全酪新報/2020年12月20日号
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「農水省、3次補正予算案は1兆円超、増頭増産対策に156億円」――基盤強化、経営継承を支援

2020-12-20

自民党は12月14日、党本部で開いた合同会議で、農水省から提示された総額1兆519億円の2020年度農林水産関係第3次補正予算案を了承し、翌15日に閣議決定された。輸出拡大に向けた和牛や酪農の基盤強化、中小・家族経営の経営継承等の支援として増頭増産対策に156億円を計上した。うち都府県の後継牛増頭を支援する増頭奨励金に133億円を措置した。また、畜産クラスター事業に481億円を確保した。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は12月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「年末年始の需給緩和に懸念」Jミルク――消費拡大に協力呼びかけ

2020-12-20

Jミルクは12月8日、年末年始の生乳需給状況をふまえた緊急の取組として、牛乳の消費拡大や製品への生乳使用率の引き上げ等への協力を会員・賛助会員に呼びかけた。年末年始は例年、需給は緩和傾向となるなか、今年は新型コロナ感染症の影響による一部量販店の正月三が日の休業日の増加対応等により、需給が大幅に緩和し処理不可能乳が発生する可能性も懸念されている。増産基調にある生乳生産にブレーキが掛からないよう、関係者一体で需給対応する必要がある。


緊急的な取組が必要としてJミルクが会員・賛助会員へ呼びかけているのは、①企業・組織、地域、家庭、酪農家による牛乳利用拡大や周辺への働きかけ、②製品における生乳使用率の引き上げ、③乳製品工場のフル稼働、④各乳業工場、クーラーステーションなどにおける貯乳能力のフル活用――の4点。今後の感染の拡大状況によるが仮に再度全国規模で休業要請等が発令された場合、業務用需要を中心に需給はさらに厳しい見通しとなり、処理不可能乳発生の懸念が一層強まる恐れがある。


Jミルクは会員等に対して、現在の厳しい需給状況に対して理解を求めるとともに「酪農乳業界として取り組んでいる生乳生産基盤強化対策の後退や牛乳・乳製品の市場価値の喪失を避ける観点からも、処理不可能乳発生を回避するという共通認識のもと、この局面を乗り越えるべく、関係者それぞれの立場で緊急的な取組へ努力いただけるようお願いする」と必要な対応へ協力を呼びかけた。

「農水省畜産部会、全会一致で諮問案『妥当』」――21年度畜産物価格を答申

2020-12-20

農水省は12月10日、東京・九段下の三番町共用会議所で20年度第1回食料・農業・農村政策審議会畜産部会(部会長=三輪泰史㈱日本総合研究所創発戦略センターエクスパート)を開き、21年度加工原料乳生産者補給金と集送乳調整金の単価などの諮問案を審議。補給金単価等については全会一致で「生産条件、需給事情および物価その他の経済状況を合理的に考慮すると、試算で示された考え方で定めることは妥当」として答申し、正式に畜産物価格が決定した。


来年度の加工原料乳生産者補給金は前年度より1㌔当たり5銭下げの8円26銭、集送乳調整金は5銭上げの2円59銭、総交付対象数量は前年度同の345万㌧。委員からは「酪肉近に沿って、生産意欲を損ねず増産に向け取り組める水準」など評価する声が上がった。


野上浩太郎農相の代理で答申を受けた池田道孝政務官は「今回の畜産部会で上がった委員の意見を今後の畜産行政の推進の参考にさせていただく」と述べた。

「2020年の酪農乳業情勢を振り返る」――新型コロナが大きな打撃

2020-12-20

新型コロナ感染症の世界的な感染拡大をはじめ、九州を中心に甚大な被害をもたらした7月豪雨などの自然災害にも見舞われた2020年。新型コロナ感染症に対して政府は4月7日、7都県を対象に緊急事態宣言を発出。同16日には対象地域を全国に拡大した。関係者の尽力により生乳生産量がようやく全国的に増加してきた一方、外出自粛等の影響を受けて業務用乳製品需要は大きく減退。小中学校の一斉休校により学乳停止の影響も受け、生乳需給の極端な緩和も懸念されたが、国や関係団体、乳業など業界全体で消費拡大等に取り組んだ結果、生乳廃棄は回避することが出来た。このほか、8月末には安倍首相が退任し菅内閣が発足するなど、新しい生活様式の浸透等も含め大きく社会が変化した1年となった。


「酪肉近策定」「増産目指す」「政府が緊急事態宣言発出」


▽1月


31日 Jミルクが20年需給見通しを公表。全国的に増頭が進み、2年連続で生乳生産量は増産すると予測した。


▽2月


4日 農水省は「新たな畜舎建築基準等のあり方に関する検討委員会」を開き、畜舎建築の緩和に向けて議論を開始。


6日 Jミルクは事業説明会で、20年度の酪農乳業産業基盤強化特別対策事業の枠組みについて説明。担い手の育成を支援する酪農持続可能性向上支援事業などを新たにメニューに盛り込んだ。


