全酪新報/2024年9月20日号
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「酪肉近見直しへ検討開始、現場が希望持てる議論を」――来年3月下旬に答申予定、食料・農業・農村審議会畜産部会
食料・農業・農村政策審議会畜産部会は9月10日、新たな「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」(酪肉近)の策定に向けて議論を開始した。2020年に現行酪肉近を策定してから大きく環境が変化しており、委員からは生産現場が前向きに経営継続できるように議論を行っていくべきとの意見が相次いだほか、生産抑制を行わずに需給調整していける方法について検討すべきとの意見も上がった。来年3月下旬の答申を目指す。-詳細は全酪新報にてご覧ください-
農水省内で開かれた畜産部会。オンラインも併用した
お断り=本記事は9月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「温泉川寛明氏ら3名を理事に」――中央酪農会議・臨時会員総会
中央酪農会議は9月17日、都内で臨時会員総会を開き、役員の補欠選任を協議。新たな理事として、温泉川(ゆのかわ)寛明氏(中国生乳販連代表理事会長)、由井琢也氏(JA全農常務)、近藤修一氏(JA共済連常務)の3名を選任した。
総会の冒頭、山野徹会長(全中会長)は、生産資材の高止まりや急速に進む酪農家の離農、不安定な生乳需給など、現在の酪農経営をめぐる厳しい情勢に言及。今後議論が本格化する次期酪肉近については「昨今の厳しい経営環境や課題を踏まえた様々な論点があるなか、これらを克服して酪農家の不安を払拭できるように状況を注視し、生産者団体としても適宜必要な対応を講じていくことが重要だ」との認識を示した。
また、来賓出席した農水省牛乳乳製品課の須永新平課長はあいさつで、脱粉在庫対策の継続や需要開拓、理解醸成等の重要性を強調するとともに、系統内外が等しく参加、取り組んで生乳需給の安定を図っていくことが必要だと指摘した。次期酪肉近の議論をめぐっては「我々だけで作るものではなく、生産者や指定団体、乳業者、消費者の声も踏まえながら進めていきたい」と述べ、協力を呼びかけた。
「高校生に毎日80本の牛乳提供」――山梨県牛乳普及協会
山梨県牛乳普及協会(小澤英康会長)は8月1日から31日まで、毎日80本(200㍉)の牛乳を日本航空高等学校山梨キャンパス(甲斐市)に無償提供した。高校生になると学校給食が無くなり、牛乳を飲用する習慣が低下する傾向にあることから、成長期の高校生にも牛乳の重要性を再認識してもらうことで、牛乳の消費喚起や酪農への理解醸成を目的として行ったもの。
7月25日には同校で目録贈呈のセレモニーを実施。猛暑の中で各種部活動を頑張っている生徒達へ、牛乳を飲んで夏を乗り切ってほしいとの願いを込めて贈った。
小澤会長は「学校給食がない高校生に牛乳を飲む機会を提供したい。そして、いずれは高校生にも学校給食が無料で提供される仕組みができることを願っている」と思いを語った。
同校の生徒会長へ目録を手渡す小澤会長
「A2ミルクめぐり情報整理、HPでファクトブック公表」――Jミルク
Jミルクは9月11日、A2ミルクに関するファクトブック「A2ミルク〝いま、わかっていること、まだわかっていないこと〟」をHP上に公開した。これまで乳研究で蓄積されてきた知見を基に、現時点で科学的に明らかになっていること、そうでないことを整理。近年注目が高まっているA2ミルクの可能性や課題の把握に活用してもらえるよう、関係者と消費者向けに作成した。
ファクトブックでは、牛乳を飲んだ後、一部の人で引き起こされる腹部不快症状において、乳糖や乳アレルギー以外の要因についても解説した。また、乳糖不耐のような消化器症状を示す被験者を対象とした臨床研究において、エビデンスはまだ不十分で一層の研究が必要だが、A2ミルクでは症状が出にくいとの報告が挙げられていることを紹介。このほか、チーズ製造には向いていないとする海外の研究報告等も掲載している。
Jミルクは「ファクトブックを通じ、酪農家をはじめ業界関係者にA2ミルクの現状についてきちんと捉えていただき、消費者にも正しい理解を促せれば」としている。
A2ミルクの関連製品は、一部の小売店などで販売されている状況だが、一部の酪農家や中小乳業から期待の声も大きく、消費者の認知度も高まりつつある。