全酪新報/2019年2月20日号

「畜産クラスター、環境対策へ優先枠新設」――処理施設単体申請に配慮

2019-02-20

2018年度第2次補正予算のうち、現場からの継続要望が多い畜産クラスター事業に560億200万円を計上。従来の中山間地域優先枠などに加え、畜産環境対策に必要な家畜排せつ物処理施設の整備・補改修を優先的に採択する『環境優先枠(20億円)』を新設した。規模拡大や生産効率向上の取り組みも従来通り施設整備事業の対象となるが、環境対策を「別枠」で措置したことで要件を満たせば、家畜排せつ物処理施設単体の申請でも採択されやすい仕組みへと組み替えた。

お断り=本記事は2月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「2019年度酪農経営支援総合対策事業、中小規模向に内容拡充」――つなぎ牛舎の改良も支援

2019-02-20

昨年末に決定した2019年度関連対策(ALIC事業)のうち、牛乳乳製品課所管の事業では「酪農経営支援総合対策事業」に今年度比3千万円増の44億800万円を措置した。そのうち、乳用後継牛の緊急確保を軸としていたメニューをより中小規模の酪農経営向けに内容を拡充。現行の簡易畜舎の整備や育成牛の事故率低減のためのワクチン接種への助成等に加え、来年度より牛床の延長やストールを高くする際の資材購入費を支援対象に追加した。


今年度の同事業では、乳用後継牛の緊急的な確保に向けたメニューの中で、▽後継牛の育成等のための簡易畜舎整備、機器導入(カーフハッチ、分娩カメラ等)▽地域における乳牛の継承、育成牛の地域内流通促進(1頭当たり3万2千円)▽酪農後継者の経営基盤の強化(初妊牛導入1頭当たり5万円)▽育成牛の事故率の低減(ワクチン、1頭当たり1千円)▽供用期間の延長支援(肢蹄保護、乳房炎防止)――などを支援。2019年度事業でも継続実施する。


また、昨年末に開かれた畜産物価格等をめぐる議論の中で、大規模経営だけでなく、中小酪農に向けた支援策が必要という意見が数多く上がったことから、19年度では「つなぎ牛舎の牛床や繋留器具の改良(牛床の延長等)」を支援対象に追加(補助率:2分の1以内)。事業を担当する牛乳乳製品課は「昔の牛舎で、牛床が短くて最近の大きな牛が足を踏み出すようなところもあると思う。そういったところ向けに、牛床を延長する場合やストールの高さを調整する資材費についても対象にした」と説明している。

「大手乳業3社、4月から牛乳等の製品価格に転嫁」――乳価値上等のコスト増嵩

2019-02-20

明治、森永乳業、雪印メグミルクの大手乳業3社は2月上旬までに、それぞれ4月1日出荷分より牛乳やヨーグルトなど市乳類を値上げすると発表。生乳生産基盤強化の後押しを目的に妥結した19年度乳価の値上げ(飲用向け及びはっ酵乳等向け1㌔当たり4円)に加え、包装資材や人材費、物流費等のコスト上昇が要因。その増嵩分をしっかりと製品価格に転嫁する。3社は今回の値上げについて「企業努力でコスト増を吸収できる水準を超えた」としている。各社ともに牛乳は出荷価格を引き上げ、ヨーグルト、乳飲料、加工乳等の希望小売価格はそれぞれ2~10円値上げする。業界が一体的に行う幅広い製品への価格転嫁は15年以来、4年ぶり。


明治 プロビオ上昇抑え R-1は3円上げ


明治は2月4日、市乳部門商品を4月1日出荷分より値上げすると発表した。対象商品は牛乳やヨーグルト、乳飲料等の計111品。「明治おいしい牛乳」など希望小売価格を設定しない牛乳は出荷価格を1.5~3.5%、ヨーグルトは希望小売価格を2.3~4.7%、その他飲料・クリームは希望小売価格を1.4~4.7%それぞれ値上げする。


一方、ヨーグルトは明治ブルガリアヨーグルトシリーズをはじめ、全体で2~10円値上げ。主力ブランドのR-1やLG21を含む明治プロビオヨーグルトの価格は3円値上げに留めた。


森永乳業 牛乳類は価格幅大 計45品が対象


森永は2月5日、4月1日から牛乳類・ヨーグルト他の価格改定を実施すると発表。対象商品は価格を設定しない牛乳類10品を含め計45品。「森永のおいしい牛乳」など牛乳類は出荷価格、ヨーグルトや飲料は希望小売価格を3~8.3%の幅で値上げする。


このうち、重点ブランドのビヒダスヨーグルトは5~10円値上げし、人気の森永アロエヨーグルトシリーズも同様の上げ幅に設定。高級感を前面に出しているギリシャヨーグルト「パルテノ」は、各ラインナップとも5円上昇に抑えた。そのほか、「森永の焼きプリン」は10円値上げする。


雪印メグミルク 家庭用市乳商品 宅配用含め79品


乳価値上げとともに主要原材料を含めたコスト増を要因に、雪印メグミルクは2月6日、19年度期首より家庭用市乳商品を値上げすると発表。対象商品は市販用と宅配用合わせて79品で、牛乳類の改定率は出荷価格で3.9~4.8%値上げする。


また、ヨーグルトのナチュレ恵シリーズは現行の希望小売価格から10円、重点商品のガセリ菌SP株ヨーグルトシリーズは5円値上げ。このほか、乳飲料の毎日骨太とアカディは4~6円、特濃は10円、雪印コーヒーは5円値上げする。

「2018年輸出実績6年連続過去最高更新」――残り1年10%増で目標達成

2019-02-20

政府が2019年に農林水産物・食品の輸出目標額1兆円を目指して取り組みを進める中、農水省は2月8日、18年の輸出実績(速報値)を公表。18年は9068億円、対前年で12.4%増加し、6年連続で過去最高を更新した。1兆円の目標を達成するためには、18年に比べ10%以上伸ばす必要がある。牛乳・乳製品は153億600万円で6.4%増加した。


牛乳・乳製品で最も多いのは粉乳で輸出額は88億円。前年を5.1%上回った。そのうち、大部分を占める乳幼児用調整品は86億円で6.3%増加した。東日本大震災・原発事故の影響もあり、12年までは減少していたが、13年からは増加傾向にある。粉乳等の輸出先はベトナムが1位。以下、2位が台湾、3位香港。この3カ国が上位3位を占めるのは14年から変わっていない。


そのほか、チーズ・カード12億円(10.9%増)、牛乳・部分脱脂乳11億円(10.8%増)。いずれも12年以降増加に転じている。輸出先を見るとチーズ・カードは1位台湾、2位香港、3位タイ。脱脂乳は1位香港、2位台湾、3位シンガポールの順で、16年以降上位の国と順位には変化がない。


畜産物の輸出額は446億円で18.8%増と大幅に増加。品目別にみると鶏肉は20億円(0.2%増)とほぼ前年並みだったが、牛肉は台湾向けの輸出解禁を背景に247億円で29.1%増、鶏卵は日本食・日本食レストランの普及等が要因となり15億円で49.4%増と大幅に伸長した。


𠮷川貴盛農相は2月8日の会見で、目標達成への見通しに関する問いに対して「昨年比の10.3%以上の増加が必要。できるかできないか、簡単に申し上げるべきではないが、目標に向けしっかりと努力したい」と述べた。

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(業務部・共済制度)
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