全酪新報/2019年7月10日号

「EUからのチーズ輸入2割増、日米交渉はTPP以上に」――東大大学院・鈴木宣弘教授が警鐘

2019-07-10

東大大学院の鈴木宣弘教授はこのほど、関東地区酪政連協議会の総会後に「酪農を取り巻く内外情勢と組織の役割」と題して講演した。鈴木教授は日EU・EPA発効後、EUからのチーズの輸入量が前年に比べてすでに2割近く増加している状況を説明した上で「わずかに関税が下がっただけにもかかわらず、増え方は尋常ではない。これからどれだけ増えるのか。大きな脅威になる」と警鐘を鳴らした。また、米国との貿易交渉「日米FTA」に関しては、TPP水準にとどまらない点を指摘した。講演の内容を紹介する。

お断り=本記事は7月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「2018年度の305日乳量過去最高記録、分娩間隔は前年度並み」――家畜改良事業団・牛群検定成績速報

2019-07-10

家畜改良事業団は6月28日、2018年度乳用牛群能力検定成績速報を公表した。同年度の305日乳量をみると、北海道、都府県ともに過去最高乳量を記録した。平均分娩間隔は433日で前年度並みだった。また、搾乳ロボットの導入拡大により、全国平均1万742㌔(前年度272㌔増)と自動搾乳検定の普及も進んでいる。


2018年度の305日乳量(立会検定、ホルスタイン種)は、前年度を117㌔上回る9711㌔。北海道は9719㌔(145㌔増)、都府県は9694㌔(60㌔増)で、ともに過去最高乳量となった。直近3カ年をみると、北海道では2017年度に泌乳量の低下がみられたが、2018年度は毎年順調な伸びを示す都府県を若干上回るなど回復基調で推移している。


また産次別の能力では、初産8750㌔(63㌔増)、2産1万94㌔(114㌔増)、3産1万477㌔(119㌔増)、4産1万460㌔(121㌔増)、5産1万21㌔(146㌔増)と、全ての産次で泌乳能力の伸びが顕著だった。


現在、性選別精液の利用拡大に伴い、自家産による後継牛確保が全国的に進んでおり、特に北海道では性選別精液の普及が拡大している。


他方で、2018年度の平均分娩間隔は433日で前年度並み(中央値は407日)。直近5年間では、北海道、都府県ともにほぼ横這いで、分娩間隔の短縮に向け、極端に分娩間隔が長期化した牛を出さないような繁殖管理を徹底する必要がある。


なお、最も分娩間隔が良好だったのは1983年度の395日。以降、年々分娩間隔は延長しており、過去最長は11年度の438日だった。


また、産次別の分娩状況を示すデータによると、産次が進むにつれ双子の分娩が増加傾向で、4産以上では約4%に。死産については体格の小さい初産に多く、寒冷等を背景に、特に北海道における初産牛での死産が多いのが現状だ。


一方、出生後1週間程度の早期死亡したケースを示す推定新生子牛早期死亡の割合では、北海道より都府県で高い傾向にあることから、全国的にも飼養環境を含めた管理の改善が求められている。

「北海道の1番草収穫、今年は順調」7月1日現在、進捗率71%――平年比5日早い

2019-07-10

北海道農政部は7月4日、農作物の生育状況を発表。1番草の収穫作業は最盛期を迎えており、多雨で日照時間が少なかった昨年とは一転、順調に進んでいる。7月1日現在の収穫作業の進捗率は71%で、平年よりも5日早い。デントコーンの生育も平年比6日早く推移。そのほか、水稲、ばれいしょ、大豆、てん菜などの作物の生育も平年よりも早い。


北海道農政部の概況によると、6月上旬は晴れた日が多かったが、中旬以降は全道的に降雨があった。6月全体では、平均気温は高く、降水量、日照時間は平年並み。地域別の1番草収穫状況を見ると、檜山は11日、留萌は8日、石狩、後志、渡島、根室は6日、釧路は5日、十勝、宗谷は4日早い。


