策酪農団体協議会は北海道胆振東部地震や大型台風、西日本豪雨などに対し、義援金338万2千円を取りまとめ団体の中央酪農会議に贈呈。


22日 全国酪農協会は酪農基本対策委員会を開催。阿部亮氏(畜産・飼料調査所御影庵主宰)が乳牛の供用期間短縮等の課題を提起。農水省の丹菊直子課長補佐が「酪農をめぐる情勢」を講演。


23日 農水省と日本農林漁業振興会は18年度農林水産祭式典を開催。畜産部門で天皇杯受賞の酪農家の内ヶ島賢勇・美津代さん夫妻(熊本県山鹿市)を表彰。


▽12月


3日 農水省は畜産部会を開き、19年度畜産物価格等の議論を開始。


13日 19年度畜産物価格が決定。補給金単価は㌔当たり8円31銭、集送乳調整金は2円49銭、交付対象数量は18年度同の340万㌧。

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