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BSE「前処理が簡便なキットを開発」検査時間短縮に貢献―㈱ニッピ・バイオマトリックス
プリオン疾病であるBSEの効率的な検査が望まれるなか、従来の抗体と比較して約10~100倍の感度を持つ非常に優れた「抗プリオン蛋白質抗体」と前処理を簡便化する前処理器具「バイオマッシャー」を開発し、それらを組み合わせた「簡便・迅速なBSE検査キットの開発」が第10回産学官連携功労者表彰の農林水産大臣賞に輝いた。開発に貢献した(独)動物衛生研究所プリオン病研究センターの横山隆上席研究員、㈱ニッピ・バイオマトリックス研究所の牛木祐子課長と山本卓司課長代理の3氏が表彰された。
第11回産学官連携推進会議(主催:内閣府)が「我が国の未来のイノベーションを支える科学技術の推進」をテーマに9月28日、東京・千代田区(有楽町駅前)の東京国際フォーラムでイノベーションジャパンと同時開催され、別会場で表彰式が行われたもの。
開発者の一人である山本卓司氏(㈱ニッピ課長代理)に開発の経過や成果について話を伺った。
当社では1999年(平成11年)年頃より効率的で低コストの国産のBSE検査キットの開発を目指しました。それまで輸入の検査キット(検査費用1頭当たり約3300円)が割高で検査時間も要していました。現場からの改善ニーズがあり、当社は簡便な前処理法開発のためには多数の脳検体を、安全かつ迅速に破砕してスムースに異常プリオン蛋白質の検出行程へ移行することができる破砕装置の開発に取り組みました。
「バイオマッシャー」(特許取得)と名付けられた器具はフィターチューブと破砕棒で構成され、一連の作業で前処理を完結できる特長があります。検体をバイオマッシャーのフィルターチューブで破砕・遠心分離器を利用してフイルターを通過させることで良質の検体が得られ、高感度抗体の検出系と組み合わせることでワンポット処理が実現したのです。前処理の簡便化では・処理時間が約半分・操作手順では11回が3回・検査時間が4~5時間が3時間と大場に合理化されました。
また、プラスティック消耗品の使用量を半分に削減し、検査担当者には汚染リスクの低減と作業時間の減少と喜ばれています。検査キットは35都道府県延べ150施設に納入しています。国産の検査キットのシェアは60%程度ですが、検査費用は1頭当たり約300円に低減しており、費用を負担している国・自治体負担の検査費用の削減に貢献しています。
《メモ》産学官連携功労者表彰は大学、公的研究機関、企業など産学官連携活動で大きな成果を収め、また先導的な取り組みを行うなど産学官連携活動の推進に多大な貢献をした優れた成功事例の功績を讃えることにより、産学官連携活動のさらなる進展に寄与することを目的に2003年(平成15年度)から選定されている。