全酪協会の指導農政事業
「多様で持続的な発展のための制度政策とは」―全国酪農協会・酪農研究会が第2次提言の冊子を作成
(社)全国酪農協会(上野千里会長)はこのほど同協会など酪農4団体で構成する酪農研究会がとりまとめた第2次提言「多様で持続的な発展のための制度政策とは」(A4判・11ページ)を作成し、酪農関係機関・会社等に送付した(第1次提言・第2次提言とも本ホームページに掲載。ダウンロードして印刷できます)。
第2次提言は、昨年3月の第1次提言をふまえて同提言で指摘していた国への政策要求をより具体化した。同研究会の専門部会(座長=小林信一 日本大学生物資源科学部教授)が中心となってとりまとめ、本年6月30日開催の全国酪農協会役員会の席上、同研究会の会長を務める上野全国酪農協会長に答申した(今回、冊子作成に当たり一部加筆)。第2次提言では、現行の加工原料乳生産者補給金制度を補完する一種の所得保険である酪農家所得補償制度の導入、農地管理に対する直接支払いを行い自給飼料生産に基づいた酪農振興を図ることなどを柱に提言したことが特徴。
とりまとめにあたった小林座長は、提言内容を説明する中で、政府・民主党が検討している酪農所得補償制度について「現行(加工原料乳生産者補給金制度)で良いという風潮があるが、課題や限界のあることを認識して今後の政策を考えることが必要だ」と、今回の飼料急騰時に明らかになった現行制度の限界をふまえて新制度に向けた活発な議論を行うべきとの考えを示した。
また、これまでに北海道酪農の立場からの提言は、多くみられるとした上で、「北海道の方は、やはり北海道酪農を中心として考えた提言と思わざるを得ない。北海道は今後、日本の酪農の中心になっていくが、日本の酪農が生き残るためには、北海道酪農の将来にとっても都府県の酪農が大事なことを理解してほしい」と述べている。
全国酪農協会では「現時点では、政府は酪農における所得補償制度について具体的な考え方を示すまでには至っておりませんが、この答申の趣旨が広く議論の一部となり、皆様方から建設的なご意見、ご批判をいただき、わが国の酪農発展に貢献できるように念願するものであります」(上野千里会長)と述べている。