全酪新報/2024年11月1号
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「全酪連が都立農産高校に牛乳自販機を設置、牛乳・乳製品の販売動向を調査し活用へ」――ALIC助成事業・実証実験
全酪連は10月28日より、東京都立農産高校(葛飾区)に次世代型牛乳自販機を設置し、牛乳・乳製品を販売する実証実験を開始した。学校給食がなくなり牛乳を飲む機会が減る高校生に、牛乳を飲んで健康意識を高め、酪農への理解を深めてもらうとともに、牛乳購入に関する販売データ等を収集する。設置期間は来年3月末まで。期間中には、特別授業として農水省による酪農情勢の説明や全酪アカデミーを紹介する取組も実施する。-詳細は全酪新報にてご覧ください-
緻密な温度管理等を可能とする機能を持つ次世代型自販機。スマホアプリで決済する仕組み(全酪連提供)
お断り=本記事は11月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「2024年上期の受託乳量は前年同期比0.5%減、飲用牛乳等向け3.1%減と需要低迷、脱脂粉乳・バター向けは増加」――中央酪農会議・用途別販売実績
中央酪農会議が10月15日に取りまとめた用途別販売実績によると、24年度上期(4~9月)の受託乳量は341万8175㌧で、前年同期比0.5%減。依然として例年以上に進行する離農や記録的な猛暑の影響もあり、22年度より大きく落ち込んだ前年同期をさらに下回った。一方、上期の飲用牛乳等向けは3.1%減、巣ごもり需要により好調だった新型コロナ禍以降は年々減少傾向で、生乳生産の落ち込み以上に需要低迷が大きく、脱脂粉乳・バター等向けも4.0%増と上回っている。
24年度上期の受託乳量は、北海道が198万3506㌧で0.2%増、都府県は143万4668㌧で1.4%減。都府県を地域別でみると、東北と北陸は4%以上、東海や四国、九州も1~3%以上前年同期を下回るなか、関東は0.1%減、近畿は0.4%減と微減に留まり、中国は0.6%増と上回るなど、地域によって大きくバラつきがあった。
他方で需要面については、飲用牛乳等向けは148万6201㌧で3.1%減、好調だった2020年度上期(166万7081㌧、1.1%増)と比べると18万880㌧も減った。はっ酵乳等向けは21万8761㌧で、1.1%減、飲用牛乳等向けと同様の傾向で、ヨーグルトが好調だった20年度上期(24万3885㌧、1.0%増)よりも2万5124㌧減と需要が落ち込んでいる。
このほか、脱脂粉乳・バター等向けは85万3729㌧で4.0%増、21年度上期をピークに減少傾向だったものの、今期は再び増加に転じた。また、液状乳製品向け(生クリーム等向け)は64万6400㌧で、前年同期の1.3%減から0.5%増に。チーズ向けは21万3083㌧で、5.3%減から1.4%減だった。
「2024年9月の受託乳量は0.3%増、都府県減少も北海道は好調」――中央酪農会議・用途別販売実績
中酪がこのほど公表した用途別販売実績のうち、9月の全国の受託乳量は53万5551㌧で前年同月と比べ0.3%増。都府県は下回ったものの、北海道は2.4%増と好調だった。一方で需要面は、例年なら飲用消費が多い9月にもかかわらず、飲用牛乳等向けは3.2%減、脱脂粉乳・バター等向けは20.5%増と大幅に上回った。
9月の受託乳量のうち、北海道は31万8433㌧で2.4%増、都府県は21万7117㌧で2.7%減。都府県を地域ごとにみると、全ての地域で減少しており、特に北陸(5.9%減)、東海(4.0%減)、近畿(4.0%減)、四国3.7%減)、九州(4.2%減)と5地域は3%以上も落ち込んだ。
用途別でみると、飲用牛乳等向けは25万6562㌧で3.2%減、はっ酵乳等向けは3万4367㌧で2.7%減。このうちはっ酵乳等向けは7月より増加傾向だったものの、9月は再び減少に転じた。
また、7月まで減少傾向だった脱粉・バター等向けは前月に引き続き上回り、10万9784㌧で20.5%増。前月まで堅調だった液状乳製品向けは10万6632㌧で3.4%減。前月は微増だったチーズ向けは、2万8205㌧で12.6%減と大きく落ち込んだ。
「特定家畜伝染病防疫指針、10月31日に一部改正へ」――農水省も通知発出
口蹄疫等に係る特定家畜伝染病防疫指針が10月31日に一部改正、それに伴う留意事項についても改正された。口蹄疫については、その発生予防やまん延防止へ、家畜の所有者も第一義的責任を有していることの理解が深まるよう周知徹底を図る旨などを追記している。また、これを受けて農水省は同日付けで都道府県に対して通知を発出。関係機関や関係団体等に周知の上、地域一体となり、家畜伝染病の発生予防及びまん延防止措置の迅速かつ円滑な実施を呼びかけている。
「新たにコメと野菜もWG立ち上げへ、牛乳乳製品に関しては次回のWGで議論深める」――第6回価格形成協議会
現在、法制化を視野に検討が進められている農畜産物等の合理的な価格形成をめぐり、農水省は10月24日、省内で「第6回適正な価格形成に関する協議会」を開き、コメと野菜について新たにワーキンググループ(WG)を立ち上げることを決めた。牛乳・乳製品に関しては、次回のWGの中でコスト指標の作成・活用等に係る議論を深めていく方針としている。
前回、8月開催の第5回会合では、生産者から小売業者までサプライチェーン全体のコストの把握・見える化などを課題として整理。現在、牛乳・乳製品など品目ごとのコスト構造の実態調査を実施している。
今回の会合で農水省は、25年の通常国会への法案提出に向け、品目ごとのコスト構造や特徴を検証しながら、実効性のある制度を構築することにしている。他方で品目別の検討に関しては、これまでの会合で生産者団体から「飲用牛乳や豆腐・納豆だけでなく、コメ・野菜を含む幅広い品目について検討をお願いしたい」との声が上がっていた。
今後は、各WGで品目ごとに議論を進める。昨年10月より実施している飲用牛乳のWGに関しては、これまでの検討を踏まえ、合理的な費用の指標となるコスト指標作成や活用方法等に係る議論を進めていく。
なお、3月開催の第3回WGでは、飲用牛乳の取引における課題について整理して議論。生産者と消費者の間で適正価格に対する認識に乖離があるなどの意見が上がっていた。
オンライン併用で行われた会合
「Jミルク需給短信・10月21日週、牛乳の販売戸数前年水準を2週間連続で上回る」――気温上昇が消費を押し上げ
Jミルクが10月31日に公表した直近週(10月21日週)の家庭用牛乳等の販売状況によると、牛乳の販売個数は前年同期比で2.1%増。成分調整牛乳と加工乳、乳飲料は前年水準を下回ったものの、牛乳が上回ったことから牛乳類全体では微増となった。牛乳及び牛乳類全体が前年水準を上回るのは2週連続。要因についてJミルクは「気温が平年より高めで推移していることなどが消費を押し上げていると推察される」としている。一方、冬場の飲用不需要期に向け、引き続き消費拡大の推進が求められる。
牛乳類全体の販売個数は前年同期比0.3%増。品目別では、成分調整牛乳3.7%減、加工乳2.4%減、乳飲料6.6%減。直近数週間をみると、成分調整牛乳と乳飲料は低迷しているものの、加工乳は概ね堅調に推移している。
このほか、はっ酵乳の販売個数は全品目で前年を超え、ドリンクタイプは3週連続、個食タイプは2週連続、大容量タイプは8週連続で前年水準を上回っている。