全酪新報/2024年10月20日号
購読お申込みはこちらから

「通常基金財源の保有水準、最小補填単価の引き上げ」――配合飼料価格安定制度の在り方で農水省中間的総括

2024-10-20

農水省は10月15日、「配合飼料価格安定制度のあり方に関する検討会」の中間的総括を公表した。来年度から新たな業務計画期間の開始が迫る中、同制度の当面の対応方向や運用改善内容等を整理したもの。今般の配合飼料価格高騰を受け、補填金交付のために巨額の財源負担(借入金約1200億円)が生じている現状の問題を踏まえ、通常基金財源の保有水準や最小補填単価を引上げ、財源が不足する場合には各基金団体が補填単価や借入れの是非を個別で判断できるよう運用を見直す【図】。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

10月20日号記事1_表

お断り=本記事は10月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「今後の生乳生産量は23年度を下回る可能性低い、1頭当たりの乳量の回復がカギ」――畜産部会で須永牛乳乳製品課長が説明

2024-10-20

次期酪肉近策定に向けて、10月4日に省内で開かれた畜産部会では、牛乳乳製品課の須永新平課長が酪農乳業における論点等を説明した。このうち、今後の生乳生産量の見通しについて、生産抑制等の影響から1頭当たり乳量が回復し、牛の能力が発揮されれば、当面は2023年度の生乳生産量を下回る可能性は低いと推計値をもとに説明した。その上で「需要面では飲用や脱脂粉乳に課題がある。そのため、向こう数年間に関しては、需要不足に対応していく必要がある」との認識を示した。


須永課長は、今後の生乳生産量を推計する上で、ホル雌の種付け割合や死廃率、1頭当たり乳量等の動向を今年度以降よく注視していく必要があると強調。


このうち1頭当たり乳量については、改良により増加基調で推移してきたことと、今後の見通しを説明(図)。「22~23年度は生産抑制や猛暑の影響により低下した。今後を考える上で、24年度以降これらの影響からいつ頃どの程度戻るかがとても重要。26年度に能力通りの乳量に回復すれば、23年度比で5.1%増となる予測。またその際のエサの給餌方法にも左右されるため、22~23年度に減少した値を含めて推計すると、3.1%増の予測となる。まだこれから乳量が戻るという実態があるが、これがどのぐらい戻るか。いまの段階では見通しがたい」との見方を示した。


これらを踏まえ、1頭当たり乳量と経産牛頭数に基づき推計した今後の生乳生産量を説明。「23年度を軸とする出生率増減の影響はほぼ見えず、1頭当たり乳量の影響が強く出ると思う。例えば26年度で見ると(経産牛頭数が23年度と比べ1.8%下回っても)、1頭当たり乳量の回復が大きくとも小さくともいずれの場合も伸びる計算となる。やはり1頭当たり乳量がどの程度回復するかに左右されると思う。牛の能力が発揮されれば、少なくとも数年間は23年度の生乳生産量約730万㌧を下回る可能性は低い」と述べた。

10月20日号記事2_グラフ

「脱脂粉乳・バターの需要不均衡解消等には生産者の意欲の維持が重要」――畜産部会・松田克也臨時委員

2024-10-20

畜産部会では、松田克也臨時委員(日本乳業協会会長、㈱明治社長)が乳業者を代表して意見。現行酪肉近策定以降の情勢変化を踏まえ、食料安全保障の確保を基本とした検討、脱脂粉乳・バターの不均衡解消等による生産者の意欲の維持、持続可能な酪農乳業確立に向けた環境整備を求めた。


松田臨時委員は特に生産者意欲に影響するとして、脱粉・バターの需要不均衡に対して「国産脱粉の需要を確保して不均衡を解消し、生産の維持を図っていく必要がある」と強調した。一方、チーズ生産の維持・拡大に関しては「TPP等に基づきチーズ関税が撤廃に向け段階的に引き下げられ、近い将来、関税割当制度の効果が無くなる見込み。プロセスチーズ原料用ナチュラルチーズ(以下NC)が輸入品に置き換われば、生産抑制が必要になりかねない」と問題提起した。脱粉の需要拡大対策と合わせ、原料用NCを含む国産チーズの生産・維持拡大を図る措置を講じつつ、生乳生産の維持・拡大が必要だと話した。


持続可能な酪農乳業の確立については、SDGs等へ乳業が各々の事業規模に応じて取り組んでいると説明。一方、酪農分野では「昨今の情勢や経営環境が非常に厳しいものであったため、組織的な検討もできず、取組はほぼ進んでいない。自主的対応だけではなかなか難しいため、酪肉近の中で推進、または見える化が必要な取組を明示的に位置付けるとともに、業界とも連携の上で生産者を指導・支援し、その成果を対外的に発信していく体制を構築する必要がある」との考え方を示した。

