全酪新報/2020年7月20日号
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「コロナ第2波へ備え必要」――酪政連が現行対策の継続・拡充求める

2020-07-20

酪政連(佐藤哲委員長)は7月15日に都内で中央常任委員会を開き、21年度酪農政策・予算確保等に向けた方針を協議した。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、指定団体機能の維持・強化や乳製品在庫等へのコロナ対策の継続・拡充、感染拡大の第2波に備えた事前対応をはじめ、酪農ヘルパー対策や後継者確保に向けた支援の強化など、現行の支援対策の継続と拡充を強く求めていく方針を決めた。今後の活動に向け佐藤委員長は「コロナ禍の中でも要請活動を続け、生産者を守る。全国一体となって運動を行っていきたい」と述べた。

委員会で佐藤委員長は、今回のコロナに伴う農水省の対応について改めて謝意を示し、21年度の予算要求に向け「今の状況でも要請活動を続け、酪農家を守り、各地の酪政連の皆さんにも賛同していただきながら、全国で統一的な運動を行っていきたい」と今後の活動の方針を示した。


21年度の酪農政策・予算確保に関する要請事項では、基盤の弱体化とコロナによる影響を踏まえ、現行全ての支援対策の継続・拡充を求めた上で、優先事項として指定団体機能の維持・強化や業務用需要減等の影響を大きく受けた脱粉・バター在庫対策の継続・拡充、感染拡大の第2波に備えた事前対応の検討の必要性など9つの項目を掲げた。


このうち、指定団体機能の維持・強化については、コロナや近年の自然災害の発生を鑑み、より機動的な需給調整機能が必要不可欠である旨を示した上で、改めて指定団体機能の維持・強化が重要との方針を掲げた。


コロナの影響への対応については、今回の学乳停止に伴い脱粉・バター在庫が現在、高水準にあり、乳価交渉等への影響が懸念されることから、在庫対策の継続と拡充を求める。さらに、第2波に備えた需給緩和や生乳廃棄の可能性をふまえ需給調整機能の強化やCS再編、乳製品工場の維持・強化等の対策も要請していく。


会合で柴田輝男副委員長(秋田県)は「(コロナの感染拡大の)第2~3波の可能性が非常に高まっている」と懸念を示した上で「後手に回らず、酪政連としても今から対策を組むために進めていき、要請活動もきちんと行う必要がある。全国の皆さんの協力を得て進めていきたい」と述べた。


このほか、20年度の要請事項では▽外国人労働者へのヘルパー就労環境の改善・対応、後継者に対する支援の拡充など担い手の確保▽たい肥舎長寿命化推進事業の継続・拡充▽性判別の活用等に向けた支援の継続・拡充と預託事業への支援の拡充▽水田活用による飼料生産への直接支払交付金の拡充など自給飼料対策▽自然災害対策▽鳥獣被害対策のさらなる強化▽産業獣医師の中長期的確保に向けた支援の拡充――も要望していく。

お断り=本記事は7月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「改正畜安法、指定団体機能が秩序維持に」――自民・野村哲郎農林部会長が強調

2020-07-20

自民党酪政会が7月15日に開いた会合の席上、野村哲郎農林部会長が改正畜安法の運用上の課題に言及。コロナ等により生乳需給が大きく変動するなかでも、指定団体制度の果たす機能が秩序の維持に機能していることなど、その重要性を改めて強調した。


会合で野村部会長は、改正畜安法の運用上で指定団体制度が果たす機能について「やはり同制度の強みが発揮されて、秩序が現在のところ保たれていると聞いている」とその意義を強調するとともに、同法の適正な運用に向けて農水省に監視など適切な対応を求めた。


また、農水省の水野秀信牛乳乳製品課長は同法をめぐる状況について、契約違反に当たる取引は、20年度は発生していないと説明。その上で「引き続き周知徹底し、夏場の需給ひっ迫時に抜けていくことのないようにしていく」と述べた。

「飼料基盤の整備が課題、生乳増産を引き続き支援」――茨城県酪連の朝倉新会長にインタビュー

2020-07-20

今年3月31日に茨城県酪連(水戸市)の代表理事会長に就任した朝倉実行氏(71歳・美野里酪農協組合長)に今後の抱負を聞いた。茨城県の生乳生産量は2015年度(15万7916㌧)から前年を上回る生産が続いており、19年度(17万1162㌧)までの4年間で1万3246㌧増産となっている。


――県内の生乳生産基盤の状況は


県内の酪農家戸数は284戸(6月末現在)で、残念ながら減少傾向に歯止めはかかっていない。廃業の理由で一番多いのは後継者がいないことだ。これは酪農に限らない問題だが、一方で借金があっても儲けている牧場には後継者がいる。借金してでもある程度の収益を確保することは可能と思う。大槻和夫前会長もよく話していたが、「家族経営を守る」ということは、後継者がやがて家族を養い、安定した生活をしていくための経営計画の実現を、組織としてしっかりとサポートしていくということだ。儲かる職業でなければ後世に酪農を残すことは難しいだろう。それが現実だ。



――生産増の要因は


茨城県は、15年度から昨年度まで前年比を上回る生乳生産量となっているが、これは大規模農場が参入し複数の組合に出荷している実態にある。私が所属する美野里酪農協は、組合発足時から後継牛の自家育成と自給飼料を利用する循環型酪農を継続重視してきたことに起因すると思うが、前年比を大きく下回ることなく、ほぼほぼ前年並みに推移している。


そのため外部からの導入に頼ることなく安定的に後継牛確保が可能だ。だから牛舎に無駄な空きはない。また、自給飼料畑は美野里酪農協26戸の組合員合わせると約600㌶になる。


