全酪新報/2019年8月10日号

「需要期の飲用さらに逼迫、都府県の生産減少」――2019年度生乳需給

2019-08-10

Jミルクは7月31日、2019年度の生乳及び牛乳・乳製品の需給見通しを発表した。5月末発表の見通しと比べると、都府県の生乳生産量は減少幅が拡大する。これに対して北海道は、ほぼ同程度の見通しで増加傾向が続く。全国の生乳生産量は前年より0.3%増の730万3千㌧と0.2ポイント下方修正したものの上期・下期ともに前年度を上回る予想で4年振りとなる増産見通しは変わらない。一方、夏場は都府県の生産量が不足する予想で、7~9月における道外移出量は約16万3千㌧と前回見通しよりさらに増加。最需要期である9月の道外移出量は前回より1千㌧増加の6万1千㌧の見込みで、需要期の飲用需給はさらに逼迫する様相だ。

お断り=本記事は8月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「Jミルク、中長期的な需給に言及」――適切な対応が必要

2019-08-10

改正畜安法施行から2年目を迎えるなか、各地域で様々な問題も抱えている状況をふまえ、Jミルクは中長期的な需給に関して「業界関係者が一丸となって需給調整に努めなければならない。また、牛乳需要を完全に賄う供給が困難になる可能性も念頭に、廉売の自粛、あるいは代替製品の供給についても小売業界等の関係者の理解を得ながら取り組みを推進する必要がある」と適切な対応をとる必要性を強調した。Jミルクが7月31日に公表した需給見通しに関する説明会の席上で述べたもの。


同制度の運用上においては、二股出荷による「いいとこ取り」や「契約不履行」など、各地域では様々な問題も発生している現状にある。現時点では全体としては大きな混乱は起きていないものの、今後同制度による広域流通調整への影響も想定されることから、前田浩史専務は「非常に需給がひっ迫する状況の中においては混乱を起こす可能性もある」と指摘した。


その上で「場合によっては従来のルールではない方法で取引されている方々に対しても、業界全体の最適化を考えた際に協力いただくなど、そういうことも含め、個々に検討しなければならない」との考えを示した。

「TAG交渉、乳製品など農産品は膠着状態」――早ければ9月中にも合意か

2019-08-10

自民党が8月5日に開いた会合では、米国で8月1~2日に行われた日米物品貿易交渉(TAG)の閣僚協議の結果について報告を受けた。同交渉は早期の成果達成に向けた多くの論点に対する方向性の共有など、一定の進捗はあるが未だ「目に見える進展」には至っていない一方、乳製品をはじめとする農産品については、市場アクセス開放を求める米国側の思惑もあり議論は膠着状態にある。今後、9月に米国で開催予定の国連総会の会期中が想定されるが、早ければそこで合意の可能性もあることから動向には注視が必要だ。


当日の会合では、多くの議員が「過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限」とする昨年9月の共同声明に沿った交渉を要望。また、TAGの合意により乳製品等の輸入量がTPPに加えて増える可能性について懸念する声も上がった。


それに対し、内閣官房の澁谷和久政策調整統括官は「乳製品など、TPPワイド(TPP枠)で関税割当の枠数量が決められているものについての取り扱いは非常に難しく、この本部だけでなく、TPP11の国会審議の時も相当厳しく言われていたことだ」と説明。国会を通る内容を前提とした上で、TAG交渉の中でも乳製品等の分野においては慎重に協議する方針にあることを明かした。


15年10月に大筋合意したTPP12協定は、その後の米国の離脱を受け、合意内容の一部を凍結・調整した上で、18年12月末にTPP11協定を発効した。TPP12ではTPP枠として脱粉・バターの低関税輸入枠を設定。枠数量は生乳換算で6万㌧(6年目には7万㌧)としているが、米国離脱後のTPP11でも同枠数量に変更はない。TPPでの譲許内容を最大限とする共同声明等をふまえ、今回のTAG交渉で6万㌧の枠に『追加』されないよう、交渉での適切な対応が求められる。


会合の結びにTPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部の森山裕本部長は、9月半ばの国連総会の期間中に想定される首脳会談について触れ、「そこをゴールにできたらいいのにというのが互いの気持ちだと思うが、そういう『期限』有りの話ではない。両国の合意が最も大事なことだと、お互いに認識してこの交渉を進めてほしい」と述べた。