宗谷管内枝幸町のオホーツク海沿岸部で経営している小野寺俊一さんは「昨年は雨が多くて収穫が思うように進まなかったが、今年は順調。ただし、前半に刈り取った草地の単収は昨年よりも少ない。後半は例年通りか」と話している。

「指定団体共販の重要性周知、生産基盤回復対策も推進」――中酪・事業報告

2019-07-10

中央酪農会議は6月25日、都内で定時総会を開き、2018年度事業報告・収支決算など原案通り全て承認した。2018年度は新たな補給金制度への移行に伴い、指定団体共販の重要性を周知するとともに、生産者との契約締結に際して適正に運用できるよう、指定団体を支援した。また、最重要課題である生産基盤の回復に向けた取り組みを推進した。


総会の冒頭、中家徹会長は「昨年は生乳流通改革が行われ、指定団体の重要性への理解醸成や支援を実施した。その結果、地域的には部分委託などの動きがあるが、指定団体のシェアは約96%を占めている。今後も組織のスリム化や効率化、乳価交渉力の強化を図りつつ、機能を発揮することが求められる」と呼び掛けた。


2018年度は事業の重点事項として、指定団体共販体制に関係する法務的な課題への対応を含め、酪農家間の公平性を確保するための側面的な支援を実施。酪農経営の安定と安全で安心な生乳を供給するためには、指定団体共販が重要であることを周知した。


また、酪農家間の公平性を確保するため、ホクレンが4月から導入している共販維持対策について、全国的に導入するかどうか情報を共有しながら前向きに検討した。


2018年度の生乳需給安定化対策(旧計画生産対策)では、新制度移行に伴い生乳出荷目標数量を各指定団体の年間販売計画数量を積み上げる方式に変更。その結果、前年度の生乳出荷量を1.5%上回る708万9812㌧に設定した。


しかし、北海道胆振東部地震や都府県の生乳生産基盤弱体化に歯止めがかからず、実績は696万9768㌧で前年度比0.3%、目標数量を1.7%(12万44㌧)下回った。2019年度は2018年度実績比1.4%増の706万9859㌧を目指している。そのほか、18年度は生産基盤維持・強化するための補助事業、消費者やメディアへの理解醸成活動などを実施した。

「酪農共済、情報提供など推進」全国酪農協会――2019年度の事業計画承認

2019-07-10

全国酪農協会は6月24日、都内で2019度通常総会を開き、18年度事業報告・収支決算、2019年度事業計画・収支予算などを原案通り承認(既報)。引き続き農政活動や酪農共済事業、全酪新報等の発行を通じた情報提供、視察研修事業などを推進する。


農政活動では、酪政連、関係団体と連携し、重点項目に掲げる酪農ヘルパー事業に対する支援対策の継続・拡充、乳用後継牛確保対策の継続・拡充などの要請活動を展開。また、酪農会館が日本酪農発展の拠点となるよう全酪連、関係団体との連携を一層強化するほか、第8回酪農未来塾の開催も予定している。


総会には来賓として農水省の水野秀信牛乳乳製品課長が出席。水野課長はあいさつの中で「引き続き増産に向けて努力いただきたい。都府県の家族経営対策として出来る限り期待に応えることが出来るよう予算、事業なりに取り組みたい」と強調した。

「農水省、生産局長に水田氏就任、枝元氏は大臣官房長に」――7月8日付

2019-07-10

農水省は7月8日付で人事異動を発令。農林水産審議官に大澤誠氏(経営局長)、生産局長に水田正和氏(大臣官房長)、大臣官房長に枝元真徹氏(生産局長)が就任した。松島浩道農林水産審議官(元畜産部牛乳乳製品課長)は退職した。

連絡先・MAP

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酪農会館5階
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(業務部・共済制度)
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(指導部・全酪新報編集部)
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