全酪新報/2025年5月20日号
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「牛乳・乳製品の需要拡大の方向性探る、大手乳業メーカーから取組等聴取」――自民党畜産・酪農対策委員会
自民党の畜産・酪農対策委員会は5月16日、酪肉近のフォローアップを目的としたヒアリングの第2回目として、大手乳業メーカーから聴取。新商品開発や既存の商品及び市場の拡充、輸出拡大など各社が行っている牛乳・乳製品の需要拡大の取り組みに関して説明を受けるとともに、需要拡大に向けた方向性を探った。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

畜酪委で行われた2回目の意見聴取
お断り=本記事は5月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「欧州や中東で口蹄疫が急速に感染拡大、FAOが警告」
国連食糧農業機関(FAO)は5月5日、欧州や中東で口蹄疫が急速に感染拡大している状況を警告。感染国及び侵入リスクの高い国を含め、全ての国に対して対策や監視・警戒の強化を強く要請している。
欧州では今年1月にドイツで口蹄疫(血清型:O型)が発生。その後、ドイツでは終息したものの、3月3日にハンガリー、3月20日にスロバキアで確認されており、4月18日時点で計12件の発生を確認。FAOは欧州における現在の感染状況について「2001年以来最悪の流行」として警鐘を鳴らしている。
中東のバーレーンやイラク、クウェートでも口蹄疫(血清型:SAT1)の感染が拡大中。韓国でも3月に1年10カ月ぶりの口蹄疫発生が確認されている。
「新たな食料・農業・農村基本計画の実効性確保へ、今後の農政めぐり政策提案」――JA全中全国大会
JA全中は5月13日、都内で「25年度食料・農業・地域政策推進全国大会」を開催。新たな食料・農業・農村基本計画の実効性を確保するための予算増額とともに、食料安全保障の確保をはじめ、畜産・酪農における十分な経営安定対策や影響緩和対策など、今後の政策の方向性を提案した。オンライン含め全国から関係者4千名以上が参加した。
主催者あいさつで全中の山野徹会長は、JAグループの政策提案として①新たな基本法・基本計画をふまえた食料安全保障の確保②農業の持続的な発展と農村振興③品目別対策④災害・感染症等に強い農業づくり対策⑤関係団体の後押し――の5項目を軸に、具体的に必要な政策等を要望。
畜産・酪農については、影響緩和対策等のほか、業界を挙げた和牛肉、牛乳・乳製品等の需要創出や輸出拡大に向けた支援を要請。また、家畜伝染病の脅威が拡大している状況から、空港・海港における水際対策の徹底、飼養衛生管理強化に必要な資材・設備導入、防疫措置や早期の経営再開等の支援強化を求めた。
大会には、自民党より森山𥙿幹事長と宮下一郎総合農林政策調査会会長、公明党より谷合正明農林水産業活性化調査会会長をはじめ、多くの与党国会議員が出席。与党代表者挨拶で森山幹事長は、農業構造転換を初動5年間で集中的に推進していくことに触れ「国民生活を将来に亘って守るため、この構造転換に必要となる別枠の予算確保に不退転の決意で取り組む」と力を込めた。
大会では、米国関税交渉をめぐり、2020年1月発効の日米協定の内容を超える譲歩を一切行わないこと等を強く求める緊急要請も実施。これを受けて森山幹事長は、協定以上の譲歩が今後行われる可能性を強く否定した上で「国益を損なうことは絶対にないよう、政府には引き続き訴えていきたい」と述べた。

