全酪新報/2019年5月20日号

「都府県の生産基盤強化が最重要」農水省・水野牛乳課長――未経産増頭で今後は生乳増産へ

2019-05-20

農水省・牛乳乳製品課は5月10日、2018年度の生乳需給状況を取りまとめた。専門紙との懇談の中で水野秀信課長は、生乳生産は北海道で前年を上回ったが、都府県は減少が続いたため、改めて都府県の生産基盤強化の重要性を強調した。2歳未満の未経産牛が増頭している状況を考慮した上で今後の見通しについて「増産に転じるのではないか」と述べた。引き続き堅調な飲用需要に期待を示したほか、現在はバター・脱粉とも在庫は足りていると見ている。

お断り=本記事は5月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「中酪、全国ベース1.4%増産目指す」――指定団体ごとの目標数量決定

2019-05-20

中央酪農会議は5月8日、2019年度の生乳需給安定化対策(旧計画生産対策)に係る生乳出荷目標数量を発表した。全国の出荷目標数量の合計は706万9859㌧で、2018年度実績比1.4%の増産を目指すものとしている。改正畜安法施行により、2018年度からは基本的に各指定団体が作成した年間販売計画の総量を出荷目標数量として設定している。


地域別に見ると、北海道は395万9059㌧で前年度比3.3%の増産を目指す一方、都府県は311万799㌧で0.8%下回る。都府県のうち、東北、中国、四国、九州は増産の目標を定めた。


なお、2017年度まで設定していた生産枠や新規就農枠、指定団体間調整を含む目標数量の超過・未達ペナルティについては、2018年度から廃止している。

「4月販売乳量、都府県はマイナスでスタート」――飲用向減少、はっ酵向は増加

2019-05-20

中央酪農会議は5月16日に公表した2019年4月分の用途別販売実績によると、全国の総受託乳量は59万1104㌧で前年度比1.1%減。8カ月連続で前年度を下回った。2019年度に入り、北海道はわずかに上回ったが、都府県は減少でスタートした。堅調だった飲用牛乳等向けは減少、はっ酵乳等向けは増加した。


北海道の受託乳量は32万1214㌧で0.5%増。一方、都府県は全地域で下回り、26万9891㌧で2.9%減だった。


用途別に見ると、飲用牛乳等向けは25万7821㌧で2.2%減。2018年度は増加傾向で推移していた。はっ酵乳等向けは4万167㌧で0.6%増。減少トレンドだったが、増加に転じた。


そのほか、脱脂粉乳・バター向けは14万7108㌧で1.0%増、液状乳製品向けは11万2829㌧で1.2%減、チーズ向けは3万3179㌧で2.4%減だった。

「TAG、5月末にも日米首脳会談」――「TPPが最大限」の方針再確認

2019-05-20

自民党は5月15日、党本部で会合を開き、このほど行われた第1回日米物品貿易協定(TAG)交渉及び4月末開催の日米首脳会談の結果について政府側から報告を受けた。同交渉では、米国側から農産品を含めた市場アクセスの開放を求められているなか、日米双方で「TPPの譲許内容が最大限」とする昨年9月の共同声明に沿って協議を進めることを再度確認した。


早期妥結が可能なデジタル貿易(インターネットを利用した国境を越える情報・サービスの取引)に関しては、適切な時期に議論を行うことで一致した。日米首脳会談は5月末にも開催を予定。近く、事務レベルでの会合も検討している。


4月15~16日に米国・ワシントンで行われたTAGの第1回閣僚交渉では、日本側から茂木敏充担当相、米国からは通商代表部のライトハイザー代表らが出席。日米共同声明に沿って今後の協議を進めることを改めて確認したほか、今後の交渉の議論を加速化することで合意した。


また、4月26日の日米首脳会談では両国間の貿易摩擦問題等について意見を交わしたが、その中でTAG交渉の早期決着を望む米国・トランプ大統領は、日本側の農産品の『関税撤廃』を求めていく意向を主張した。


それに対し、会合結果を報告した澁谷和久内閣官房政策調整統括官は「TPP以上の条件を求めていると大統領が言っているとは聞いていないし、ライトハイザー代表からも共同声明の範囲で協議することは確認しているので、そこは安心していただきたい」と述べ、農産品だけを先に合意することがない点も合わせて強調した。

「順調に販売価格へ転嫁」――明治HD・川村社長が見解

2019-05-20

2019年度乳価の値上げを受け、乳業各社は4月1日出荷分より牛乳等の価格改定を実施した。直近の消費動向について、明治ホールディングスの川村和夫社長は「足元では比較的順調に価格転嫁は進んでいるように感じる」との見方を示した一方、今後については、消費者の理解を得るための取組が必要になると強調した。5月13日に開いた決算説明会の中での発言。


このほどの価格改定は、乳価値上げに加え、包装資材や人件費、物流費等のコスト上昇が要因。川村社長は「流通関係者には厳しい生産現場の現状についてよく理解してもらっている」と説明。消費者に対しては、最需要期の牛乳の消費動向や10月1日に予定される消費増税をふまえ「価格だけではない価値をどれだけ理解いただけるかは、我々が努力すべきところ。酪農乳業が一体となり、安定した生産基盤の強化に資する取組を『自らの』課題としてしっかり取り組んでいきたい」と述べた。

「牛乳値上げも売行きは堅調」――決算説明会で雪印・西尾社長

2019-05-20

雪印メグミルクの西尾啓治社長は5月13日、同社が開いた決算説明会の中で、4月に改定された牛乳の小売価格について「10円前後上がっているが、値上げの影響を大きく受けることなく売れ行きは堅調に推移していると」とした上で、10月に予定されている消費税増税に関して「食品は軽減税率が適用されるが、消費マインド全体が冷え込む可能性がある。注視していきたい」と述べた。

「酪政連・大槻委員長がTAGで小里副大臣に要請」――トランプ大統領の意向に懸念

2019-05-20

日本酪農政治連盟の大槻和夫委員長は5月14日、農水省の小里泰弘副大臣を訪ね、このほど第1回会合を終えた日米物品貿易協定(TAG)交渉に関して要請した。4月26日開催の日米首脳会談の中でも、米国・トランプ大統領が日本側の関税撤廃を求める意向を示していることをふまえ、政府の「TPPの譲許内容が最大限」との姿勢を改めて遵守するよう強く求めるとともに、酪政連が2019年度の重点課題として掲げている酪農ヘルパー制度の継続・拡充への支援を要望した。


また、大槻委員長は要請の中で、進行する離農の問題をはじめ、特に都府県において新規就農に対する支援体制が整備できていない現状について言及。その上で、酪農の労働環境に関して「酪農家は月に1回休むか休まないかぐらいの人がほとんどだが、今の世代の若い方はそれでは後継者にならない。そこをもう一歩、国にも支援いただきながら、休みの取り方を考えていきたい。合わせて、ヘルパーを頼めるような仕組み作りも農林関係挙げて検討していただきたい」と国側へ理解と支援を求めた。


酪政連が提示した要請書では、両国間で様々な報道が行われているTAG交渉に対し「TPPで合意した酪農・乳製品の関税や、輸入枠以上の譲歩をしないという政府の発言の通り、厳守することを強く要請する」としている。

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(業務部・共済制度)
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