13日 農水省は食料・農業・農村政策審議会企画部会を開き、次期食料・農業・農村基本計画の策定に向けて議論。


14日 酪政連委員長や茨城県酪連会長、ひので酪農協組合長、全酪連副会長、関東生乳販連副会長などを務める大槻和夫氏が逝去した。


27日 安倍首相は全国の小・中・高、特別支援学校に3月2日から春休みの期間、臨時休校を要請する考えを表明。


▽3月


4日 酪政連が開いた通常総会(書面議決)で役員改選が行われ、佐藤哲氏が新委員長に就任した。


10日 農水省は新型コロナウイルスの感染拡大に関する緊急対応を措置した。学校給食停止に伴う需給緩和対策事業に約23億円を措置した。


25日 農水省は食料・農業・農村政策審議会を開き、今後10年の農業政策の方針を示す新たな基本計画を決定。


31日 新たな酪農・畜産政策の指針となる「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」(酪肉近)が策定。30年度の生乳生産量は780万㌧に設定した。


農水省は新型コロナウイルスによる農林水産業への影響について現場関係者から意見を聴取。江藤拓農相は前例にとらわれない対策を措置する姿勢を示した。


▽4月


6日 酪政連は新型コロナの影響を踏まえ、自民党酪政会や畜産関係の国会議員に対して緊急支援要請活動を展開した。


7日 政府は新型コロナ感染拡大阻止へ「緊急事態宣言」を発出。江藤農相は「食料品は十分な供給量、供給体制を確保している。安定供給は最も重要な責務だ」と強調した。


21日 農水省は生乳廃棄を回避し、生産者を支えようと、牛乳・乳製品の消費促進を呼びかける「プラスワンプロジェクト」を展開。


29日 20年春の叙勲・褒章受章者を発令。酪農関係では、岩竹重城氏(広島県庄原市)が旭日双光章を、石川正美氏(栃木県日光市)が黄綬褒章を受章した。


▽5月


1日 需給が緩和している窮状に対し、農水省は長期保存可能な乳製品を製造する際の乳業者を支援する事業を措置。


牛乳乳製品の消費促進に向けて農水省はポスター製作や動画を配信。牛乳・乳製品の飲用を呼び掛けた。


4日 新型コロナウイルス感染拡大阻止へ4月7日に発出した緊急事態宣言を5月31日まで延長すると発表。


14日 政府は新型コロナウイルスの影響を受けて発出していた緊急事態宣言を、8都道府県を除く39県を対象区域から解除した。


18日 給食機会が減った子ども達や医療従事者への支援を目的に、JA全農と関東生乳販連は関東地域の病院やフードバンク、子ども食堂等へ牛乳約10万本を無償提供。


消促進へ関係者が尽力 九州全共コロナで中止に


▽6月


1日 埼玉県は県産牛乳の消費拡大に向けたキャンペーン展開を開始。同日に埼北酪農協の青木雄治組合長と埼玉酪農協の木本栄一組合長らが大野元裕知事を表敬訪問した。


9日 日英両国政府は、新たな自由貿易協定(FTA)に締結に向けた交渉を正式にスタート。


11日 中央酪農会議は新型コロナ禍を踏まえた酪農教育ファーム活動の展開に向け、目安となるガイドラインを作成した。


15日 日本ホルスタイン登録協会は、新型コロナ感染拡大の影響を受けて今年度開催を見送るとしていた「第15回全日本ホルスタイン共進会九州・沖縄ブロック大会」の開催中止を発表。


