乳滴/2025年4月10日号
物価高、その実態は

政府備蓄米放出で、コメ小売価格の帰趨に注目が集まっているなかで農村では田植えに向けて準備が進んでいる。夏の天候推移とコメ作柄の動向に寄せる国民の期待は、近年になく高まっているのではないかと、勝手に想像している。どんな形であれ、農産物の動向に一般の関心が高まるのは農家としては歓迎だ。
ところでコメ値上がりは、諸物価値上がりのなかでの現象であり、ここで敢えて問いたいのは、現在の状況は「コメを含む諸物価値上がりというよりは、国民所得低落が実態なのでは?」ということ。
考えてもみてほしい。近年、我々の生活に関するほとんどのものが値上がりしてしまった。
生産費を考慮すれば当然と思うが、最近の牛乳(1㍑)は税込み300円超が普通。鶏卵もMLミックスサイズだと300円以下では買えない。
電気・水道料金もグンと値上がり。ガソリン価格に至っては、会員価格177円(レギュラー)の看板を見ても、あまり驚かなくなっている。資源・エネルギーの多くを輸入に頼らざるを得ない国の宿命だろう。
外見上は物価が上がったように見えるが、実は国民の所得がかなり低下しているのではないか。あるいはどこかにカネが滞留しているのか。