全酪新報/2021年11月10日号
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「上半期生乳需給、消費ふるわず需給緩和」――乳製品在庫は最高水準に

2021-11-10

農水省牛乳乳製品課は11月4日、2021年度上半期(4~9月)や直近の生乳需給をめぐり本紙など酪農専門紙と懇談。生乳生産が好調に推移する一方で、需要期の天候不順等が影響し、牛乳等向けは1%減少。乳製品向けは大幅に増加し、期末在庫も過去最高水準に。脱粉に関してはJミルクの見通しでも今年度末は自然体では10万㌧超が予想され、関係者間での対応が急務となっている。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は11月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「需給改善、業界自ら対応を」と大熊牛乳乳製品課長――生産基盤強化は引き続き重要

2021-11-10

処理不可能乳の発生が懸念される年末年始の需給について大熊規義課長は「(生産)基盤強化の取組により、ようやく増産に転じてきた中、基盤毀損につながりかねない処理不可能乳は絶対に回避すべきで、業界関係者全員の認識と承知している」と強調した。


Jミルクが処理不可能乳回避に向け実施する緊急対策の取組を高く評価し、引き続きJミルクがリーダーシップを発揮することに期待感を示した上で「酪肉近の目標数量780万㌧に向け、国は中長期的な観点から基盤強化対策に取り組んでいるが、その過程で天候などの要因から需給のひっ迫や緩和は当然あり得る。短期的な需給対応は業界の自主的な取組が重要だ。その上で農水省としてできることがあれば支援を検討する」との認識を示した。11月4日に牛乳乳製品課が開いた業界紙との懇談会の席上、述べたもの。


また、高水準な在庫状況などを踏まえ、北海道農協酪農・畜産対策本部委員会やホクレンがこのほど示した在庫対策や一時的な生産抑制について大熊課長は「需給緩和とそれに伴う乳製品在庫の増加が乳製品だけでなく飲用販売価格の下げ圧力にもつながるなど、飲用需給への影響も考えられる。そういう意味で需給緩和は乳業だけでなく全国の関係者の問題。広く理解をいただき、業界一丸となるよう、我々も関係者と連携を密に対応していく」との考えを示した。


さらに、大熊課長は中長期的な在庫余剰の解消に向け現在、生産者・乳業関係者と国で意見交換(非公開)を実施していることを報告。「生・処それぞれが当事者として短期的な対応を含め議論している。双方が納得できる着地点を探すべく国も参画しており、在庫対策等の財政支援を求める声は聞いている」などと説明した。

「不需要期へJミルクが取組み」――緊急牛乳消費促進を実施

2021-11-10

年末年始等の不需要期の牛乳消費促進に向け、Jミルクは消費拡大への支援を目的に「緊急牛乳消費促進事業」を実施する(11月1日号既報)。同事業は地域の取組への支援とJミルクの取組の2本が柱。


このうち、Jミルクの取組では、主に①業界関係者に対する現在の生乳需給が危機的状況にあるという認識共有の推進と危機管理意識の向上②メディアを通じた広報とSNSによる情報発信③緊急的な消費促進・拡大対策の推進――3つの取組を展開する。


関係者に対する不需要期の牛乳消費促進の呼びかけやミルク鍋など季節に応じた消費拡大に向けた提案・広報活動等の実施により、年末年始の処理不可能乳の発生回避に向けて取り組んでいく。

「21年秋の叙勲、廣野正則氏(香川)に旭日単光章」

2021-11-10

農水省は11月3日付で、2021年秋の勲章受章者を発令した。酪農関係では、廣野正則氏(70歳、㈲広野牧場代表取締役、元交牧連会長、香川県三木町)が旭日単光章を受賞した。


なお、例年行われる伝達式(農水省)は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、今回も開かれない。

「日本酪農の勢力」 ~21年畜産統計を基礎として~ その3『規模拡大と環境問題』 畜産・飼養調査所「御影庵」主宰・阿部 亮

2021-11-10

最初に、頭数構成を人的勢力と頭数勢力に分けて1991年2月の姿を見よう。ここでは、飼養頭数が1~29頭を小規模層、30~99頭を中堅層、100~199頭を大規模層、200頭以上をメガ層(メガファーム)と仮に呼ぶ。この各層の人的勢力分布は小規模層が32.9%、中堅層が52.1%、大規模層が10.5%、メガ層が4.5%。ヒトの数という勢い、また耕種農業と密着した農村社会の構成者としては、小規模層が3分の1と力強い存在である。頭数の占有率ではどうか。大規模・メガ層が47.4%、中堅層が43.5%、小規模層は9.2%。生乳生産量への影響度は小規模層は小さい。


酪農家1戸当たりの飼養頭数はどう変わってきたか。約10年前の11年には69.9頭であったが、今年の2月は98.3頭と大きく増加している。何故か。2つの理由を挙げてみよう。1つには、小規模層の減少、大規模・メガ層の増加ということがある。20~21年の間の小規模層の減少数は北海道が12戸、都府県が300戸であるのに対して、大規模・メガ層は北海道で29戸、都府県では43戸増加している。小規模層が減少する理由として小規模層では高齢の経営主が比較的多いということがあげられる。