25日 政府は新型コロナウイルス感染をめぐり発出していた緊急事態宣言を全面的に解除。


30日 中央酪農会議は新型コロナウイルス感染拡大による需給緩和対策として、牛乳などの無償提供を支援する事業を緊急的に実施した。


乳牛飼養頭数3年連続増 安倍晋三首相が辞意表明


▽7月


9日 役員任期満了に伴い、酪農教育ファーム推進委員会の新委員長に國分重隆氏が就任。


10日 農水省は20年2月現在の畜産統計を公表。酪農家戸数は1万4400戸で4%減少したが、乳牛飼養頭数は135万2千頭で3年連続増だった。


15日 酪政連は中央常任委員会を開き、新型コロナ感染症の拡大を踏まえ、現行支援対策の継続と拡充を強く求めていく方針を決定。


22日 ホクレンの牛乳を贈る助け合いプロジェクト「#COWエール」では、新型コロナと最前線で戦う医療従事者らに10万円相当の牛乳等を寄贈した。


30日 農水省は7月の豪雨で甚大な被害を受けた九州などに対する支援策を決定。営農再開や継続のための修繕費などを支援するもの。


▽8月


5日 農水省は19年度の食料自給率を公表。牛乳・乳製品の国内生産量は増えたが、カロリーベースでは前年度同の59%だった。


28日 安倍晋三首相は体調悪化を理由に辞任する意向を表明。在職期間は第2次政権発足以来7年8ヵ月連続で憲政史上最長記録だった。


31日 農水省は6月頃より北関東で発生した家畜の大量盗難を受け、各地方農政局等に対して盗難被害の注意喚起と被害状況の報告体制の構築を促す通知を発出。


▽9月


2日 酪政連は中央委員会を開き、21年度の酪農政策、予算確保に向けて後継者確保に向けた支援の強化などを強く要請する方針を決定。


3日 自民党は農林・食料戦略調査会と農林部会の合同会議を開き、21年度農林関係予算概算要求に向けた議論を開始した。


4日 北海道農政部は道内の自家発電設備の整備状況を公表した。20年度内には約8割の酪農家で導入される見込みで、乳業工場も含めて停電時における生乳廃棄の回避に向けた取り組みが進んでいることが分かった。


16日 衆参両院本会議で自民党の菅義偉氏が第99代首相に指名された。


17日 新農相に野上浩太郎氏が就任。新任会見で持続可能な農業作りに向けて生産基盤の重要性を強調した。


25日 農水省は国家貿易による20年度の脱脂粉乳・バターの輸入枠数量を決定。バターは当初予定から6千㌧削減し、1万4千㌧。脱粉は5月に判断した数量を維持。


28日 中央酪農会議は、7月に農水省が取りまとめた改正畜安法の運用上におけるルール違反の事例集をテーマにWEBで研修会を開催。


30日 農水省は21年度農林水産予算の概算要求を取りまとめた。新たに担い手の経営継承を後押しするメニューが盛り込まれた。


日英EPAなど協定に署名 体質強化へ政策大綱改定


▽10月


1日 農水省は牛などの新たな飼養衛生管理基準を施行。家畜所有者の責務を明確化したほか、22年2月より飼養衛生管理マニュアルの作成義務化などを盛り込んだ。


6日 酪政連の佐藤哲委員長ら三役は葉梨康弘農林水産副大臣を表敬訪問。21年度予算編成に向けて経営継承の推進や酪農ヘルパーへの支援拡充などを求めた。


17日 ジャパンチーズアワード2020でしあわせチーズ工房(北海道足寄町)のハードタイプのチーズ「幸」がグランプリに輝いた。


23日 日本養豚協会など畜産団体は、福島県西郷村の家畜改良センターで宮崎県口蹄疫慰霊祭(10年祭)を開催。関係者一丸となった防疫対策の徹底が必要との認識を共有した。


日英両国政府は、9月に大筋合意した日英間の新たな経済連携協定(日英EPA)に署名。


江崎グリコ㈱は新型コロナによる学乳の供給停止、台風や豪雨による自然災害の影響を受けた酪農家を支援するため関東生乳販連、東海酪連、九州生乳販連にそれぞれ600万円。総額で1800万円を寄付した。


▽11月


3日 農水省は20年秋の叙勲・褒章受章者を発令。酪農関係では、山田政晴氏(熊本県西原村)が旭日双光章を、赤松清助氏(兵庫県洲本市)が黄綬褒章をそれぞれ受章した。


15日 日本や中国、東南アジア連合など15カ国は東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)に合意・署名した。


17日 中央畜産会は畜産女性の活躍をテーマにシンポジウムをWEBで開催。経営参画への課題や働きやすい環境改善に向けて意見交換が行われた。


18日 家畜改良センターは市区町村別飼養頭数上位20位を公表。ホルスタイン種、総頭数ともに1位は北海道別海町だった。


23日 農水省と日本農林漁業振興会は第59回農林水産祭式典を開催し、天皇杯受賞者らを表彰。酪農関係では佐々木剛さん・千尋さん夫妻(静岡県富士宮市)が内閣総理大臣賞を、石田幸也さん・美由紀さん夫妻(北海道枝幸町)が日本農林漁業振興会会長賞をそれぞれ受賞した。


▽12月


2日 21年度畜産物価格等の決定に向け議論をスタート。自民党会合で酪政連など団体から意見を聴取した。


8日 TPP等関連政策大網を改定。クラスターや増頭奨励金など体質強化対策を盛り込む。


10日 畜産部会が農相へ答申し、21年度の畜産物価格が決着。加工原料乳生産者補給金単価は5銭引き下げ8円26銭、集送乳調整金単価は5銭引き上げ2円59銭、総交付対象数量は据え置き345万㌧。

連絡先・MAP

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(業務部・共済制度)
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