乳滴/2024年5月20日号
牛が快適、人も楽しく
「乳牛が辛そうだと人も辛そうで、牛が健康で快適に仕事をしている牧場は、人も楽しそうにみえます」とフリーランスの酪農ヘルパーの菊地純子さん(ushi to hito)が話す。3月の畜産経営経済研究会の定例研究会で「酪農ヘルパーの私が思うアニマルウェルフェア」をテーマに報告した中での話だ。
多くの牧場で仕事をする中で、コストを掛けずに乳牛の快適性を高める工夫をしている事例を見てきた。
例えば、ブラシ掛けで牛とコミュニケーションをとることは、牛には気持ちが良いことだ。つなぎ牛舎においても百均で人工芝を買ってきて、カッターで切り、結束バンドでストールのパイプに巻く。牛がかゆいときは体をこすりつけられるように工夫している牧場がある。よくあるのは、牛が飲水する水槽の汚れ。カビが浮いている。ゴミをすくい、きれいにするだけでも違う。
「小さく簡単。人も楽に、牛も楽になる。少しずつ良いことの積み重ねをしてほしい」と菊地さん。週に2回、1日1時間運動するだけで肢蹄の状態が良くなる。家畜はペットと違うのはもちろんだが、「私たちと同じく痛みや苦しみを感じたり、お腹が空く。そういう感覚を大事にして心を使って仕事をしてほしい」と述べた。