県酪連としても、これまで生乳増産のために酪農家を支援する独自の事業を実施している。たとえば、後継牛確保のための性判別精液の利用や自給飼料増産に必要な飼料の種子購入費の助成などを行っている。こうした事業を継続してきた結果が増産を支えてきたと思う。



――当面の課題は


これから酪農家はますます高齢化していくと思う。規模にかかわらず家族型の経営を守るためにもコントラクター組合の役割が重要になる。飼料生産だけでなく、酪農家の作業を支援、軽減させる仕組みが必要だ。そうしなければ自給飼料生産に手が回らなくなる酪農家も出てくる。


昨年、北海道のコントラ組合を視察したが、その組合では飼料生産やTMRセンターの運営、サイロ詰めだけでなく、たい肥処理や給餌まで行っていて、酪農家は乳牛の管理と搾乳に専念できる体制だった。


これらのことを参考にしながらコントラ組織を通じて酪農家の作業を支援、労力負担を軽減させるための取り組みを促したい。県内では美野里酪農協とひので酪農協がコントラに取り組んでいるが、こうしたコントラ組織整備が全単協に広がり、酪農家が利用しやすい環境を整えてほしい。県酪連もそうした組織整備を支援したい。


一方で地元の美野里酪農協で酪農家の収益改善のために取り組んでいるのが、和牛受精卵移植だ。副産物収入を増やすために少なくとも毎月1頭は出荷するよう組合員に呼びかけている。ひとつひとつは小さなことでも、積み上げていけば儲けにつながると考え酪農家の懐具合を少しでも良くしたい。


また、茨城県は関東でも無脂乳固形分が高いという特長がある。高品質な自給飼料生産が行われているためだが、循環型農業による自給飼料生産の重要性をこれからも訴えていく。



――新型コロナ感染症への対応は


大槻前会長が療養された1月に会長代理として業務を引き継ぎ、その後、新型コロナウイルスが拡大した。最優先に取り組んだのは感染の防止と、仮に酪農家や県酪連役職員が感染した場合の対策だった。


一方で、万一酪農家から感染者が出てしまい、運送会社からその酪農家には集乳に行けない。そういう事態にならないよう対応を検討していた。幸い、酪農家や関係者に感染者は出なかった。今もこうして、安定して生乳供給を続けていられるのはこれらの努力の積み重ねの結果だと思う。


県酪連では念のために職員の自宅や事務所内にテレワーク環境を整備したところであり同様に理事会もWEB会議で行っている。こうした流れが今後主流になるだろう。


<朝倉実行氏>茨城県酪農業協同組合連合会代表理事会長のほか、茨城県牛乳普及協会会長、関東生乳販連理事、茨城県配合飼料価格安定基金協会理事長、小美玉ふるさと食品公社副社長などを務める。

「九州等豪雨16日時点、各地で牛舎浸水など被害多数」

2020-07-20

九州を中心に西日本等にも甚大な被害が発生している記録的な豪雨により、福岡県久留米市の酪農家は生乳廃棄が続いており、関係団体では被害状況の把握や土砂崩れ等による牧場のがれき撤去など復旧作業へ支援を続けているが、電話不通の地域もあり被害の全容把握には時間がかかる見通しだ。


ふくおか県酪農協によると、6日から続いた豪雨により久留米市の2戸の酪農家で生乳廃棄が発生。牛舎周辺道路の冠水で集乳車が行けず2800㌔の生乳を自主廃棄したほか、もう1戸(生産乳量900㌔/日)は牛舎周辺の冠水がひどく2日ほど近づくこともできない状況が続いた。高台にあった牛舎の浸水度合いは低かったが、搾乳機器やバルクは故障したため貯乳していた生乳は廃棄。現在、機器類は復旧したが乳房炎やアルコール不安定乳が発生し7日以降出荷できていない。


大分県酪農協によると、九重町の1戸では土砂崩れと牛舎浸水により搾乳機器等が故障し、3日分で推定750㌔の生乳廃棄が発生したが、10日搾乳分から出荷を再開。牛舎内の土砂の撤去は完了した一方、牧場内のがれき撤去作業は16日現在も続いており、無事救出されたものの牛舎の浸水で子牛が流されるなどの被害もあった。


また、日田市の2戸の牧場では、平時は共同で井戸水を利用して機器洗浄や牛の飲用水としていたが、土砂崩れで井戸水が使用できず9日から毎日10㌧の給水車2台で水を運んでいる状況。


広島県酪農協によると、14日に庄原市の2戸で生乳廃棄が発生した。推定廃棄乳量は324㌔と832㌔。いずれも道路の浸水や土砂崩れにより、通行止めとなり集乳が出来なかった。

「九州豪雨、農林水産関係被害385億円・16日」――早急に支援対策詰める

2020-07-20

4日未明から九州を中心に発生した豪雨被害について、農水省が7月16日に公表した被害状況によると、同災害による農林水産関係被害は総額385億円。うち家畜は11万3913頭(1.2億円)だが、未だ被害の全容把握には時間がかかると見られる。14日の定例会見で、江藤拓農相は「被害の速やかな把握に努めるとともに、早急に農林水産関係の支援対策の中身を詰めていきたい」と述べ、引き続き支援・対応に取り組んでいく意向を強調した。


このほか16日時点の被害状況については、農作物等713㌶(被害額7.7億円)、農業・畜産用機械620件(同25.5億円)、農地の損壊2181箇所(同55.7億円)など、多くの被害が発生している。

連絡先・MAP

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所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
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(指導部・全酪新報編集部)
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