「共同声明が大前提、最大限努力続ける」𠮷川農相


8月1~2日にかけて米国で行われたTAG交渉の閣僚級協議について、𠮷川貴盛農相は2日の定例会見の中で「私ども農林水産省としては、日米共同声明が大前提。将来に亘って我が国の農林水産業の再生産が確保されるように、最大限の努力をしており、今後も努力をしていくことには変わりはない」との姿勢を改めて強調した。


また、食肉輸入量が19年1~6月の上半期で約102万㌧と過去最高を更新したことに対し「TPP11や日EU・EPAの発効後に食肉輸入量の増加が加速しているということではない」と述べた上で、動向には注視していく考えを示した。

「2020年度農林関係予算、概算要求へ議論スタート」――酪農の競争力強化盛り込む

2019-08-10

自民党は8月5日、農林・食料戦略調査会と農林部会との合同会議を開き、20年度の農林関係予算概算要求に向けた議論をスタート。主要事項は7つで、酪農関係では、畜産・酪農の競争力強化をはじめ、近年導入が進む搾乳ロボットや繁殖管理システムなどスマート農業の普及促進を要求事項に盛り込んだ。当日の会合では、スマート農業の普及に関して通信環境の整備に加え、3カ年など集中的な後押しが必要ではないかとの意見もあった。今後は関係団体や議員からの要請・意見をとりまとめ、8月末までに財務当局へ額入りの予算を要求する運びだ。


農水省が示した来年度の主要事項は、▽農林水産物・食品の政府一体となった輸出力強化と高付加価値化▽「スマート農業」の実現と強い農業のための基盤づくり▽担い手への農地集積・集約化等による構造改革の推進――などの7項目を掲げた。


酪農関係では、クラスター事業等の競争力強化に資する施策をはじめ、口蹄疫等の伝染性疾病、このほど国内で初確認された飼料用トウモロコシに甚大な被害を与えるツマジロクサヨトウ等の重要病害虫への対策強化。鳥獣被害防止に向けたジビエ利活用の推進等も求めていく。


災害に備えた非常用電源の導入計画等を後押しする「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」、「総合的なTPP等関連政策大綱」をふまえた農林水産分野における経費については、予算編成過程で検討する方針。

特選に田尻さん(熊本県人吉市)の「なが~い舌でお食事中」――第46回らくのうこどもギャラリー

2019-08-10

7月11~12日に鹿児島市内で開催された第48回全国酪農青年女性酪農発表大会では、恒例の第46回らくのうこどもギャラリーの表彰式を実施。特選には田尻琥太朗さん(熊本県人吉市、蓬莱保育園5歳)の作品「なが~い舌でお食事中」が選ばれた。今年は全国より683点もの応募があり、特選含め12作品が入選した。


審査を行った写真家の宮島径氏と画家の浅野智氏は、田尻さんの作品について「今回審査した作品の中で最も力強く迫力を感じた。牛の目や鼻、真っ赤な舌が生き生きと描かれ、まさに食事の最中という様子が伝わってくる。牧草のカラフルな線や、鼻の点描、顔の毛並みの荒々しさなど、描写技法の使い分けも巧みで、動物への畏怖を感じさせつつも、元気ある子供らしい絵に仕上がっている」と評した。


出展のきっかけは、田尻さんの祖父である酪農家の島津繁徳さん(熊本県・人吉市、島津牧場)が同大会で併催されるフォトコンテストへの出展を決めた折、孫の田尻さんにこどもギャラリーへの応募を勧めたことによるもの。田尻さんは家族で牧場に訪れるたびにお手伝いをするそうで、よく牛にエサやりを任せられることが多いという。


作品はその風景を描いたもので、タイトルは母の田尻美野さんとともに決めた。田尻さんによると最も上手くできたポイントは鼻の点描の部分。今回の受賞に対し「嬉しかった」と素直な一言を漏らした。そんな牛好きな田尻さんだが、現在はプロ野球選手に憧れているとのこと。


田尻さんは牛乳・乳製品が大好きで、祖父の牧場に行く際には牛乳を原料にチーズやそれを使ったピザ作りも楽しんでいるとか。

連絡先・MAP

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酪農会館5階
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(業務部・共済制度)
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