もう1つの理由は複数戸の酪農家の集団化、つまり法人組織の形成が多くなってきていることと、企業型経営の増加がある。


それでは、酪農経営戸数が減少している中で、このような規模の拡大が国内の乳牛飼養頭数の維持に貢献しているか否かを調べてみた。20年と21年の比較をしてみる。先ず北海道。戸数は130戸の減だが、21年の戸数で20年の頭数を維持するための規模(143.8頭)を21年では1.5頭上回ったために、飼養頭数は9千も増加している。都府県はどうか。全ての地域で1戸当たりの飼養頭数は増加しているが、北海道のように戸数の減少を飼養頭数規模の増加で補っている地域は近畿、中国、沖縄の3地域のみで、あとの地域はそうはなっていない。日本全体では93.9頭から98.3頭への増加によって600戸の戸数減少を補い4千頭の増加となっているが、これには北海道の増加数が大きく寄与している。


ここで、話を変えて、牛乳乳製品の需給構造を見よう。19年度、国民1人当たり牛乳乳製品の供給量は生乳換算で飲用向けが31.2㌔㌘、乳製品向けが64.1㌔㌘。これを支えているのは、国内生産の736万㌧と輸入の522万㌧、計1258万㌧で自給率は58.5%となっている。


国内生産の基盤は経産牛の頭数とその1頭あたりの乳量なので、乳牛飼養戸数が減少している中においては、飼養規模の拡大が需給構造を考える上では必須の課題となるが、次には拡大の可能性と要件を考えねばならなくなる。そこには、飼料の供給と糞尿処理に要する飼料畑の面積が前面に立ちはだかる。


今回は環境問題について述べたい。15年、国連では30年を達成年限とする持続可能な開発目標(SDGs)を掲げた。そのプログラムの中には、「水と衛生の持続的な管理」がある。そこで、酪農と土地、ひいては河川、湖沼、地下の水への窒素の負荷の問題を考えた。農業による環境負荷を低減するための基本原則は低投入だが、現実は高投入、高位生産の流れにある。経産牛1頭の乳量について、いくつかの国で90年と16年を比較すると、ドイツが4739㌔㌘から7580


㌔㌘、オランダが5861㌔㌘から7984㌔㌘、イギリスが4950㌔㌘から7662㌔㌘で、日本も6383㌔㌘から8522㌔㌘と高乳量となってきた。乳量水準が高くなれば蛋白質の給与量も多くせねばならない。


国内の多頭数の試験から乳牛の窒素出納を調べた。2産以上の泌乳牛の場合、摂取蛋白質(以下、窒素)は牛乳中に30%が移行するが、糞中に34%、尿中に27%排出される。排出された窒素は硝化作用により亜硝酸から硝酸となる。その一部は作物に吸収されるが、そうではない硝酸や亜硝酸は地表水や地下水に移行する。ヒトの健康を保証するための水道水と地下水の硝酸態窒素プラス亜硝酸態窒素の濃度が環境基準では、1㍑当たり10㍉㌘と定められている。これらの物質は体内でヘモグロビンの酸素の結合能力を失わせてしまい、チアノーゼ(酸素欠乏症)を引き起こす。


80年代の中後半、ヨーロッパでは窒素の環境への負荷が地下水の硝酸態窒素濃度を高め、ヒトの健康への影響が大きな社会問題となり、家畜糞尿の土地への還元、畑作物への施肥に対し規制が行われた。いくつか揚げてみよう。①1㌶当たりの牛の飼養頭数をオランダでは2.0頭、デンマークでは2.3頭というように飼養頭数の制限を行った②硝酸塩による水質汚濁を防ぐために、糞尿施用量として糞尿の窒素換算で1㌶当たり、ドイツでは170㌔㌘、イギリスでは210㌔㌘を上限とした③地表水や地下水が汚染されやすい場所や時期に糞尿を施用しない--など。


ここで、オランダの様子を農畜産業振興機構の「畜産の情報」(2017年12月号、2020年1月号)から見てみよう。オランダの土地面積は九州とほぼ同じであるが、18年(平成30年)の乳牛飼養頭数は162万頭と、この年の日本の総頭数132万8千頭よりも多い。1戸当たりの飼養頭数も153頭と日本の84.6頭よりも多い。


そして、農産物の輸出額はアメリカに次いで世界第2位という農業大国である。しかし、農業による環境への負荷に苦しんでいる。だから、上記のような規制も敷いているが、近年では、窒素の次の課題として、16年にリン酸塩排出削減計画を策定し、実行している。酪農・養豚・養鶏部門で1万800㌧の排出削減を目標としたが、この中では、酪農が75.9%を占めた。目標達成の手法は頭数の削減、営農中止、飼料削減だった。


17年度目標は半年で達成されたが、13万頭の経産牛と15万頭の子牛を含む未経産牛が淘汰され、約600戸が営農を中止した。このような政府の環境政策に対して異論はないのだろうか。そうではない。19年10月1日には何千人もの畜産農家が窒素とリン排泄量削減へ政府が検討する畜産農家の規模縮小を含めた政策に反対するためのデモが行われている。国会のあるハーグに向けてトラクターで移動し、合計1千㌔㍍以上の交通渋滞を引き起こしたという。この項の最後として、1つの提案をしたい。上記の外国の制限に対して、ご自分の所はどうか。以下の数値と自家の飼料畑面積、経産牛頭数の照らし合わせをしてみてほしい。


体重650㌔㌘の乳牛について19年度の経産牛乳量8767㌔㌘、日本飼養標準の要求量、牛群検定における全国平均の搾乳日数と乾乳日数、さらに摂取窒素の糞尿中への排泄率を基礎にすると、1サイクル(搾乳369日、乾乳64日)の経産牛1頭当たりの窒素の排泄量は88.5㌔㌘と計算される。気懸かりであるところから、このような提案をする次第である。(6回に分けて掲載)

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