「生産資材の高騰、国産飼料の生産拡大等への支援策を要請」――酪政連・中央委員会

2024-10-20

酪政連(柴田輝男委員長)は10月9日、自民党本部で中央委員会を開き、25年度酪農政策・予算確保に向けて要請内容を協議。生産資材の高騰や国産飼料の生産拡大等への支援策を強く求めていく方針を確認した。委員からは持続可能な酪農の確立に向け、担い手支援を整備していく必要性を訴える意見が多く上がった。


会合で柴田委員長は、中央委員会開催前に開かれた自民党酪政会の総会について触れ「大変な時期にもかかわらず、多数の先生方にお越しいただき、酪農存続に向けてたくさんの意見をいただいた。酪農への支援をしっかり実現していただけるよう、この中央委員会で意見・要望をまとめ、それをしっかりと伝えていきたい」と述べた。


来年度に向けて必要な施策として、資材高騰に対する緊急的な支援、脱脂粉乳在庫対策の継続、酪農経営の改善に向けた牛群の長命連産性向上や暑熱対策強化に係る支援充実を優先事項として要請。このほか、▽国産飼料の生産拡大・利活用促進に関する支援施策の強化▽改正畜安法の運用改善▽有害鳥獣被害対策――などを強く要請していく。


担い手支援に関して、委員からは「持続可能という観点から家族型経営は重要だが、やはり後継者の確保が課題。親元就農であれ第三者継承であれ、今後の酪農経営に携わろうとする若い人材の育成が大切。そうした部分へ資金援助を図っていくべきだ」、「手取りがなく、貯金を取り崩して続けるような現状のままでは酪農の存続は厳しい。若者が魅力を感じ、数十年先も安心して続けてもらえるように何らかの施策を長い時間をかけても形にしていく必要がある」との意見が上がった。


また、持続可能な酪農の確立に向け「規模拡大というだけでなく、これからは地域に合った経営、規模的には家族型経営が中心になると思う。そうした観点から、自給飼料生産や地域との耕畜連携など、安定的な経営を行っていくのが大切だ」との意見もあった。


中央委員会終了後には臨時総会を開き、監事の補欠選任を実施。新監事に髙橋秀行中央委員(千葉)、石川幸保中央委員(宮崎)が選任された。このほか、26年度より副委員長を現在の4名から5名へ増員する方針が示された。来年3月の総会で規約改定を諮る。

10月20日号記事4_画像_1

自民党本部で開かれた中央委員会

10月20日号記事4_画像_2

同日に行われた自民党酪政会総会

「飼料高騰や物価高、畜産経営への対応を明記」――自民党・政権公約公表

2024-10-20

自民党は10月10日、衆院総選挙に向けた政権公約を発表した。農業関係では、関係予算総額の十分な増額と施策の充実・強化、必要な推進体制の確保等によって農業・農村の所得増大を目指すほか、飼料高騰などの影響を受ける畜産経営が物価高へ対応できるよう、重点支援地方交付金を拡充するとの方針を明記した。


公約ではこのほか、農林水産業について「食料安全保障の強化のため、国内の農業生産の増大を第一に、特に輸入依存度の高い食料・生産資材の国内生産力拡大を推進するとともに、安定的な輸入と備蓄を確保する」との旨を記述。また、鳥獣対策とジビエ利用の拡大、中山間地域を含む生産現場へのスマート技術の導入等の推進も盛り込んだ。

「次期酪肉近の意見募集」――農水省HPまたは郵送、12月末まで

2024-10-20

次期酪肉近及び家畜改良増殖目標等の検討に当たり、農水省は現在、国民からの意見や要望を広く募集している。今後の議論に活用するもので、募集内容は酪農経営や生乳流通、飼料、畜産環境、家畜衛生等に関する意見・要望(200字程度)。


募集期間は12月末まで。意見・要望は農水省ホームページの専用フォームへの入力、または郵便(農水省住所、畜産局総務課畜産総合推進室調整班宛て)で受け付けている。

連絡先・MAP

一般社団法人 全国酪農協会
所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
     :03-3370-5488
(指導部・全酪新報編集部)
     :03-3370-7213
FAX番号 03-3370-3892
アクセス JR・都営大江戸線ともに
「代々木駅」から徒歩1分
全酪アカデミー 酪農ヘルパー全国協会 日本ホルスタイン登録協会 GEAオリオンファームテクノロジーズ株式会社 株式会社ピュアライン 株式会社セイワ あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 東京海上日動火災保険株式会社 海外農業研修生募集 相互印刷株式会社 西桜印刷株式会社 警察庁防犯教室

購読お申込み


このサイトに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。
Copyright © The Dairy Farmers Association Of Japan. All right reserved.