乳滴/2025年5月1日号
米国との交渉の行方

アメリカの相互関税は日本経済各方面に影響をもたらしているが、アメリカ・中国間でも根競べが続いている。4月30日現在、アメリカ(145%)VS中国(125%+レアアース輸出規制)。
ヒリヒリする緊張感に満ちた交渉の分析は専門家に任せて、大国の関税合戦を野次馬的に眺めると、(小説で得た知識ながら)覇を競う秀吉VS家康の駆け引きに似て「さすが大物の器量、外交力」と唸らせるやり取りがうかがえる。
自国経済立て直しの道筋作りに向けてなりふり構わぬアメリカ、それに対し、共産党支配の中国が自由貿易の重要性を強調するなど、関係者の時機に応じた発信、繰り出す技の変化の見事さには感心する。
合戦の狭間で困っているのがアメリカの農家で、4月以降の苦境について、内外のメディアが折々に報じている。
たとえば大豆。アメリカの輸出額(2023年、アメリカ大豆輸出協会)約279億㌦(約4兆1850億円)、このうち中国へは151億6300万㌦と総輸出額の5割超にのぼる(日本への輸出額は13億5900万㌦、中国向けの十分の一にも満たない)。
高関税で従来通りの輸出が見込めなくなった。合戦の大義はともかく、シワ寄せは農家に、というのも時代小説に似ている。