オンライン含め4千名以上が参加
「指定団体への出荷農家戸数前年同月比5.9%減少、10年間で6千戸以上が離農」――2025年3月時点・中央酪農会議
中央酪農会議が4月30日に公表した24年度指定団体別出荷農家戸数調査によると、25年3月時点で指定団体を通じて生乳を出荷している全国の酪農家戸数は、前年同月比607戸、5.9%減の9751戸。23年度比でみると減少率は同値だが、都府県の離農割合は北海道と比べて依然多い傾向が続いている。戸数を10年前の2014年度と比べると6千戸以上も減少しており、安定供給の維持、生乳生産基盤対策と合わせ、離農に歯止めをかける政策が急務となっている。
戸数を地域別にみると、北海道は4279戸で、204戸、4.6%減。都府県は5472戸で、403戸、6.9%減。直近で最も離農が進行した22年度の8.7%減と比べると減少率は縮小してきているが、急減してきた出荷農家戸数は昨年10月、ついに1万戸を割る事態にまで陥っている。
都府県における地域ごとの出荷農家戸数は、東北1329戸(6.7%減)、関東1631戸(6.6%減)、北陸178戸(8.7%減)、東海448戸(7.2%減)、近畿266戸(8.9%減)、中国424戸(6.0%減)、四国200戸(6.5%減)、九州950戸(7.0%減)、沖縄県46戸(4.2%減)。
前述の北海道と沖縄以外の地域の戸数は全国平均を下回っており、特に近畿、北陸の減少割合は約1割と危機的状況にある。
また、都府県別にみると福井16戸(6.7%増)、山梨24戸(前年同)、和歌山4戸(前年同)の3県を除き全府県で下回るなか、埼玉、東京、神奈川、新潟、長野、兵庫、島根は1割以上も前年度を下回った。

「2024年度の生乳生産量実質1%増加、牛乳消費量は前年並み、引き続き消費拡大への取り組みが課題」――24年度牛乳乳製品統計・農水省
農水省が4月28日に公表した牛乳乳製品統計によると、2024年度の生乳生産量は0.7%増。24年が閏年だったことを加味すると、実質1.0%増(本紙計算・四捨五入、以下同)で、22~23年度と2年連続減産だった状況から生乳生産は増加に転じた。一方、牛乳消費量については前年並みで、はっ酵乳は5.5%増と需要面も一部好調に推移しているが、増産を目指す新たな酪肉近の生乳生産目標数量の達成に向け、引き続き関係者一体での消費拡大、理解醸成の取り組みの推進が求められる。
生乳生産はこれまで、増産に向けた取り組みが奏功し19年度は4年ぶりの増加を達成したものの、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大。一転して20~21年度は需給の緩和が問題に。ウクライナ情勢等を背景とした経営環境の悪化による酪農家戸数の急減に加え、生産抑制の取り組みにより22~23年度は減少傾向で推移していた。24年度は北海道の好調な生産を受けて再び増加している。
24年度の需要面をみると、牛乳の生産量は307万1686㌔㍑で0.3%減(実質前年度並み)。このうち業務用は27万1714㌔㍑で0.2%減(同0.1%増)、学校給食用は34万51㌔㍑で0.8%減(同0.5%減)。全体的には前年度とほぼ同水準で、牛乳については実質6カ月増と好調に推移しているものの、消費が落ち込んでいた23年度に対して1%程度の増加幅なことから、いま以上の牛乳消費拡大の取り組み推進が課題となっている。
このほか、加工乳・成分調整牛乳は36万494㌔㍑で4.8%減(実質4.6%減)、乳飲料は100万4862㌔㍑で5.3%減(同5.1%減)、はっ酵乳は104万71㌔㍑で5.2%増(同5.5%増)。前年度と比べてはっ酵乳が大きく伸長した。
乳製品生産量については、脱脂粉乳は15万4429㌧で4.9%増(実質5.2%増)、バターは7万2671㌧で6.2%増(同6.5%増)、クリームは12万1046㌧で2.2%増(同2.5%増)、チーズは14万9024㌧で1.2%増(同1.5%増)。脱粉の増加は注視が必要だが、23年度において減退していたそのほかの主要な乳製品はプラスに転じた。
25年3月末の期末在庫量は、脱粉5万1989㌧(9.0%増)、バター2万7159㌧(11.2%増)。
