全酪新報/2024年6月10日号
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「生乳生産量1.2%増を予測、牛乳消費は通年で低調に推移」――Jミルク・5月31日公表の24年度見通し
5月31日にJミルクが公表した需給見通しによると、2024年度の全国の生乳生産量は前年度比1.2%増の741万3千㌧と予測した。前回1月26日に公表した需給見通しから0.9㌽上方修正した。一方、牛乳生産量は0.7%減の予測で牛乳消費はほぼ通年で低調に推移すると見られる。乳製品在庫が再び積み増す懸念も強く、需要拡大を一層推進していく必要がある。-詳細は全酪新報にてご覧ください-
お断り=本記事は6月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「脱脂粉乳の期末在庫、削減対策実施しても6万5千㌧に」――生処が一層協調した需給対応が必要
Jミルクが今回公表した需給見通しのうち、乳製品需給を見ると、バターと比べて、脱脂粉乳の需要は、はっ酵乳や乳飲料の低調が見込まれることから大幅な減少を予測した。業界協調の在庫削減対策(今年度1万9千㌧分)を加味しても、脱粉の期末在庫量は36.4%増の6万5100㌧の見込み。引き続き在庫対策に取り組むとともに、生処が一層協調した需給対応が必要となっている。
用途別については、飲用等向けは引き続き低調な消費が見込まれることから、1.2%減の385万2千㌧。一方、乳製品向けは4.0%増の351万3千㌧。生乳生産の増加基調に対して飲用等向け需要は低調が見込まれることから、乳製品向けは増加傾向で推移すると見ている。
乳製品向けのうち、生クリーム等向けは0.4%増の122万9千㌧、チーズ向けは2.3%増の43万8千㌧で、いずれも前年度をある程度上回る見込みの一方、脱脂粉乳・バター等向けは7.0%増の184万7千㌧で、大きく上回る見通しとなっている。
脱粉の生産量は増加する一方、低調な需要の見込み等から単年度の需給ギャップは「3万6600㌧」。23年度期末在庫は在庫削減対策を講じて4万7700㌧で着地したが、対策を加味しない場合の24年度の期末在庫量は76.7%増の8万4400㌧、23年度期末在庫量と比べ約3万7千㌧増加する見込みで、脱粉需要の拡大に向けた取り組みが喫緊の課題となっている。
バターは生産量が増加するものの、脱粉と比べ堅調な需要もあり単年度の需給は需要が供給を上回り、期末在庫量は1.7%増の2万4800㌧と23年度とほぼ同水準で着地する見込み。
需給見通しの説明会の席上、Jミルクは「需給調整のリスクや負担が一部の関係者や地域に偏在化しないよう、生産者や乳業者が共同で取り組む新たな仕組みの構築へ業界内で議論を進めていく必要がある」とした。
「全酪連が会員等の牛乳・乳製品をPR、復興応援へ北陸の製品も販売」――第6回らくのうマルシェ開催・全酪連
全酪連は6月1日の「牛乳の日」に合わせて、東京・代々木の酪農会館で「第6回らくのうマルシェ」を開催した。全酪連会員等の牛乳・乳製品の販売や試飲試食を通じて、来場者に牛乳・乳製品の魅力をPRするとともに、酪農や消費拡大への理解、協力を呼びかけた。
今回は能登半島地震で被災した酪農関係者の復興応援も目的として、アイ・ミルク北陸㈱(石川県)の「のとそだち」と「のとそだちのむヨーグルト」、㈱佐渡乳業(新潟県)の「佐渡牛乳」と「ゴーダチーズ」、「佐渡バター」など、北陸地域の農系乳業が製造する牛乳・乳製品が数多く並べられた。
このほかに、蒜山酪農協(岡山)の新商品「蒜山ジャージーA2ミルク」や、大山乳業(鳥取)の「大山のむヨーグルト」、開始から間も無くして売り切れとなった日光霧降高原大笹牧場㈱(栃木県)の「ブラウンスイス牛乳プリン」、「ブラウンスイスカスタードプリン」など約品が販売された。
牛乳・乳製品の試飲試食では「のとそだち」「佐渡牛乳」「岩泉牛乳」「蔵王麹チーズ蔵」「酪農家ぬるチーズ」を提供。ミルメークと一緒にリーフレット等も配布した。
全酪連酪農部の町田篤史副部長は第6回マルシェ開催について「今年に入り生乳生産は回復傾向にあるが、消費は低迷が続いている。この様な活動を通して消費者の方に牛乳・乳製品に関心を持ってもらい、消費に繋がるように魅力を伝えていきたい」と話した。らくのうマルシェは家族連れなど多くの人で賑わった。
家族連れをはじめ多くの消費者で賑わった
「農水省内展示室の消費者の部屋で特別展示会開催、牛乳・乳製品の理解醸成や消費拡大を推進」――農林水産省
農水省は6月の牛乳月間にあわせ、6月3~7日、省内展示室の消費者の部屋で特別展示会「牛乳で食卓にバラエティーを」を開催した。牛乳の飲み比べや牛乳・乳製品レシピの紹介等を通じ、来場者へ理解醸成と消費拡大を図るとともに「牛乳の日」「牛乳月間」もPRした。
会場では、牛の出産から牛乳・乳製品として食卓に届くまでの一連の流れを展示パネルで紹介。また、Jミルクの乳和食や、多数の料理家が考案した「土日ミルク」のレシピを展示。飲用以外の牛乳利用を提案した。
さらに、3日と5日、7日には牛乳の飲み比べを実施。日替わりで脂肪分の異なる牛乳など計9種を提供し、お気に入りの「推し牛乳」への投票も行われた。4日と6日には全国各地のご当地ヨーグルトの魅力向上を目的に活動するヨーグルトマニアの向井智香さんが講演したのをはじめ「ご飯がすすむ旨いヨーグルトレシピ」の調理・実演も行った。
また、牛乳・乳製品容器の展示や、牛乳の栄養・健康性等を紹介するリーフレットを提供したほか、これまで計3回実施された大規模イベント「全国ヨーグルトサミット」を紹介。さらに、牛カメラマンの高田千鶴さんの活動なども動画で放映した。
牛乳乳製品課の白尾紘司課長補佐は「消費拡大には、飲むことも良いが、様々なレシピを通じて食べ方のレパートリーを増やしてもらうことも大事。ご家庭で、お好きなものを試し、牛乳やヨーグルトをたくさん楽しんでほしい」としている。
牛乳の飲み比べも行われた